世界の切手マニアが注目!?ミニ国家・リヒテンシュタインの切手博物館に行ってみた
|ヨーロッパ第4の小国で、世界でも6番目に小さいミニ国家がリヒテンシュタインです。スイスとオーストリアに挟まれ、面積は小豆島と同程度、人口はわずか37000人という、日本でいえば小さな地方都市のような規模。
それでいて、国民の平均年収は約1000万円という世界でも屈指の富裕国で、リヒテンシュタインの国家元首であるリヒテンシュタイン公爵家は、ヨーロッパの君主のなかでも指折りの資産家とされています。
そんなリヒテンシュタインの代名詞ともいえるのが、切手。
凝ったデザインと、なかなか真似のできない高度な印刷技術から「世界で最も美しい」ともいわれるリヒテンシュタインの切手は、世界の切手マニアの注目を集めてきました。その人気ぶりは、ヨーロッパ各国に「リヒテンシュタイン切手収集愛好会」が存在しているほどなのだとか。
それだけに、「切手で食べている」と噂されることもあるリヒテンシュタインですが、実際は切手による収入は国家収入の1割弱。とはいえ、切手の使用頻度が減っている現代において、切手で国家収入の1割近くをまかなっているというのは驚くべきことです。
リヒテンシュタインで初めて切手が発行されたのは、1912年のこと。それ以降、第二次世界大戦下でも中断することなく、実用切手と記念切手の発行が続いてきました。
リヒテンシュタインにとって、切手は世界に自国をアピールする重要な手段のひとつ。
首都のファドゥーツの中心部には「切手博物館」があり、リヒテンシュタイン屈指の観光スポットになっています。観光案内所のすぐそばにある切手博物館はなんと入場無料。
小さな町だけに博物館も小規模ですが、切手作りの歴史や、切手作りの方法、切手デザインの原画、1912年から近年にいたるまでの歴代の切手などが展示されていて、切手マニアでなくても一見の価値あり。
博物館の入口付近には、かつて使われていた古いポストが展示されています。
リヒテンシュタインにおける郵便のシンボルはラッパ。ドイツやオーストリア、スイスなどヨーロッパの多くの国々でも同様のシンボルが見られます。これは18世紀から19世紀ごろのヨーロッパで、郵便の到着・出発の自国を人々に知らせるために郵便ラッパを吹いていたことに由来します。
レトロ感たっぷりの切手の自動販売機もありますが、現在は展示用で実際に使うことはできないのが少々残念。
奥に進んでいくと、1980年のモスクワオリンピックにちなんだものなどさまざまな記念切手が展示されているほか、切手の歴史にまつわるショートフィルムを上映するスペースもあります。
反対側には現在のリヒテンシュタインとその周辺における郵便の歴史や、19世紀に使われていた郵便にまつわる道具などが展示されており、クラシカルな雰囲気が。
より便利で早いほかの通信手段が発達している現代とは違って、当時郵便の重要性が極めて高かったことは想像に難くありません。
ここで注目してほしいのが、一見展示休止中かに見える小さなレバーがたくさんついた棚のようなもの。
このレバーを手前に引くと、100はあるのではないかと思われる棚の中に、年代ごとのさまざまな切手や切手のデザイン画などが収まっているのです。
いまとなってはプレミアが付いているような切手もあり、マニアにはたまらないコレクションといえるでしょう。
展示スペースの端には切手のデザインが彫られたアクリル板の展示もあって、その精巧さには目を見張るばかり。
「切手はサイズこそ小さくても原理は版画と同じであり、芸術なのだなぁ」と納得せずにはいられません。
小さな小さな一枚に美的感性がぎゅっと詰まったリヒテンシュタインの切手の数々を目にすれば、切手に興味がなかった人も切手マニアの気持ちが少しはわかるというものでしょう。
館内ではさまざまな絵柄の記念切手やオリジナルグッズの販売も行っており、観光客に大人気。
日本でリヒテンシュタインの切手を使うことはできませんが、記念に持って帰るもよし、ここから日本の家族や友人に充ててポストカードを送るもよし。せっかく切手の国・リヒテンシュタインを訪れたなら、世界最高峰の美しさを誇る切手を一枚は手に入れたいものですね。
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