細部までこだわりぬかれた美しい建築とフレスコ画が自慢のドイツ・ブルッサール城へ行ってみよう

ドイツ南西部にある町ブルッサール(Bruchsal)。人口4万5,000人ほどの小さなこの町の外れには、一度見たら忘れたくても忘れることができないほど華やかな城「ブルッサール城」があります。

眩しいほどにピンクが鮮やかな外観のブルッサール城。この城は18世紀に当時の司教によって建てられました。この司教はとても高尚な趣味を持っていたようで、彼は自分の好み通りに城を仕上げるべく何人もの有名な芸術家をブルッサールへ呼び寄せます。

その中の1人がバルタサー・ノイマンという人物。彼はブルッサール城の建設を取り仕切ったほか、この城の見どころのひとつである階段の間も彼の設計によるものです。

城内部は1時間ほどのガイドツアーで見学する事ができます。

城に入った物がまず目にするこの階段の間。

美しい内部の装飾を観察しながら階段を上っていくと、天井には息を飲むほど美しいフレスコ画が現れます。ここに描かれているのは、4世紀から続く司教の歴史。数々の重要な場面が色鮮やかに再現されています。

この城を所有していた司教は、ブルッサールの町の中にも数多くの館などを建てさせました。それらの建物はいわば権力を誇示するためのもの。そしてこの天井にあるような美しいフレスコ画もまた、町を治めていた司教の力の大きさを示すための手段として使われたのです。

フレスコのある広間の隣にあるのは「大理石の間」。華々しい柱や大理石、金や細かな装飾で飾られた豪華絢爛なロココ様式の部屋は、祝賀行事などに使われました。壁にはハプスブルク家の女帝として知られたマリア・テレジアの肖像画も飾られています。

そしてこの部屋の天井にも美しいフレスコ画が。天井の細かな彫刻の部分と画の部分が絶妙に入り混るという、なんとも凝った作りになっています。

大理石の間の両側にはいくつもの部屋が連なり、絵画コレクションや調度品などが展示されています。

タペストリーの種類も多く、モチーフも動物や植物など様々。こちらのタペストリー描かれている花や果物は、当時はとても高価な物だったのだそう。少し見えにくいですが、ここに描かれているオウムも富の象徴とされていました。

現在では私達の身近にあるものでも、当時は「憧れの物」としてこのように絵画などのモチーフに使われたのですね。

最高峰の芸術を結集して建てられたブルッサール城。かれらの芸術に込めた魂が宿っているのか、この城は見る者を惹きつける何かを持っています。

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