【静寂の町】中世の面影を残すマルタの古都・イムディーナを散策

治安が良く、地中海の美しい自然と旧市街の風景が楽しめるマルタ(マルタ共和国)。

世界遺産に登録されている首都のヴァレッタをそぞろ歩くのもいいですが、せっかくマルタにやってきたならヴァレッタから日帰りでほかの都市にも足を延ばしてみたいものです。

マルタ島の中央部に位置し、「静寂の町」の異名をもつ古都がイムディーナ。

紀元前700年ごろにフェニキア人によって要塞化されて以降、聖ヨハネ騎士団がヴァレッタを建設するまで、長年にわたってマルタの中心地として栄えてきました。イムディーナは海まで見渡せる島の最高地点にあり、軍事的な要所に位置しているからです。

16世紀には首都となり、最盛期には24の貴族の館が並んでいたといいます。

とはいえ、現在のイムディーナは、面積が東京ドームの2倍弱、人口は300人弱という非常に小さな町。首都がヴァレッタに移ったことで人が少なくなったイムディーナは、「静寂の町」と呼ばれるようになりました。

首都のヴァレッタからイムディーナへは、バスで約35分。マルタ島の主要観光スポットを結ぶ観光バス「Hop On Hop Off Bus」も利用できます。

城壁で囲まれたイムディーナの町には3つの門があり、メインの入口となるのがその名も「メインゲート」。

この門は、1724年、当時の騎士団長であったマノエル・ド・ヴィレーナによって築かれたものです。この門ができる前は、人々は跳ね橋を使ってイムディーナに出入りしていたとか。

門の左右には、ヴェレーナ家の紋章であるライオンの像が置かれ、門の内側にはマルタの守護聖人である聖パウロと聖パプリウス、聖アガタの彫刻が施されています。

門をくぐると、その先は狭い路地にハチミツ色の建物が並ぶ中世の町。観光客の姿もヴァレッタよりはずっと少なく、落ち着いた古都の雰囲気が漂っています。

イムディーナを代表する建造物が、聖パウロ大聖堂。マルタで最初に建てられた聖堂で、4世紀にはすでに原型となる小さな教会が建っていたといわれています。

度重なる破壊や修復・拡張を経験してきたこの大聖堂。現在見られる建物は17世紀末の地震後に、マルタ人建築家ロレンツォ・ガファによって再建されたものです。

規模や内部装飾の豪華さではヴァレッタの聖ヨハネ大聖堂に及ばないものの、格式は第一級。

荘厳な空気に満たされた教会内部では、聖ヨハネ大聖堂と同様、マティア・プレッティ作の天井画が見られます。なかでも「聖パウロの難破」のフレスコ画は有名。

あっという間に一周できてしまう町だけに、イムディーナでは地図は不要。そのかわりに、気の向くままにのんびりと路地散策を楽しんでみましょう。

メインストリートは観光客でにぎわっていても、狭い路地に入り込むと、一気に人通りが少なくなり、静かに。これが「静寂の町」と呼ばれるゆえんです。

この町独特の空気感は、訪れた人を自然とのんびりしたムードに変えてしまいます。

天気の良い昼下がり、ほかに誰もいない通りを歩けば自らの足音が響き、どこか別世界へとワープしたかのような気分になるかもしれません。

町歩きを楽しんだ後は、ぜひバスティオン広場の近くにある「カフェ・フォンタネッラ」でティータイムを。

ここのテラス席は、マルタの大平原と地中海を見渡せる絶好のビュースポット。おいしいと評判のケーキとともに、すばらしい眺望を楽しんでみてはいかがでしょうか。

城壁に囲まれた小さな範囲に、中世の美しい風景がぎゅっと詰まった古都・イムディーナ。ヴァレッタやスリーマから足を延ばして、心安らぐ風景に会いにいきませんか。

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