「受胎告知」のレリーフは必見!ドイツ・ニュルンベルクの聖ローレンツ教会に感動

南ドイツ第2の都市、ニュルンベルク。クリスマスマーケットの街、あるいは、世界最大の玩具の見本市が開催されるおもちゃの街として有名なこの街は、訪れる人をさまざまな表情で楽しませてくれます。

そんなニュルンベルクで見逃せないスポットのひとつが、聖ローレンツ教会。中央駅から街を見下ろす古城・カイザーブルクへと向かう途中に、その荘厳な姿が見えてきます。

聖ローレンツ教会は、1270年から1477年にかけて建てられたゴシック様式の壮大な教会。天に向かって真っすぐにそびえる、左右対称の2本の尖塔が印象的です。

ファサードの装飾も見事。レースのように刻まれた精巧な彫刻に、目を奪われずにはいられません。

第2次世界大戦下で街の90パーセントが破壊されるという壊滅的な打撃を受けたニュルンベルクにあって、聖ローレンツ教会も例外ではなく、戦災の被害を受け、戦後修復が行われました。教会内部には写真や瓦礫が展示され、当時の様子を今に伝えています。

ところが、その外観と内装からはこの教会が経てきた歴史の重みが確かに感じられ、そうと知らなければ戦後に修復されたとは思えないほど。

戦争中、貴重な芸術作品はあらかじめ教会から取り外して別の場所で保管したり、外壁にも防御対策を施したりしていたために、この教会を代表する芸術作品は、現在も変わらぬ姿で私たちの目を楽しませてくれるのです。

教会内部を彩る芸術作品のなかでも最大の見どころといえるのが、天蓋から吊るされている「受胎告知」のレリーフ。

優美な色使い、流れるような着衣の曲線と立体感、髪の毛の質感や表情にまでおよぶ精緻な表現力・・・・窓から入る光が照らし出すレリーフはなんとも神秘的で、思わず時間を忘れて見入ってしまう素晴らしさです。

受胎告知のレリーフのそばには、高さ19メートルの「聖体安置塔」がそびえています。まるで天にも届きそうな高さと、植物のツタを思わせるような滑らかな彫刻は圧巻。

聖体安置塔の台座にひざまずくのは、15世紀にニュルンベルクで活躍した彫刻家で、この塔の作者であるアダム・クラフト。凛々しくも、ユーモラスにも見える表情がユニークです。

壁や祭壇の後ろに配置された窓には、空襲の被害から守られた色鮮やかなステンドグラスの数々がはめ込まれています。その神聖な輝きには、信者でなくとも厳かな気分にさせられます。

戦災からよみがえった建物と、戦争の被害をくぐり抜けた芸術作品が私たちを魅了する聖ローレンツ教会。

その美しさと力強さを目の前にすれば、きっと感動せずにはいられません。

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