コペンハーゲンから小旅行、デンマークで最も美しいフレデリクスボー城を訪ねて
|「おとぎの国」の名にふさわしく、デンマークには数々の城や宮殿があります。
首都・コペンハーゲン近郊で見逃せない城のひとつが、フレデリクスボー城。
コペンハーゲン近郊の城としては、「ハムレット」の舞台で世界遺産にも登録されているクロンボー城が有名ですが、フレデリクスボー城もデンマークきっての美しさを誇る名城。
外観の華やかさはデンマーク随一で、その姿が目に飛び込んできた瞬間の感動は格別です。
コペンハーゲンからフレデリクスボー城へは、エストー(近郊列車)A線の終点・ヒレロズ駅下車。所要約45分。駅から城までは徒歩15分、または301・302番の市バスでおよそ5分です。クロンボー城とあわせて、コペンハーゲンからの日帰り旅行を楽しむこともできますよ。
城門をくぐって奥に進んでいくと、噴水を中心にアシンメトリーに広がる壮麗な城の姿が。
細部の装飾も圧巻で、ヨーロッパの城らしい華やかさと、デンマークらしい重厚感があいまって、息を呑むほどの圧倒的な存在感を醸し出しています。
フレデリクスボー城の歴史は、16世紀なかばにフレデリック4世が地方貴族から入手したことにはじまります。
その後、1560年から60年の歳月を費やして、ルネッサンス様式を取り入れた大改装が行われました。こうして住居として整えられたのは、フレデリック4世の息子であるクリスチャン4世の時代のことです。
1859年、この美しい城は大火により、その大部分が失われるという悲劇に見舞われました。そのときに城の再建を援助したのは、カールスベア(カールスバーグ)の創業者、J.C.ヤコブセン。
彼の要求を受け、フレデリクスボー城は再建後、デンマークの歴史を物語る絵画や装飾品、宝物などを展示する国立歴史博物館として生まれ変わりました。
現在も、在りし日を彷彿とさせる80ほどの豪華な部屋の数々と、そこに展示された貴重な品々を見ながら、デンマークの歴史をたどることができます。
フレデリクスボー城の見学は、1階にある「バラの部屋」からはじまります。
別名「騎士の部屋」とも呼ばれ、クリスチャン4世の時代には、ここに集まった貴族たちのための晩餐ホールとして使われていました。現在は、さまざまな企画展示が行われる会場となっています。
クリスチャンボー城には数々の豪華な部屋がありますが、そのなかでも最も印象に残る場所が2階にある礼拝堂かもしれません。
ここに一歩足を踏み入れた瞬間、おびただしいほどの彫刻に彩られた空間の、あまりの華麗さに言葉を失います。
この礼拝堂は1680年代、クリスチャン5世の時代に宮廷建築家によってデザインされ、国王の謁見の間として使われていました。
同じく2階にある「謁見の間」には、1693年に作られたデンマーク初の人力エレベーターがあります。かつて王はこれを使って下に降り、外へと出たそうで、このエレベーターは現在も動かすことができるのだとか。
礼拝堂の上階には、城内で最も広い部屋である「大広間」があります。この大広間は1859年の火事で焼失しましたが、クリスチャン4世時代の様子が復元されました。
とりわけ、天井を覆い尽くす精緻で色鮮やかな彫刻は圧巻。かつての王の威厳が肌で感じられる華やかな空間です。
フレデリクスボー城の見どころは、これだけにとどまりません。
湖の対岸には、フランスの造園を見習って造られたというバロック庭園があり、王冠などの模様に整えられた植木がユニークな光景を描き出しています。
ここから眺める城は、まるで湖に浮かんでいるかのよう。
同じ城なのに、場所によってまったく違う風景が楽しめるのもまた、フレデリクスボー城の魅力なのです。
華やかさと威厳を兼ね備えたデンマークきっての美しい城で、非日常のひとときを過ごしてみませんか。
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