【世界の街角】中世の要塞島は世界遺産!時が止まったようなクロアチアの古都・トロギールを歩く

クロアチア、アドリア海沿岸に小さな世界遺産の街があります。それが、古都トロギール。

その起源をギリシア時代にさかのぼるという古い歴史をもつ街で、中世の時代には、外敵の侵入を防ぐために建設された水路によって本土と隔てられ、堅固な要塞の島となりました。

城壁で囲まれたこぢんまりとした街は、教会や宮殿、民家といったさまざまな歴史的建造物で埋め尽くされています。

トロギールへのアクセスは、クロアチア有数の観光地スプリットからバスでおよそ40分。スプリットからの日帰り旅にぴったりです。

旧市街への入口となる北門をくぐれば、そこはまさに中世の世界。

迷路のような石畳の路地には、13~15世紀の建造物を中心に、ロマネスクやゴシックなど多彩な建築物がぎっしりと並んでいて、「中世のテーマパーク」といっても過言ではありません。何世紀にもわたって時を止めてしまったかのような街並みに、きっと感激してしまうはず。

トロギール観光の中心が、イヴァン・パヴァオ・ドゥルギ広場。ここには、聖ロヴロ大聖堂や市庁舎、時計塔といった象徴的な建造物が一堂に会しています。

なかでも、トロギールを代表する建造物として名高いのが、聖ロヴロ大聖堂。

クロアチア全土でも指折りの教会で、13世紀初頭に建設が始まり、ようやく完成を見たのは17世紀になってからのこと。そのため時代の変遷にともなって、ロマネスク、ゴシック、ルネッサンスといった、異なる建築様式が混じりあっているのが特徴です。

クロアチアの中世美術の傑作との呼び声高い、アダムとイヴの像が彫られたロマネスク様式の門や、初期ルネッサンス様式の聖イヴァン礼拝堂は必見。

付属の鐘楼から眺める、アドリア海に囲まれた美しい街並みは、トロギール観光のハイライト。鐘楼のてっぺんにたどり着いた瞬間、思わず歓声を上げずにはいられませんよ。

聖ロヴロ大聖堂の向かいには「ロッジア」と呼ばれる屋根付きの建築物があります。

かつては街の集会所や公式行事の場として使われていたもので、今ではここを舞台にしばしば男性合唱のアカペラが披露されています。中世の建造物を舞台にしたコーラスはムード満点、素晴らしい歌声に酔いしれましょう。

迷路のように狭い路地が張り巡らされたトロギールでは、路地散策も楽しめます。

小さなショップやギャラリーをのぞいたり、建物の細部の意匠に目を凝らしたりしているうちに、だんんだん方向感覚が失われていきます。

でも大丈夫。トロギールは小さな街なので、歩いているうちに必ず広場か海沿いにたどり着きます。ヤシの木が並ぶ海沿いの遊歩道は、イヴァン・パヴァオ・ドゥルギ広場に次ぐトロギールの必見スポット。

海に沿って、ラベンダー製品や手作りアクセサリーなどの屋台がずらりと並び、その向かいにはドミニコ会修道院をはじめとする歴史的建造物が並びます。

雰囲気の良いレストランもあるので、天気のいい日はテラス席で食事をとるのもおすすめ。

遊歩道をずっと奥まで歩いていくと、重厚な外観のカメルレンゴの砦が見えてきます。

トロギールがヴェネツィア共和国の支配下にあった15世紀に、ヴェネツィア人がそれまであった塔を改築して造ったもので、ヴェネツィア人にとっては、外敵のみならずヴェネツィア支配に反抗する市民から身を守る目的もあったのだとか。

かつての要塞都市の面影を残す砦は、旧市街を一望できる隠れた絶景スポットでもあります。

本土と切り離された要塞の島となったがゆえに、中世の街並みがそのまま保存されたトロギール。この美しき小島で、しばしのタイムトラベルを楽しんでみませんか。

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