シンガポール・チャイナタウンの巨大ランドマーク「新加坡佛牙寺龍牙院」に圧倒される

中国系、インド系、マレー系をはじめ、異なる民族がそれぞれの文化を維持しながら共存している多民族国家、シンガポール。

そんなシンガポールを代表する見どころのひとつが、チャイナタウンです。シンガポールを構成する民族のうち、7割を占める多数派が中国系ということもあって、チャイナタウンはシンガポールにあるエスニックタウンのなかでも規模が多く、活気に満ちています。

近代化の波を受けながらも中国文化が根付いた独自の景観を維持するチャイナタウンに、2005年に登場したのが「新加坡佛牙寺龍牙院」。

その巨大さと鮮やかな色使いから、チャイナタウンにある建物のなかでもひときわ目を引く仏教寺院で、ミャンマーの寺院で見つかった仏陀の歯を祀るために建てられました。

唐王朝時代の建築様式を用いたダイナミックな姿から、たちまちチャイナタウンのニューランドマークの地位を確立。参拝に足を運ぶ中国系住民はもちろんのこと、シンガポールを旅行する観光客も多く訪れる名所となっています。

寺院の正面に立つと、その大きさにただただ圧倒されます。

入口をくぐって1階の奥に進むと、巨大な弥勒仏が鎮座する大ホールが。

左右の壁には100体の仏像が並び、さらにその周囲は無数の極小の仏像で埋められています。

金色と赤で装飾されたホールはじつに華やかで、そんなところにも中国文化らしさが感じられます。きらびやかな黄金色の仏像は、日本の「わびさび」の仏像とは異なる趣ですが、その穏やかな表情を前にすると、不思議と心が安らぐような気がするでしょう。

多くの観光客は1階だけを見てこの寺院を後にしてしまいますが、お楽しみはここから。

3階には、仏教博物館「龍華文物館」があり、仏陀の一生とその教えが、東南アジアやインド、中国などの仏像や仏教遺跡とともに紹介されています。

そして4階には、この寺院でもっとも神聖な空間、仏陀の歯が安置された黄金のストゥーパがあります。

写真撮影禁止というだけあって、ホール内には、ぴんと張り詰めたような凛とした空気が漂っています。ストゥーパに向かって祈る人々、曼荼羅が描かれた天井・・・厳かな仏教の世界に身が引き締まるような思いがします。

さらに屋上には、ランの咲く庭園があり、常夏のシンガポールらしいトロピカルなムードが感じられます。

プルメリアやヤシの木も茂っており、仏教寺院と熱帯植物の組み合わせは、日本人にとってはなんだか新鮮。ここまで上がってくる人は少ないので、都会の喧騒を忘れてしばしの休息にもぴったりです。

中心に建つ「萬佛閣」の中にある、世界最大級のマニ車もお見逃しなく。

寺院の上層階は、鮮やかな赤の寺院の背後に、プラナカン建築や近代的な高層ビルが連なるシンガポールの風景を望む、絶好の写真撮影スポットでもあります。

これらがすべて無料で楽しめるわけですから、1階だけを見て去ってしまうのはとてももったいないのです。

見た目のインパクトに負けない、中身も充実した「新加坡佛牙寺龍牙院」で、壮大な仏教の世界に触れてみませんか。

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