インパクト大!007で有名なロンドンの「秘密情報部 MI6 ビル」は意外な建物をモデルにしていた

言わずと知れたスパイ映画「007」。映画の中で主人公のスパイ、ジェームズ・ボンドが所属するのが、イギリスの情報機関のひとつである「秘密情報部(Secret Intelligence Service MI6、略称SISまたはMI6)」です。
MI6の役目は国外からの脅威に対し、イギリスの安全を守るために情報収集及び分析を行うこと。

今回は007の劇中に何度も登場した、ロンドンに実在するMI6ビルをご紹介します。
MI6ビルが位置するのはロンドン南西部のテムズ河沿い、地下鉄「ヴォクスホール(Vauxhall)」駅近く、地上では主要道路が交差する「ヴォクスホール・クロス(Vauxhall Cross)」です。

駅を出ると一風変わった建物が交差点を取り囲んでいます。
まるで何かの発射台のようなバスターミナルの突き出た屋根部分は太陽光パネルが設置されています。

河を見下ろす高級マンションも奇抜なデザイン。

そんな建物群の中で、一際異彩を放っているのがテムズ河の南岸にそびえ立つMI6ビルです。

007に登場するのは実はテムズ河に面したビルの裏側で、映画に映らないビルの正面は道路側。

入り口には『こちら秘密情報部』などと書かれたプレートの類は何も掲げられていません。

代わりに目に付くのは、厳重な鉄条網と多数の監視カメラ。少々緊張しつつビルの周りの歩き、あちこちから撮影しましたが、特に咎められることはありませんでした。

「ヴォクスホール・ブリッジ(Vauxhall Bridge)」を渡ると、橋の上や対岸から映画のシーンと同じアングルでビルを見ることができます。

1994年に移転開業した現在のMI6ビルは、建築家のテリー・ファレル氏により「ポストモダン建築(Postmodern architecture)」様式で建てられました。
ポストモダン建築とは、近代的で機能性を重視し装飾を排除した「モダニズム建築(Modern architecture)」後の流れの中で生まれた建築様式で、装飾的でごてごてとした印象の建物が多く、街に溶け込みにくいため賛否が分かれる建物が多い様式でもあります。

ところでこの建物、何かに似ていると思いませんか?

実はイギリスの情報機関でありながら、古代メキシコに栄えたマヤ文明の神殿やアステカ文明の寺院にインスピレーションを得てデザインされているんです。

言われてみれば左右対称の神殿のような形で、ピラミッドの階段のような段差、60もの異なるルーフ・エリアで構成されています。

映画「007 ゴールデンアイ(GoldenEye、1995年)」「 007 ワールド・イズ・ノット・イナフ(The World Is Not Enough、1999年)」「007 ダイ・アナザー・デイ( Die Another Day、2002年)」「007 スカイフォール(SkyFall、2012年)」「007 スペクター(SPECTRE、2015)」に登場するこちらのビル。

映画の中では襲撃され、爆破され、「007 スペクター」では完全に崩壊してしまいますが、もちろん実物は健在です。

MI6から徒歩15分ほどのテムズ河の北岸には、「イギリス情報局保安部(MI5 – The Security Service」もあり、そこからさらに徒歩10分ほど歩くとビッグベンがあるなど、河沿いを散策しながら徒歩でさまざまな見所を観光できるエリアとなっています。
また、近くにあるピア(Vauxhall St George Wharf Pier)からフェリーでテムズ河を移動することも可能です。

見れば頭の中に007のテーマ曲が流れてきそうなMI6ビル。テムズ河沿いの遊歩道を散策しながら訪れてみては?

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