【世界の街角】世界遺産アルハンブラ宮殿のお膝下、異国情緒香るグラナダを歩く

スペイン屈指の観光地、世界遺産のアルハンブラ宮殿で知られるグラナダ。イベリア半島における最後のイスラム王朝、ナスル朝が支配したこの街は、今もかつてのイスラム時代を彷彿とさせるエキゾチックな魅力に満ちています。

イスラムの香り漂う、スペイン・アンダルシア地方の街、グラナダを歩いてみましょう。

グラナダのシンボルといえば、なんといっても街を見下ろす丘の上にたたずむアルハンブラ宮殿。街なかからアルハンブラ宮殿を見上げると、その大きさに驚くはずです。

ナスル朝初代王・ムハンマド1世の時代に建設が始まり、14世紀の7代王・ムハンマド5世の時代に完成したイスラム芸術の最高傑作で、複数の宮殿をはじめ、多数の建造物から成り立っています。

アルハンブラ宮殿を構成する建造物のなかでも、「千夜一夜物語」の世界を思わせるナスル宮殿は、隅々まで必見。「正気の沙汰ではない」と思えるほどの精緻な手仕事の数々をじっくりと堪能しましょう。

アルハンブラ宮殿の西に広がるグラナダで最も古い街並みが残る地区が、アルバイシン。アルバイシンの街並みは、アルハンブラ宮殿とともに世界遺産に登録されています。

11世紀にイスラム教徒によって、敵の侵入を防ぐ城郭都市として築かれたため、迷路のように入り組んだ路地が張り巡らされているのが特徴的。

高台にある「サン・ニコラス展望台」をはじめ、アルハンブラ宮殿を見渡せる美景スポットとしても知られています。

アルバイシンの一角にあるサクロモンテの丘には古くからロマ族が暮らしてきた洞窟住居の数々があり、伝統的な文化が受け継がれています。

ヨーロッパとは思えない異国情緒や独特の風景が楽しめるアルバイシンは、時間を忘れてのんびりと歩きたくなる場所です。

グラナダで、アルハンブラ宮殿に次ぐ見どころとなっている歴史的建造物が、カテドラルと王室礼拝堂。

カテドラルは、イスラム支配の終焉の後、1518年にモスクの跡地に建設が始められた大聖堂です。当時はトレドの大聖堂をモデルにゴシック様式の建造物として基礎工事が進められましたが、イタリア・ルネッサンスの影響を受け、装飾にはアラブ的なムデハル様式を用いるなど、さまざまな様式が混在する聖堂となりました。

角度によってまったく違う建物に見える建築様式がとてもユニークで、見ていて飽きることがありません、白を基調としたカテドラル内部は、黄金色のドーム部分の装飾や祭壇飾りが圧巻。

外の賑わいとは別世界のような静謐な空気が流れています。

カテドラルと並んで建つ茶色い建物が王室礼拝堂。イスラム教徒からグラナダを奪回したカトリックのイサベル女王によって、1504年に建設が開始され、1521年に完成しました。カテドラルに比べるとあまり目立ちませんが、歴史的・美術的価値は非常に高く、こちらも必見です。

礼拝堂内には、イサベル女王とその夫であるフェルナンド2世の遺骸が安置されています。内部の写真撮影は禁止ですが、豪華な彫刻装飾が施された棺や、壮麗な祭壇は一見の価値があります。

カテドラルと王室礼拝堂の周辺は下町の雰囲気で、狭い路地に土産物が所狭しと並んでいる様子は、中東のメディナさながら。

実際に、このあたりはイスラム時代に市場があった場所なのです。

イスラム教徒からキリスト教徒へと、時代とともに支配者が交代した後も、かつての文明の面影が今も色濃く残るグラナダ。

イスラムとキリスト教の文化と芸術が融合した街並みは、きっと忘れられない印象を残すはずです。

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