なつかしい風景が心を打つ、ジョージアの首都トビリシを一望する「ナリカラ要塞」

コーカサスの国、ジョージアの首都トビリシ。

お隣のトルコから流れてくるムトゥクヴァリ川流域に築かれた町で、「トビリシ」という名はジョージア語で「温かい」を意味する「トビリ」に由来するといわれます。

家々が肩を寄せ合うようにして斜面にびっしりとへばりつく様子は、三方を山に囲まれたトビリシならではの風景。初めてなのになぜか懐かしい、不思議な温かさで旅人を包み込んでくれるのがこの町の魅力です。

そんなトビリシを代表する観光スポットのひとつが、旧市街を見下ろす高台に建つナリカラ要塞。

4世紀のペルシャ時代に建設が始まった要塞跡で、この地を支配してきた各時代の統治者によって拡張が繰り返されてきました。現在見られる要塞跡の大部分は8世紀以降に建造されたもの。

19世紀に起きた火薬庫の爆発により、要塞内にあった建物の多くが失われ、なかば廃墟のようになっています。

それでもナリカラ要塞が人気を集めているのは、ここがトビリシ随一のビュースポットだから。要塞跡とその周辺からは、ノスタルジックなトビリシの素晴らしい眺望が楽しめるのです。

高台に位置しているとはいえ、ロープウェイがあるのでアクセスはとても簡単。乗り場は旧市街から平和橋を渡ったリケ公園にあります。

ロープウェイに乗り込むと、段々畑のごとく斜面に家々がへばりつく旧市街の上を通り抜け、あっという間に丘の上へ。

土産物屋やアイスクリーム屋台などが待ち構えていて、観光地らしい賑わいが感じられます。

ロープウェイを降りて右手に進むと、ジョージアのシンボルともいえる「ジョージア母の像」がそびえ立っています。右手には剣を、左手にはワインの杯をもつこの像は、敵に対しては剣をもって戦い、友はワインの杯で迎えるという精神を表しているのだといいます。

ナリカラ要塞内やその周辺からは、トビリシ市街を一望。

ムトゥクヴァリ川の対岸にあるメテヒ教会や、ジョージア正教の総本山ツミンダ・サメバ大聖堂、オレンジ屋根の家々、ハマム街などが織り成す、昔なつかしいトビリシの風景が目に飛び込んできます。

別世界のようでありながら、どこかほっとさせられる、情緒あふれるトビリシの町並みに胸を打たれるはず。

19世紀の町並みが保存された旧市街がある一方、平和橋をはじめとする近代的な建造物も加わっていて、トビリシが新旧入り混じる町であることにも気づくでしょう。

町がライトアップされる夜には、昼間とはまた違ったロマンティックな表情を見せてくれます。時間に余裕があれば、日中と夜、2度訪れて景色を比べてみるものいいでしょう。

要塞内やその周辺を歩き回れば、異なる角度からトビリシのパノラマを楽しむことができます。丘の上には滑りやすい箇所もあるので、スニーカーなど歩きやすい靴で出かけてください。

現在はほとんど廃墟のようになっているナリカラ要塞内ですが、1967年の考古学研究により、12世紀に教会が建てられていたことが明らかになりました。

それに基づいて1996年に要塞内に再建された教会が、聖ニコロズ(聖ニコラス)教会。

十字架型のバジリカに円筒形のドームが載った、典型的なジョージア正教会の教会で、いかにも古そうな城壁跡と比べると、建物が新しいことがわかりますね。観光客でも中に入ることができ、聖書の場面とジョージアの歴史を描いたフレスコ画などが見学できます。

丘の上での観光を済ませたら、またロープウェイを使ってもいいですが、変わっていく風景を楽しみながら、徒歩で旧市街まで下るのもおすすめ。

ナリカラ要塞の入口前の道を下っていけば、ハマム街などがある旧市街にたどり着きます。高台から町を見下ろした後、実際にそこを歩けば、また新た発見が待っていることでしょう。

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