スペインの世界遺産の街、コルドバでアラブ世界にトリップ!カサ・アンダルシ

メスキータを中心とした歴史的な街並みが世界遺産に登録されているスペイン南部、アンダルシア地方の古都コルドバ。

かつて後ウマイヤ朝の都として、東ローマ帝国の首都コンスタンティノープルと肩を並べるほどの繁栄を謳歌しました。

1236年にキリスト教徒によって奪回された後も、以前のイスラム支配を今に伝える遺産が随所に残されています。

そんなイスラム文化が香るコルドバで訪れたい穴場的スポットが、12世紀のイスラム教徒の邸宅が当時の雰囲気のままに楽しめる「カサ・アンダルシ」。

カサ・アンダルシがあるのは、メスキータの北に広がるユダヤ人街。白壁の建物と細い路地が連なる迷路のような一角にひっそりとたたずんでいます。それと知らなければ通り過ぎてしまいそうなこじんまりとした建物のせいか、訪れる人は多くはありませんが、イスラムの文化と美的感性に触れられる素晴らしい空間なのです。

中央にパティオが配置されたつくりは、当時のアンダルシア地方の邸宅としては典型的。水をたっぷりたたえた噴水と、丁寧に小石が敷き詰めて描かれた地面の幾何学模様、パティオを取り囲む円柱が見事な調和を見せます。

まさに静寂と平穏の世界。あっという間にカサ・アンダルシの世界に引き込まれてしまいます。

パティオと居室をつなぐ境目には、イスラム建築の特徴であるアーチが見られ、その下には「終わりのない旅」を暗示するアラベスクが彫られています。

エキゾチックな魅力が香り立つ細やかな手仕事に思わずため息が…

最初の部屋では、ヨーロッパにおける初期の製紙工場で使われた用具の模型が展示されています。

イスラム教徒が中国で発明された製紙・印刷技術をイラクのバグダッドへと伝え、そこからスペイン、イタリアのシチリア島、ヨーロッパ全体へと広がっていきました。イスラム教徒は製紙・印刷技術の普及に一役買っていたのですね。

同じ部屋では、アラビア書道の作品も展示されています。文字の美しさを極限まで追求したというだけあって、その筆致は実に優美で芸術的。

続いて2番目のパティオを抜けると、古い市壁が残っている部分があり、往時にタイムスリップしたような感覚が味わえます。

その先に待っているのが、カラフルなタイルが美しい浴室。

水に浮かぶ花々は、造花ではなく、なんと本物。色とりどりの花の芳香に包まれる瞬間は、至福のひとときです。

最後に、またパティオに面した部屋へと戻ってきます。

細やかな幾何学模様が美しいタイル、精巧な装飾に目を見張る木製の家具や調度品などが当時の主人の優雅な暮らしぶりをしのばせます。それはきっと、丁寧で心豊かな生活であったに違いありません。

どこを切り取ってもエキゾチックな美しさが絵になるカサ・アンダルシ。空間を構成する要素一つひとつが芸術的で、つぶさに見ればみるほど、イスラムの美に魅了されます。

団体ツアー客でにぎわう表の通りとはまさに別世界。誰にも教えたくない「秘密の家」で過ごす上質な時間があなたの心を満たしてくれることでしょう。

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