一生に一度は行きたい、ドイツの世界遺産の町6選

ドイツは46件もの世界遺産を有する世界遺産大国。なかでも有名なのが、世界最大のゴシック建築・ケルン大聖堂ですよね。

一方で、ドイツの地方には歴史的な町並みがまるごと世界遺産に登録されている場所がいくつもあることは意外と知られていません。

ドイツの世界遺産の町は、日本では「知る人ぞ知る」的存在ですが、実際に訪れてみるとあまりの素晴らしさに衝撃を受けることもしばしば。

ドイツ観光局も2021年6月から「German.Local.Culture.」と題して、知られざるドイツの地方の魅力発信を強化しています。

ふたたび自由な旅ができるようになったら、ドイツの世界遺産の町へ、物語を探しに出かけませんか。

・バンベルク

バンベルクは南ドイツに位置するレグニッツ河畔の古都。1000年の歴史を物語る旧市街は、ドイツでも屈指の美しさから「バイエルンの真珠」と称えられています。

バンベルクは11世紀に司教座が置かれたことで、宗教都市として発展。壮大な大聖堂や教会、修道院などが建てられ、荘厳さと素朴さが共存するバンベルク特有の町並みができあがりました。

バンベルクを象徴する風景が、レグニッツ川の中の島に建つ旧市庁舎。フレスコ画の外壁と木組みの建物というまったく異なる要素が融合したユニークな建築で、黄色い木組みがレグニッツ川によく映えます。

バンベルク観光のハイライトともいうべきは、山の手に建つ大聖堂。1237年に完成したバンベルクの大聖堂は、ロマネスク様式とゴシック様式が混在した4本の塔が特徴で、重厚な存在感抜群。大聖堂内部では「中世彫刻美術の傑作」といわれる「バンベルクの騎士」の像やリーメンシュナイダーによる彫刻が施された墓石をお見逃しなく。

大聖堂が建つ山の手エリアとは打って変わって、素朴なあたたかさを感じさせるのが、小ヴェネツィア地区。かつて漁師たちが住んでいたエリアで、カラフルな木造の家々が並ぶやさしい風景にほっこりさせられます。

・レーゲンスブルク

チェコとの国境に近い、南ドイツ・ドナウ河畔の古都レーゲンスブルク。バンベルク同様、中世そのままの姿をとどめる町並みは、「ドイツ中世の奇跡」とも呼ばれています。

ドナウ川とアーチ型の石橋、パステルカラーの旧市街が織り成す風景は、まるで絵画のよう。2000年間変わらないドナウ川の流れを眺めていると、自然と心もすっきりと澄み渡っていくようです。

レーゲンスブルクのランドマークが、2つの塔をもつ大聖堂。バイエルン州で最も重要なゴシック建築とされていて、高さ105mの尖塔が天を貫くように伸びる姿は壮観です。

幸運にも日曜日にレーゲンスブルクを訪れることができたら、ウィーン少年合唱団にもひけをとらないといわれるレーゲンスブルク少年合唱団の歌声にも耳を傾けてください。

レーゲンスブルクを訪れたら、ドイツで最古のソーセージ屋さん「ヒストーリッシェ・ヴルストキュッヘ(Historische Wurstküche)」に足を運ぶのをお忘れなく。ドナウ川を眺めながら食べる香ばしい炭火焼きソーセージは「最高!」のひとことです。

・クヴェトリンブルク

ドイツの中央よりも少し北には、今も魔女伝説が残るハルツ地方があり、歴史的な景観をとどめる珠玉の町々が点在しています。

そのひとつが、「ドイツ発祥の地」とも称されるクヴェトリンブルク。ドイツはもちろんヨーロッパ全体を代表する木組みの町のひとつで、旧市街には約1300もの木組み建築が残っています。

そんなクヴェトリンブルクの象徴が、旧市街を見下ろす城山。城山にはロマネスク様式の傑作といわれる聖セルヴァティウス教会があり、町のあちこちからその姿が見えます。

蔦で覆われた石造りの市庁舎と木組みの建物が並ぶマルクト広場も、クヴェトリンブルクらしい風景が楽しめるスポット。午前中には市が開かれ、地元の人々で賑わいます。

さまざなま時代の木組みの家々がひしめき合うクヴェトリンブルクは、「木組み建築の博物館」さながら。数百年も時間が止まっていたかのような風景がそこかしこに残っていて、一本残らず通りを歩き尽くしたくなります。

