オランダの鉄道駅にて、ミニピアノ演奏会を楽しもう!
ここ数年、世界の名だたる都市の街角に出現し、密かなブームとなっているもの。それは、誰もが自由に弾ける「ストリートピアノ」です。
ことの発端は、イギリス人アーティストであるルーク・ジェラム氏が始めた「Play Me. I’m Yours(私を弾いてみてください。私はあなたのものです)」プロジェクトです。
このプロジェクトのホームページにて、ジェラム氏がこのプロジェクトのきかっけを語っています。
「町の中には無数のコミュニティがあるけれど、みんなお互い沈黙したまま時を過ごしてしまっている。でも、もし町の中にピアノを置いてみたら、人々の間に会話が生まれ、町の中に動きが出てくるかもしれない!と突然ひらめいたんだ」
2008年、まずはイギリスのバーミンガム市内に15台のピアノを設置。約3週間で14万人以上の人々が、ピアノの弾き手として、また聴衆として、ストリートピアノを楽しんだそうです。
そしてこの成功をきっかけに、イギリスのロンドン、ヨーロッパのその他の都市、ニューヨーク、南米まで広がっていき、今では約50の都市にてこのプロジェクトは展開されています。
ストリートピアノは、主に大きな公園、バスや鉄道の駅、広場などに設置されています。沢山の人たちが行きかいをする中、空いている時に好きにピアノ演奏をできます。また誰かがピアノ演奏を始めると、自然と聞き入る人たちの輪ができています。
ピアノ好き、音楽好きな人々が、こうした動きに触発され、類似したプロジェクトを立ち上げるといった現象も起きています。そしてその1つの好例がオランダにあります。
とある若いオランダの女性が、ドイツを旅行した際に、町の中でストリートピアノを囲んで、人々が音楽を楽しんでいる様子に出くわしました。ピアノ演奏が大きな趣味である彼女は、「自分の住む国・町でもできないだろうか」と考え、自分の住む町で活動を始めます。
更に、「駅で即興コンサートができたら、駅の雰囲気も良くなるかもしれない」と考え、オランダ国鉄(NS)に企画を持ち込みます。最初の電話では断られたものの、再度のアプローチが成功し、地元の駅舎にピアノを設置することができました。
今では、オランダ国内にこの動きが広がっており、アムステルダム、デン・ハーグなどの主要都市の中央駅を含めて、7から8つほどの駅に常時設置されています。またフェイスブックにそれぞれのファンページもあります。
では実際に二駅ほどで、ストリートピアノがあるエリアを覗いてみましょう。
日中や夕方の時間帯は、大体誰かが演奏をしています。そしてその様子も、その時々で違います。
クラッシックピアノの譜面を置き、真剣な面持ちでピアノを弾く男性。暗譜をした曲を身体を動かしながら楽し気に引く若者。ピアノを交代で弾いて楽しむ若者たちのグループ。
ギターなど他の楽器を持った友人たちと一緒に演奏をする人たち。ちなみに、時にはジャズピアニストなど、プロの演奏家が飛び入りで演奏するときもあるようです。
そして周りの人たちの様子も様々です。誰かとの待ち合わせでベンチに座りながら、バックミュージックとして音楽を聞く人たち。
ピアノの前で、わざわざ足を止めて聞き入る人たち。
演奏している人たちをスマートフォンで撮影する人たち。
そして素敵な演奏と思えば、演奏終了後に、どこからともなく拍手が沸き上がることも。
こうしてプロジェクトを始めた人たちの想いが世界中で受入られ始めている公共ピアノ。オランダやヨーロッパの都市、またその他の世界の都市の旅の途中で、ピアノを見かけた時には、ぜひ足を止めて聞き入ってみてはいかがでしょうか?
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りすねこ
東京生まれの東京育ち。20代半ばに突然一人旅にはまり、これまで欧州・アジアを中心に32ヵ国訪問。30代半ばの英国大学院留学を機に、旅のスタイルは、一人女子旅型から、海外の友人宅での滞在旅行型へ移行。 2012年東京での超激務会社員生活をたたみ、パートナーの故郷であるオランダの小さな田舎村に移住。時折オランダやその近郊国の可愛い町を開拓中。