ドイツのゲッティンゲンにある「ガチョウ番の娘リーゼル」は世界で最もキスされた少女!?
|ドイツの中央部、メルヘン街道沿いに位置する街、ゲッティンゲン。ここに「世界で最もキスされた少女」といわれる女の子がいます。
それが、旧市街の中心・マルクト広場に建つユーゲントシュティールの銅像「ガチョウ番の娘リーゼル」。この像は、ゲッティンゲンのシンボルにもなっています。
なぜ、この銅像が「世界一」ともいわれるほど多くのキスを受けているのでしょうか。
それは、これまでに40人以上のノーベル賞受賞者が学んだり、研究したり、教鞭をふるってきたりした名門、ゲッティンゲン大学と関係があります。
ゲッティンゲンは、古くから大学町として発展してきました。ゲオルク・アウグスト大学ゲッティンゲン、通称ゲッティンゲン大学は、ハノーファー選帝侯のゲオルク・アウグストによって設立された由緒ある大学。「ガチョウ番の女」はグリム童話の一編で、その生みの親であるグリム兄弟が教えていたのがゲッティンゲン大学なのです。
ゲッティンゲンがグリム兄弟ゆかりの地であることも手伝って、1900年、他の候補作を抑えて多くの市民の支持を得た「ガチョウ番の娘リーゼル」の像がマルクト広場に設置されることが決まりました。
そして1901年、この可憐な像が実際にお目見えしたのです。以来、ゲッティンゲン大学の学生のあいだで、博士課程修了試験に合格したら、この像の頬にキスをするのが習わしになりました。
最初に設置されてから100年以上。それまでこの少女はいったい何回のキスを受けてきたのでしょうか。博士課程を修了した学生といえば、ドイツの将来を担うエリートですから、そんな学生にキスされるのは、この少女にとっても名誉なことなのかもしれません。
像へのキスは、1926年に一旦禁止となったこともありましたが、伝統的な風習として現在も続いているといいます。
リーゼルが左手に抱えているかごの中にはお花が。それも造花ではなく、生花というところが、この少女がいかにこの街で大切にされているかを物語っているように感じられます。
「ガチョウ番の娘リーゼル」の像の背後には、旧市庁舎が堂々たる姿を見せています。「旧市庁舎」の名の通り、基礎部分は1270年ごろに建てられ、1369年から1443年のあいだに拡張されて市庁舎としての役割を担うようになった歴史ある建物。
筆者が訪れたときは、残念ながら補修工事のためにその全貌を見ることはできませんでしたが、建物の内部に入ってすぐ右手には、鮮やかな壁画やシャンデリアで彩られた大広間があります。
厳粛な雰囲気が漂う壮麗な空間はまさに圧巻。美しい壁画からは、15世紀から16世紀にかけて、ハンザ同盟に加盟していた当時のゲッティンゲンの繁栄ぶりをうかがうことができます。
マルクト広場を中心に広がる旧市街には、数々の美しい木組みの建物が残されており、路地を歩けば中世の面影が感じられます。
ICE(高速列車)が停車するゲッティンゲンは、観光の拠点としても便利な街。キスすることはできなくても、あなたもリーゼルにひと目会いに行ってみませんか。
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