まるで屋根のない博物館!ポルトガルの世界遺産の街エヴォラをたずねて

ポルトガルのアレンテージョ地方の古都、エヴォラ。「テージョ川のかなた」を意味する「アレンテージョ」の名の通り、テージョ川の南に位置しています。

エヴォラはローマ時代から栄えてきたこの地方の中心都市で、城壁に囲まれた旧市街は「エヴォラ歴史地区」として世界遺産に登録されています。

城壁への入口を越えた瞬間、タイムスリップがはじまります。エヴォラの魅力は、歩いて回れる小さな街に、ローマ、イスラム、キリストといった、各時代を今に伝える建造物がごく当たり前のように同居していること。それが、まるで屋根のない博物館のような景観を生んでいるのです。

街の中心が、観光案内所や教会、ショップが連なるジラルド広場。

広場から東へと延びる10月5日通りには土産物屋が並び、観光客でにぎわいます。

10月5日通りをのぼり切ると、そこが見どころの集中するエヴォラ観光の中心です。エヴォラを代表する見どころのひとつが、カテドラル。12~13世紀、ロマネスクからゴシック様式へと移行する過渡期に建てられた大聖堂です。

外観は無骨な印象ですが、ピンクベージュの石造りの内装は荘厳であると同時に、優しい気品をたたえています。

ここに架かるパイプオルガンは、日本ともゆかりのあるもの。1584年にエヴォラを訪れた天正遣欧少年使節が、当時ヨーロッパでも珍しかったパイプオルガンの演奏を聴いたのです。

カテドラルのすぐ向かいにあるのが、2~3世紀にローマ人によって築かれたディアナ神殿。月の女神ディアナに捧げたものと考えられており、中世の時代には要塞として使われていました。

隣り合う歴史的建造物のあいだに、1000年もの時代の開きがある。これがエヴォラの面白さです。

さらにディアナ神殿の横にあるのが、15世紀に建てられたロイオス教会。一見小規模で質素な教会ですが、壁一面を彩る18世紀のアズレージョ(装飾タイル)が見事です。

ロイオス教会に隣接する修道院は、ポザーダ(国営ホテル)として使用されており、1階のレストランは宿泊客でなくても利用できます。歴史的建造物を利用したホテルで優雅なひとときを楽しんでみては。

カテドラルの裏手の細い道を進んでいくと、サン・ミゲルの中庭に出会います。

カテドラルの複雑なシルエットを望む静かな庭があり、のんびりと散策を楽しむのにぴったり。

エヴォラの石畳の狭い路地を歩いていると、タイムスリップしたかのような気分にさせられます。

地図を持たずに、好奇心のままにゆったりと歩くのが似合う街です。入り組んだ路地で多少迷ったとしても小さな街のこと。大した問題にはなりません。

カテドラルから城壁の外に歩いて行くと目に入るのが、エヴォラ大学。

もともとはイエズス会の神学校でしたが、ルネッサンス期から大学となり、この地方の学問の中心としての役割を果たしてきました。18世紀のアズレージョで彩られた回廊が雰囲気満点。

エヴォラの街を歩いていると、世界遺産に登録された観光地でありながら、どこを歩いても日常の空気が感じられます。

ゆるりとした平和な空気が、今も昔もまるごと包み込んでいるかのよう。異なる時代を物語る歴史的建造物が混在するエヴォラの街には、不思議な居心地の良さがあるのです。

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