知られざるオランダ南部の絶品スイーツ、ボッシュ・ボールを召し上がれ!

日本では、すっかり定着している地方の銘菓やご当地スイーツ。京都といえば八つ橋、浜松といえばうなぎパイ、札幌といえば白い恋人など、誰もが瞬時に連想できます。

実はオランダでも、オランダ人であれば誰もが知る有名なご当地スイーツがあります。それが、オランダ中南部にあるノースブラ―バンド州の州都デン・ボッシュ(’s-HertogenboschまたはDen Bosch)が誇る「ボッシュ・ボール(複数の場合:ボッシュ・ボールン)」。

効率性を重視して、めったなことでは行列を作らないオランダ人ですが、この「ボッシュ・ボール」を前にすると様子が少し変わります。

この本物の「ボッシュ・ボール」を生産し続けるケーキショップ「ヤン・デ・グロート(Jan de Groot)」の前には、随時行列ができています。たまにお店の外に行列が見えないと思いきや、何と外が寒いため店内で複数の行列ができていることも。

またこのスイーツが詰まった大きな箱を抱え、嬉しそうに笑顔でお店を後にする光景を目にすると、如何にこのご当地スイーツが、オランダ人に愛されているかを感じずにはいられません。

ではこれほどの人気のスイーツとは、どのようなものなのでしょうか?

「ボッシュ・ボール」の原型は20世紀初めに開発され、1920年頃に現在の形が定着しました。

名前に「ボール」と入っている通り、実は直径12㎝×高さ5㎝と、テニスボールを一回り大きくしたくらいの真ん丸のボール状のお菓子です。

このボールを形づくっているのは、シュークリームのような薄い生地です。そしてこの生地は、しわや割れ目もなく綺麗に薄くダークチョコレートでコーティングされています。このコーティングに使われているチョコレートは、程よい苦みと甘さであり、嫌みがありません。

そしてこのボールをそっと割ってみると、ボールの中には見事に生クリームのホイップが詰まっています。ぱっと見たところでは、コッテリと重そうで、全て食べられるのかとふと不安になるかもしれませんが、心配することなかれ。

酪農王国オランダの美味しい生クリームを使い、甘さ控えめで、少し重量感があるように見えますが、実際には絶妙なふんわり具合のホイップクリームのため、するりとお腹に入ります。

美味しいコーヒーや紅茶を飲みながら、ボッシュ・ボールを食べる至福の時、オランダ人の笑顔がこぼれる理由が分かります。

ちなみに「ヤン・デ・グロート(Jan de Groot)」では、「ボッシュ・ボール」を購入して持ち帰ることも、店内のカフェスペースで食べることも可能です。ただ、残念ながら、店内のカフェスペースは、少々よくある普通のカフェで、食べること・お話することがメインになりがちです。

そこでお薦めなのは、デン・ボッシュの街の中心広場近辺などにある、眺めの良いテラスを併設したカフェです。カフェの入口には、「当店では『本物のボッシュ・ボール(Echte bossche bol)』を用意しています」と書かれた看板や、「ヤン・デ・グロート(Jan de Groot)」の看板が出ていることがあります。こうしたカフェであれば、「本物のボッシュ・ボール」にありつけることができます。

なお、デン・ボッシュの町は、起源を12世紀に遡り、今も古くも美しい建物が立ち並ぶ中世から続く都市です。一度、この素敵な歴史深い街を探索しつつ、「ボッシュ・ボール」にトライしてみてはいかがでしょうか?

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