中世からの贈り物、イギリスのヨークを訪ねてみよう!

ロンドンから電車で北上すること2時間。1900年以上続く長い歴史を持ち、政治・経済・宗教・技術など様々な面で重要な役割を果たしてきた町、ヨークがあります。

中石器時代(紀元前8000~7000年)には、ヨークの辺りに人が住んでいた跡があるそうですが、「町」としての起源は古代ローマ帝国時代に遡ります。

当時ブリタンニア(現イギリスの一部)遠征をしていた古代ローマ帝国は、敵対する部族へ攻撃を仕掛ける最適な地として、ウーズ川とフォス川の交わった場所に要塞を建設しました。これがヨークの町の始まりです。

またもう一つ、ヨークには強みがありました。ヨークを流れるウーズ川は、三角州を経て北海へとつながっているため、ヒトやモノの輸送拠点としても注目を集めます。これゆえ、ローマ帝国後も、ヨークはアングロサクソン人、ヴァイキング、ノルマン人などの「外国人」に征服・支配をされ続けました。

ヨーロッパ各地からヨークに特産品が持ち込まれ、ヨークの穀物や羊毛が輸出品としてヨーロッパ各地に輸出されました。こうしてヨーロッパ各地の商人が出入りする「国際貿易都市」としての地位を確立していきます。

時の権力者たちは、この国際的に繁栄した町ヨークにて、様々な建造物を建造させており、その一部は今もしっかりと残っています。

例えば、ヨーク城。まずノルマン人のヨーク征服後、1068年に最初のお城が建設されました。その後13世紀に、ヘンリ三世によって石をベースに再建築。更に修復・改築を経て現代に受け継がれ、今はその一部が「クリフォードタワー」として堂々としたたたずまいで残っています。

ちなみに、この「クリフォードタワー」は、英国政府が設立したイングリッシュ・ヘリテッジにより、400近くある価値ある歴史的建造物の1つとして認定されています。

またヨークの町が建設されて以来、町を守るために何度かに渡り作られた城壁。現在でも、13-14世紀に石で作り替えられた城壁の一部が保存され、歩道となっており、ここを歩きながらヨークの街並みの一部を楽しむことができます。

その他、中心街には、今も中世時代の家屋や商店や、石畳の小道も残っており、ヨークの古き良き時代へのタイムトリップを楽しむことができます。

なおこの町は、実は宗教的にも重要な位置づけを担っています。8世紀頃から大司教が居たとされるヨークには、古くから教会・大聖堂が建築されていました。

ただ異民族の侵入などにより、何度か破壊されてしまったそうです。そして現存するゴシック式のヨーク大聖堂は、12世紀半ばから15世紀にかけて建築されたものです。

今ではカンタベリー大聖堂に次ぎ、英国国教会の中で2番目の地位の大主教が管理する、格式高い大聖堂です。ちなみに聖堂の大きさという点では、北ヨーロッパの中では、ケルン大聖堂に次ぐ規模と言われています。

大聖堂の中に入って、塔を登っていくと、中世の宝石箱のようなヨークの街並を見渡すことができます。

そして実は19世紀に鉄道網のハブとしての役割を担っていたヨーク。その名残もあり、2001年にはヨーロッパ博物館大賞などを受賞し、鉄道博物館としては世界最大級とされるイギリス国立鉄道博物館もあります。

このように探索すればするほど、様々な歴史的な発見点があり、また今も残る古き良き町並みも楽しめるヨーク。ぜひイギリスに立ち寄る機会がある際は、訪れてみてはいかがでしょうか?

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