・ゴスラー

ゴスラーもクヴェトリンブルク同様、ハルツ地方の世界遺産の町。今では静かな田舎町といった風情ですが、ゴスラーはかつて近郊の銀鉱の採掘で莫大な富を謳歌した町で、一時は神聖ローマ皇帝の居城も置かれました。

そのため、ゴスラーの旧市街には小さな町には似つかわしくないほど豪華な木組み家屋が多数。ゴスラーの町並みは、日本人が一般にイメージする「ドイツの木組みの家」とはひと味もふた味も違っていて、グレーやブラウンを基調としたシックな町並みは、どこかミステリアスな雰囲気を醸し出しています。

町の広場はマルクト広場。豪華な建造物に囲まれた広場の中心にある噴水では、帝国の鷲が誇り高く翼を広げ、在りし日のゴスラーの栄光を物語っています。

ゴスラー近郊のランメルスベルク鉱山博物館も同じく世界遺産。一部の坑道はガイドツアーで見学できるので、ゴスラーの町とあわせて訪ねてはいかがでしょうか。

・リューベック

リューベックは、ハンザ同盟の盟主として栄えた北ドイツを代表する古都。世界遺産に登録された誇り高い町並みは、「ハンザの女王」と称された輝かしい時代を今に伝えています。

世界遺産の旧市街への入口を守っているのが、リューベックのシンボル・ホルステン門。15世紀に建てられたドイツで最も有名な門で、旧50ドイツマルク紙幣にも描かれていました。

旧市街の中心が、壮麗な市庁舎が建つマルクト広場。リューベックの市庁舎は雄牛の血を混ぜて焼いたといわれるこの地方特有の黒いレンガと青銅色の13の尖塔が印象的な建物で、豪華な部屋のある館内はガイドツアーで見学できます。

リューベックで忘れてはいけないのがマジパン。リューベックにはマジパンの名店として知られる「ニーダーエッガー」の本店があるのです。マジパンというと日本では「ケーキの飾り」というイメージですが、ドイツのマジパンはそれ自体が主役級のお菓子。

とりわけ、ニーダーエッガーのカフェでいただくフレッシュなマジパンを使ったケーキは、マジパンの概念を覆すおいしさ。「マジパンはおいしくない」と思っている人にこそ、一度は食べてみてほしい一品です。

・ヴィスマール

北ドイツのヴィスマールは、13世紀にリューベックなどからの移民が築いた港町。かつてはハンザ同盟の一員として栄えたことから、小さな町でありながら豪華な建物の数々が残っています。

ヴィスマールの町並みの特徴は重厚なレンガ建築。17世紀半ばから19世紀初頭にかけてスウェーデン領となったこともあり、どこか北欧の香りがする美しい町並みが広がっています。

町歩きの起点はマルクト広場。100m×100mの正方形の広場でひときわ存在感を放っている、青銅製の屋根がついた建築物は給水塔。これほど装飾性の高い給水塔はドイツ全土でも貴重な存在です。

ヴィスマール観光のハイライトともいえるのが、レンガ造りの教会群。ロケットのような形をした塔を残すマリエン教会や、赤茶屋根の世界遺産の町並みが一望できるゲオルグ教会、赤レンガの柱が並ぶ壮大な身廊をもつニコライ教会など、個性豊かな教会を訪ねてみましょう。

ヴィスマールの魅力は、世界遺産の町でありながらそれほど観光地化されておらず、穏やかな日常の雰囲気が感じられること。旧港の雰囲気はどこか日本の漁師町にも似ていて、なんだかほっとさせられます。

ドイツの世界遺産の町は、どれもが明確な個性とそこにしかない風景を残す貴重な存在。ドイツの世界遺産の町々に出かけたら、きっと知らなかったドイツの魅力が発見できるはずです。

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