世界最大級のアドベントカレンダーが登場!ドイツ・ゲンゲンバッハのクリスマスマーケット

ドイツ南西部・バーデン=ヴュルテンベルク州、黒い森地方に位置するゲンゲンバッハ。小さい町ながら、見事な木組みの家々が保存された町並みは、「ロマンチックな宝石のような町」、「バーデン地方のニース」などとたたえられています。

そんなゲンゲンバッハを有名にしているのが、世界最大級のアドベントカレンダー。

アドベントカレンダーとは、アドベント(待降節:クリスマス前の約4週間)の期間中、クリスマスまでの日数をカウントダウンするためのカレンダーで、通常12月1日から24日までの24個の窓が付いています。

ゲンゲンバッハのアドベントカレンダーは市庁舎の24個の窓を使ったもので、アドベントの時期になると市庁舎がまるごとカレンダーに変身するのです。

11月30日から毎日一つずつ窓が開かれ、メルヘンチックな絵柄がお目見え。12月23日にはすべての窓が開かれ、翌年1月8日ごろまで24の絵が揃った光景を見ることができます。

ゲンゲンバッハにある建築物のなかでも最高傑作とうたわれる市庁舎は、1784年に建築家ヴィクトール・クレッツによって建てられたもの。

ロココの要素と初期クラシック様式を兼ね備えたファサードには、正義の神と知恵の神、富裕な貴族を象徴する3体の像が並び、バルコニーの柱頭にはヨーロッパ、アジア、アフリカ、アメリカの4地域を表す装飾が施されています。

そんな華麗なる市庁舎が色とりどりの絵柄で彩られたとき、ひときわメルヘンチックな姿を見せてくれます。

過去には、マルク・シャガールやトミー・ウンゲラーといった著名な芸術家たちが制作を手がけてきたゲンゲンバッハのアドベントカレンダー。2016年から2018年は、アメリカの画家・版画家・芸術家で「ポップアートの旗手」と呼ばれたアンディ・ウォーホルの作品が楽しめます。

クリスマスツリーや天使、猫、ハイヒールなど、可愛らしいモチーフがデザインされたカラフルなアドベントカレンダーは、思わず目を奪われる美しさ。ぜひ、一つひとつの絵柄をじっくりと鑑賞してみてください。

市庁舎の下部に設けられた特設ステージでは、アルプホルンによるクリスマスソングの演奏や合唱など、日によって異なる出し物が行われます。

グリューワインを飲みながら音楽に耳を傾けるのも、この時期だけの楽しみ方。

市庁舎が建つ広場の周辺には、さまざまな雑貨や食べ物の屋台が並び、寒さも吹き飛ぶほどの賑やかなムードに包まれます。

中世の面影を残す町並みと、美しくデコレーションされた屋台のコラボレーションはなんとも絵になりますね。

豊かな森に抱かれた黒い森地方だけあって、木を使った素朴であたたかい雰囲気のクリスマスデコレーションが充実しています。ほかに、ハムやはちみつなどもこの地域の名産品。

食べもの屋台でおすすめなのが、南西ドイツ名物の「フラムクーヘン(Flammkuchen)」。日本ではフランス語の名称である「タルト・フランベ」のほうが有名でしょうか。

一見ピザのように見えるフラムクーヘンは、薄く伸ばしたパン生地にサワークリームを塗り、ベーコンや玉ねぎなどの具材を散らしたもの。生地が薄いためサクッと軽い食感が特徴で、特に焼きたては絶品ですよ。

寒空の下でアツアツのフラムクーヘンとグリューワインをいただく。ささやかながら、この上なく贅沢なドイツの冬の楽しみです。

ドイツ南西部には、世界的に有名なシュトゥットガルトのクリスマスマーケットをはじめ、バーデン・バーデンやコンスタンツ、フライブルクのクリスマスマーケットなど個性あふれるクリスマスマーケットが点在しています。

「世界最大級のアドベントカレンダー」に会いに行ったら、ドイツ南西部の地域色豊かなクリスマスマーケットめぐりをしてはいかがでしょうか。

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