【世界の絶景】ピンク色のひかりに包まれたドイツ・トリーアの聖母教会で、訪れた者だけに与えられる神秘の体験を味わう

ドイツ西部に位置する世界遺産の町トリーア。まちに点在する数ある世界遺産のなかでも、聖母教会はとりわけ神秘的な体験ができるスポットです。

同じく世界遺産に登録されているトリーア大聖堂に隣接して建っている聖母教会。建物自体が建設されたのは13世紀ですが、教会の歴史は4世紀にまでさかのぼります。

時は皇帝コンスタンティヌス1世の治世。彼は自身の即位20年を記念し、キリスト教において重要だとみなした地に教会の建設を命じました。この命によりイェルサレムやコンスタンティノープル、ローマなどに教会が建てられるなか、ローマ文化が発達し「第2のローマ」と呼ばれたトリーアにも教会が建設されます。

やがてローマ帝国の滅亡など時代の諸相も様変わりする中、13世紀には当時のトリーア大司教が教会の大規模な改修を命じます。これに伴いフランスのシャンパーニュ地方から建築マイスター達が呼び寄せられ、彼らの意見が設計に反映されました。

13世紀のフランス、シャンパーニュではちょうどゴシック様式が誕生したばかり。この真新しい建築様式が、トリーアの聖母教会にも取り入れられたのです。

よって聖母教会の建築様式は、準ゴシック様式。12本の細い柱が「ヴォールト」と呼ばれるアーチ形天井を支えています。一方で隣の大聖堂では、ゴシックのほかロマネスクやバロックといった様々な建築様式が融合。隣り合う2つの建造物を見比べてみれば、準ゴシック様式の特徴がより際立つはずです。

教会内でまず目に飛び込んでくるのが、ステンドグラスの光を通してピンク色に輝く正面祭壇部分。神々しさをたたえたピンク色の光は、目にしたものを神秘的な世界といざなってくれるかのようです。

ゴシック様式の特徴のひとつでもある高い天井。アーチ状の天井部分には植物が繊細なタッチで描かれ、どことなく優しい雰囲気です。これらの装飾は単なる飾りではなく、神への捧げものとして描かれました。

天井部分にはイエスを抱くマリアの姿も見られます。

そんな聖母教会も、第二次大戦でトリーアが空襲に遭った際に大きな被害を受けます。しかし戦後は再建を果たし、現在もこのようにして多くの人々を迎えているのです。

教会全体が包み込むような雰囲気を放ち、居心地がいいとまで感じてしまうトリーアの聖母教会。その神秘的な体験は、訪れた者のみが体感できる贅沢でもあります。

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協力:ドイツ観光局