「フランスの最も美しい村」ムスティエ・サント・マリーは五感で幸せになれる場所

フランス全土に150あまり存在する「フランスの最も美しい村」。

とりわけ豊かな自然と中世の街並みが調和する南フランスは美しい村の宝庫です。

なかでも、プロヴァンス地方からコート・ダジュール地方へと続く山岳地帯に位置するムスティエ・サント・マリーは秘境にある穴場的存在。背後に切り立った山々が迫るダイナミックな自然景観と、名産の陶器「ムスティエ焼」で知られています。

澄んだ水と良質の土に恵まれたムスティエ・サント・マリーは、17世紀から陶器の里としてヨーロッパ中にその名をとどろかせていました。ところが、19世紀に陶器産業は衰退し、一時は窯が完全に閉鎖されてしまう事態となりました。1925年にようやく生産が再開され、今も昔ながらの製法で生産が続けられています。

ムスティエ・サント・マリーに到着すると、背後に迫る岩山の迫力に圧倒されます。「よくこんなところに村を造ったものだ」と感心させられるほど。

村のあちこちからその顔をのぞかせる岩山と、中世の村が織りなす風景は、ムスティエ・サント・マリーならでは。ついついシャッターを切る手が止まらなくなります。

厳しい自然の表情を見せる険しい岩山とは対照的に、この村で過ごす時間は、どこまでも優しく穏やか。

中世の面影を色濃く残すパステルカラーの建物が並ぶ村には南仏らしい泉が点在し、名産のムスティエ焼やラベンダー製品を売るショップが並びます。

陶器の産地らしく、民家の壁に陶器でできた飾りを見つけることも。

何気ない街角の一コマも、はっとさせられるほど絵になります。

村を歩いているだけで、すっかり心が穏やかになって、満ち足りた気分になれるはず。

村を流れるせせらぎの音、どこからともなく漂ってくるほのかなラベンダーの香り…なんとも五感に心地よい場所です。

ムスティエ・サント・マリーに来たからには、岩山の上にある教会に行ってみましょう。

長い石畳の階段をのぼっていくと、岩山の中腹にあるノートルダム・ド・ボーヴォワール礼拝堂にたどり着きます。

どうやって建てたのかと思うような場所に造られた礼拝堂。シンプルな内部は静寂の世界です。

陶器の里、ムスティエ・サント・マリーらしく、聖母マリアとイエス・キリストが描かれた陶器が壁にはめ込まれています。

こうしてその土地ならではの魅力を発見すると、街歩きがもっと楽しくなりますね。

教会に向かう途中、山の中腹から間近で見る岩山の迫力は圧巻。また、ここからは、二つの岩山を結ぶ鎖にぶらさがる銀色の星をはっきりと見ることができます。

伝説によれば、この星が最初にかけられたのは13世紀のこと。十字軍遠征から帰還した騎士が、無事に帰って来られたことへの感謝を表すために捧げたのだとか。以来、この星は幾度となくかけ替えられながらムスティエ・サント・マリーの村を見守っています。

ムスティエ・サント・マリーの村が穏やかで幸せな空気に満ちているのも、村を見守る星と礼拝堂のおかげなのかもしれません。

さらに眼下には中世の村の風景が広がります。まるで時間が止まったかのような素朴であたたかい街並みは、きっと特別な景色として心に刻まれることでしょう。

「フランスの最も美しい村」のひとつ、ムスティエ・サント・マリーは、自然と人工物が美しく調和した、歩くだけで幸せになれる場所なのです。

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