生誕60年、ミッフィーの故郷ユトレヒトで「ミッフィー三昧」してみよう。

世界中の子供から大人まで、多くの人々から愛され続けている絵本の「ナインチェ・プラウス(Nijntje Pluis)」。日本では、英語名の「ミッフィー」または「うさ子ちゃん」として親しまれています。

ミッフィー誕生のきっかけは、オランダ人グラフィックデザイナーであったディック・ブルーナーさんが、休暇中の別荘の庭で見かけたうさぎを題材にしたお話を、当時1歳のご子息に話して聞かせたことと言われています。

1955年、シンプルな輪郭と鮮やかな原色使いでミッフィーを描いた絵本を出版し、子供たちを中心に人気が広がりました。時代を経て、ミッフィーのデザインは少しずつ変わってはいるようですが、描き始めの原点は保たれています。

ディック・ブルーナーさんのこだわりは、ミッフィーの描き方のみならず、様々なところに出ています。例えば、1冊の絵本は24ページで構成され、右ページにはイラスト、左ページには文が書かれています。また子供向けであることを前提に、16㎝×16㎝の正方形という独特な小さなサイズの絵本となっています。

ミッフィーを主役とした絵本については、これまでに32冊が出版されています。そしてミッフィーが初めて海外に出たのは1960年代。英国と日本に上陸して以来、現在までに50以上の言語に翻訳され、世界中で約8500万の本が販売されました。

残念ながら、ディック・ブルーナーさんは昨年引退宣言をされ、今後新しい絵本が出ることはありません。ただ引き続き、世界中の人々の心で生き続けていくことでしょう。

さて2015年は、このミッフィーが生まれて60年目となります。そこで、ディック・ブルーナーさんが活動をし続けたユトレヒトでの、ミッフィーゆかりの地を巡ってみましょう。

まずは、ユトレヒト中央美術館の別館である「ディック・ブルーナーハウス」です。ここには7000点にも及ぶブルーナーさんの作品(絵本、ポスターなど)が収められています。展示室の1つには、四方の壁に世界各国で出版されている絵本が敷き詰められており、なかなか見応えがあります。

またビデオやオーディオにより、ブルーナーさんの紹介や仕事風景、作品についてなどを学ぶことができます。

その他、ブルーナーさんワールドともとれる子供の遊び場や、ミッフィーを中心としたブルーナーさんの絵本のキャラクターたちのグッズ売り場もあり、ミッフィー好きなら大人も子供も存分に楽しめる場所です。

但し、こちらの「ディック・ブルーナーハウス」は、2015年7月5日で一たび閉館となり、12月に「ナインチェ美術館」として生まれ変わることになっているとのこと、訪問される際には注意が必要です。

また、生誕60年を記念した特別企画もあります。そのうちの1つがアートパレードです。180㎝の高さのミッフィー60体に対して、オランダ・日本のアーティストがペイントを施しました。

このデザインミッフィーの一部が、ユトレヒトの町中にも展示されています。ミッフィーらしさを感じられるデザインから、先鋭デザインまで、様々なミッフィーを楽しんでみましょう。

こうした特別展示以外にも、町では様々な形のミッフィーが潜んでいます。例えば、信号機の中であったり、お菓子屋さんのチョコレートになっていたり。町を歩きながら、探してみるのも、なかなか面白いものです。

そして最後のゆかりの地は、ディック・ブルーナーさんが、アトリエに出勤される前に欠かさず通ったとされるカフェ「カフェ・オルロフ(Cafe Orloff)」。

今はお仕事を引退し、高齢になられたため、ほとんどいらっしゃることはないそうですが、かつてのブルーナーさんの毎日の活力になっていた場所で、美味しいオランダコーヒーを堪能してみるのも、ミッフィー巡礼の記念になるでしょう。

オランダ・日本共に盛り上がりを見せる、ミッフィー生誕60周年。ぜひミッフィーが育った町も訪れてみてはいかがでしょうか?

参考ページ:
ナインチェ専用サイト(オランダ語/英語)
http://www.nijntje.nl/
ナインチェアートパレード(オランダ語)
http://www.nijntjeartparade.nl/

Post: GoTrip! https://gotrip.jp/ 旅に行きたくなるメディア