1700年もの歴史を語り継ぐドイツ最古の大聖堂「トリーア大聖堂」

ドイツ西部に位置する町トリーア。世界遺産の町としてその名を馳せ、美しい街並みの中には世界遺産に登録された歴史的建造物が点在しています。

そんな世界遺産のひとつが、今回ご紹介するトリーア大聖堂。「聖ペーター」との名でも親しまれているこの建造物は、1700年もの歴史を誇るドイツ最古の大聖堂です。

またトリーア大聖堂は、ケルン、マインツにならぶ「ドイツ3大大聖堂」のひとつ。その堂々とした外観からも、3大大聖堂としての威厳が伝わってきます。

この大聖堂の歴史が始まるのは、この地をローマ帝国が治めていた4世紀のこと。それまであった居城を改修して建てられた教会が、今日の大聖堂の第一歩でした。

4世紀に建設された教会は4つのバジリカやそれをつなぐ洗礼盤などを有し、今日のマルクトまで続く巨大な建物。建設された教会はその後、この地に攻め入ってきたフランク族などによる破壊や、それに伴う修復を繰り返してきました。

やがて12世紀頃からは、時の教皇たちが思い思いに大聖堂の改修や増築をするようになります。これら改修や増築は実に19世紀まで続きました。よってトリーア大聖堂ではザーリアー朝のほか、ロマネスク、ゴシック、バロックと各時代を代表する建築様式が融合。目線を変えるたびに多彩な顔をみせてくれます。

大聖堂内で特に目を引くのが、西陣にあるバロック様式の丸天井。化粧漆喰と象眼細工で装飾がされ、精巧に形作られた彫刻はいまにも飛び出してきそうな躍動感にあふれています。

同じくバロックの要素をもつのが、前方の豪華な聖堂。この中にはキリストが身にまとった布とされる聖遺物がおさめられ、年に一度だけ一般に公開されます。この布は4世紀にコンスタンティヌスの母が巡礼から持ち帰ったという伝説があり、1512年に初めて一般公開されました。

ヴォールトとよばれるアーチ状の天井は、ゴシック様式の典型。その天井から壁にかけては5602本ものパイプから成る巨大なパイプオルガンが取り付けられ、その大きさと華やかさで見る者を圧倒します。

一見すると質素な大聖堂内ですが、細部に目を向ければ華やかな祭壇や彫刻がいたるところに見られます。

大聖堂内部を見終わったら、地下聖堂へも下りてみましょう。足音を立てることさえ躊躇われるような静かな空気が流れる地下聖堂内には、かつてこの地を治めた司教が眠っています。

壁にはトリーア大聖堂に着任した歴代大司教の名前が。ずらりと並ぶ名前も、この大聖堂の長い歴史をさぐる手がかりのひとつです。

時代ごとの特徴を色濃く残し、その歴史を私達に語りかけてくれるトリーア大聖堂。1700年もの歴史を称えるドイツ最古の大聖堂がどんな足跡をたどってきたのか、ぜひご自身の目で確かめてみてください。

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協力:ドイツ観光局