重厚なレンガ造りから超近未来デザインまで、時空を旅するイギリス・ロンドン地下鉄駅4選

1863年に世界で初めて開業した歴史あるロンドン地下鉄。駅も車両も丸みを帯びた管(チューブ)のような形状から、一般的に「チューブ(Tube)」の愛称で呼ばれています。

文明史にその名を刻み、150年以上の歴史を誇りながら日々進化・拡張を続けるロンドン地下鉄には、開業当時の面影をそのままに残す駅から、超近未来的なウルトラ・モダンな駅まで、鉄道ファンならずとも思わず足を止めたくなる魅力的な駅が多く存在します。

今回はそんな中でも特に必見の地下鉄駅をご紹介しましょう。

1. ベイカー・ストリート(Baker Street)

世界初の地下鉄「メトロポリタン・レイルウェイ(Metropolitan Railway、現在のメトロポリタン・ライン)」の路線に造られたベイカー・ストリート駅は、ロンドン地下鉄の中でも開業当時の構造が今も見られる貴重な駅。

「サークル・ライン、ハマースミス&シティ・ライン(Circle and Hammersmith & City)」のプラットホームに電車が進入すると、車内からもその重厚な雰囲気が伝わってきます。

筆者もこれまでこの駅を通るたびにその独特な空気に惹かれていましたが、いざ降り立ってみると、その瞬間から、ヴィクトリア時代に身を置いているかのような気分になります。

開業当初の地下鉄車両は蒸気機関車だったため、近代に造られた駅よりも高い天上が特徴。

そして、もうひとつの特徴が壁のアルコーブとその中に設置された木のベンチ。これほどベンチの数が多い駅もあまり見かけません。

階段の欄干天井(らんかんてんじょう)もシックなえんじ色で統一され、どこまでもクラシックな印象を与えます。

連絡通路にぽつんと置かれたベンチ。窓とタイルとベンチの配置のコントラストが絶妙です。

曲線と直線が交差し、ここまで凝る必要があるのかと思わせるほど凝ったデザインの中央チケットホール。とにかくどこを切り取っても絵になる駅です。

そしてこの駅の名を世界的に知らしめたのが英作家アーサー・コナン・ドイルによる推理小説「名探偵シャーロック・ホームズ」。

小説の中でのシャーロックの下宿先が「ベーカー街221B(221B Baker Street)」にだったことから、駅前にはシャーロックの銅像が建てられています。

現在同地は世界中から観光客が訪れる「シャーロック・ホームズ博物館 (The Sherlock Holmes Museum) 」になっています。

ロンドンの中心部にありながら駅の北側には広大な「リージェンツ・パーク(Regent’s Park)」が広がり、多くのショップやレストラン。「マダム・タッソー蝋人形館(Madame Tussauds London)」もある、観光にも散歩にも便利な立地です。

2. ガンツ・ヒル(Gunts Hill)

「ロンドン地下鉄の美しい駅」とネットで検索すると必ずといっていいほど名前があがるこの駅は、ロンドン中心部から少し離れたロンドン北東部に位置しています。

地上に駅舎がないので、ファッション誌の撮影ができそうな洒落たタイルが目を引く長い地下道を通って駅へ入ります。

整然と並ぶ正方形のライトが他に類を見ない雰囲気をかもし出し、自ずとエスカレーターの下にあるホームのデザインに期待が高まります。

そして現れたのが上りと下りのホームの間に広がったまるで映画のワンシーンに出てきそうなロマンティックなコンコース。

地下鉄設計士のチャールズ・ホールデンによる設計で、同時期にホールデンが開発に携わっていたロシアのモスクワ地下鉄に影響され設計したとされています。

等間隔の柱とベンチ、タイルの直線と天井アーチが整然とした印象を与えながら、大国ロシアの優美さを感じさせます。第2次世界大戦中は防空壕として使用されていたのだとか。

これといった見所もないので、旅行者は訪れる機会があまりない駅だと思いますが、ロンドン中心部を横断するセントラル・ラインが通っているのでアクセスは良好。

ホールデンはこの駅のほかにも、「サウスゲート(Southgate)」「コックフォスターズ(Cockfosters)」「アーノス・グローブ(Arnos Grove)」「イースト・フィンチリー(East Finchley)」など、1930年代に流行したアール・デコ調の駅を多く設計し、今に残しています。

3. ウェストミンスター(Westminster)

歴史に直に身を置けるような貴重な体験ができる古い駅とは対極にあるのが、「ジュビリー・ライン(Jubilee)」の延長乗り入れのために建て替えられ、1999年に再オープンしたウェストミンスター駅。

再オープンから18年経過しているにも関わらず、未だにこの駅に降りると近未来に迷い込んだかのような錯覚に陥ります。

コンクリートとメタルの無機質さ、太い柱と梁、鎧をまとったかのようなエスカレーターは“クール!”の一言。柱の影からライトセーバーを手にした映画スター・ウォーズのダース・ベイダーが姿を現しそうな気がしてなりません。

2012年のロンドン・オリンピックの自転車競技場「ヴェロドローム(Velodrome)」を手がけた世界的な設計事務所である「ホプキンス・アーキテクツ(Hopkins Architects)」による設計で、2001年に王立英国建築協会(RIBA)賞を受賞した名建築です。

無機質な空間に躍動感を吹き込む絶妙なライティング。

駅を出た目前にはビッグ・ベンと国会議事堂、テムズ川、ロイヤル・ウェディングで名高いウェストミンスター寺院など、ロンドン屈指の観光スポットが目白押し。同駅を訪れたら、最下階にあるジュビリー・ラインへと続く空間をお見逃しなく。

4. ロンドン・ブリッジ(London Bridge)

ロンドンから主にイングランド南東部へと長距離列車が発着するターミナル駅でもあるロンドン・ブリッジ駅。この地下鉄駅で注目したいのがジュビリー・ラインのホームから「ノーザン・ライン(Northern)」へと乗り換える連絡通路です。

ダース・ベイダーが現れそうなウェストミンスター駅に対し、こちらはR2-D2をモチーフにしたような色合い。まるで宇宙ステーションの中の通路のようでもあります。

超音速でワープできそうな通路の先はにあるのは……“国際宇宙ステーションのホール”ではありませんが、一見の価値ありです。

テムズ川南岸に位置するこちらの駅近くには美味しいものが必ず見つかる「バラ・マーケット(Borouh Marketg)」、ヨーロッパ一の高さを誇るビル「ザ・シャード(The Shard)」、ロンドンを訪れたら必ず見たい「タワーブリッジ(Tower Bridge)」へと続くテムズ河など見所が豊富。

新旧の魅力溢れるロンドン地下鉄。ロンドンを訪れた際はただの交通手段として足早に通りすぎるだけでなく、足を止めてじっくり眺めてみては?

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