渥美半島菜の花まつり2025開催中。菜の花とコラボしたアート作品を見に行こう!

日本のほぼ中央、愛知県の東南端に位置する渥美半島・田原市。北は三河湾、南は太平洋、西は伊勢湾と、三方を海に囲まれ、温暖な気候と自然環境に恵まれており、漁業と農業が盛んです。特に花きの産出量は日本一で、「世界に誇れる花のまち」として知られています。

写真提供:田原市観光課

そんな田原市では、2025年1月18日(土)から3月31日(月)まで、渥美半島に春を告げる「菜の花まつり」が開催されています。

メイン会場となる「伊良湖菜の花ガーデン」では、一面の菜の花畑を散策したり、フォトスポットで記念撮影をしたり、菜の花とコラボレーションしたアート作品を鑑賞したりできます。この記事では、渥美半島 菜の花まつりの見どころと、会場周辺(伊良湖岬)の観光スポットを紹介します。

渥美半島菜の花まつり2025

2025年1月18日(土)、田原市市長や関係者、近隣の保育園児による式典が催され、渥美半島菜の花まつり2025が幕を開けました。天候の関係で菜の花の開花は例年よりも遅いものの、青空の下、一面に広がる菜の花畑からはすでに春の気配が漂っていました。

菜の花ガーデン会場内には、お土産ショップ、物販テント、菜の花畑満喫エリア、なっちの丘、花咲く暮らしラボエリアなどがあります。

お土産ショップでは、菜の花クッキーや菜の花の種、渥美半島ガチャ、伊良湖温泉水、渥美半島産菜の花はちみつ、キャラクターグッズなどを購入できます。隣接する「ちっちゃい茶屋 菜の花や」は、菜の花コロッケや菜の花おにぎり、菜の花ジェラートなどを食べられるお店です。

フォトスポットとして人気の「幸せの黄色いポスト」。売店で「選べる四つのまじない葉」(家内安全/商売繁盛/子孫繁栄/恋愛成就のポストカード)を買って、このポストに投函できます。

そして、最大の見どころは、国内外のアーティストと地元市⺠がコラボレーションするアートプロジェクト『花咲く暮らしラボ』です。

これは東京・南⻘山のスパイラル/株式会社ワコールアートセンターが企画・制作する、愛知県田原市・渥美半島でのまちづくり事業で、花と食とアートを切り口にしながら、現代アーティストによる作品を公開したり、市民参加によるイベントなどが行われています。

菜の花畑にすっくと伸びゆく3体の女神/スフィンクス(Three Yellow Sphinxes)は、人気アーティスト、久保寛子さんの彫刻作品です。無骨な鉄筋と、田畑などで使われる黄色い工業用ネットで作られており、風景に溶けこむように立っています。

菜の花の背丈が伸びて満開になれば、まるで黄色の絨毯の上にスフィンクスが横たわっているように見えるかもしれません。青い蝶々はブルーシートで作られており、「暮らしに身近なものを使うことでアート作品に親しみを持ってほしい」という制作者の想いを感じます。

建築士の松野由夏さんが制作した「花咲くテーブル」は、菜の花畑の景観を楽しみながら、ワークショップに、休憩に、多彩に活用できるオリジナルテーブルです。田原産のスプレーマム(キク)を使って色付けされた、直径60cmの天板が花びらのように咲き広がっています。

会場内に深さの異なる3つの花咲くテーブルがあり、菜の花まつりの期間中は、花の装飾を加えたワークショップ開催場所にもなるとのこと。菜の花だけではない、春の訪れを楽しむ広場として、おしゃべりにも花が咲きそうです。

菜の花まつり会場では「昔の田原の物語」を視聴することもできます。これは、日本に来て20年強となるスイス人クリエーターが、田原に生まれ育ったご老人9名の生い立ちや思い出を聞き取り、口伝でしか残せないまちの物語を記録したヒューマンオーラルドキュメンタリーです。

戦争や高度成長期、長い苦楽の年月を積み重ねたご高齢の方ならではの生き生きした言葉には、当時の様子が目に浮かびます。菜の花畑の中の物語広場でQRコードを読み取るか、「昔の田原の物語(ORAL HISTORY)」のWebページから視聴できます。

物語広場の先には、菜の花会場と太平洋を一望できる展望山「のっちの山」があります。もう少し暖かくなれば、山肌には鮮やかな赤い寒椿が咲くはずです。ぜひ頂上から、ここでしか見られない絶景を楽しんでみてはいかがでしょうか。

まつり期間中は週末に各種イベントが予定されています。詳細は公式サイトにてご確認ください。

<渥美半島 菜の花まつり2025>
期間:2025年1月18日(土)~3月31日(月)
メイン会場:伊良湖菜の花ガーデン(愛知県田原市堀切町浜藪)
入場料:大人(高校生以上)500円、小人(小・中学生)100円
詳細は:渥美半島菜の花まつり 公式サイト

続けて、渥美半島菜の花まつりとあわせて楽しめる、会場周辺(伊良湖岬)の観光スポットやおすすめの飲食店を紹介します。

恋路ヶ浜と伊良湖岬灯台

恋路ヶ浜は、伊良湖岬灯台から日出(ひい)の石門まで約1km続く、太平洋に面して湾曲する白く美しい砂浜です。「名も知らぬ 遠き島より流れよる 椰子の実ひとつ」という島崎藤村の叙情詩の舞台となったことでも知られ、恋人達のプロポーズにふさわしい場所として「恋人の聖地」にも認定されています。

日出(ひい)の石門は、太平洋の荒波の浸食により気の遠くなるような長い時間をかけて真ん中がポッカリ洞穴となった石門です。沖の石門、岸の石門の2つがあり、どちら自然の力強さに圧倒されます。この場所で、NHK大河ドラマ『どうする家康』のロケが行われたそうです。

石門をくぐると、目の前に日差しを受けてきらめく太平洋が広がっています。

振り返ると、高台の上に建つリゾートホテル「伊良湖オーシャンリゾート」が見えました。

海風を浴びながら、渥美半島の先端にある白亜の灯台「伊良湖岬灯台」まで歩くのは気持ちがよいものです。伊良湖水道と呼ばれる海には三島由紀夫の小説「潮騒」の舞台となった神島が浮かび、その向こうには三重県鳥羽市が見えます。

旬の魚介を味わえる食事処「うおすみ」

田原市堀切町にある「うおすみ」は、昭和31年の創業以来、地元の人たちに愛されつづける食事処です。伊良湖港は太平洋遠州灘、伊勢湾、三河湾、それぞれ独自の魚介類が集結する良港で、渥美半島の先端近くに位置する渥美魚市場にはその日獲れた魚がその日のうちに水揚げされます。

うおすみでは、店主自ら市場のせりに出向き、確かな目利きで新鮮な海の幸を買い付けています。冬なら、鰆、真鯛、平目、アオリイカ、太刀魚、竹麦魚(ホウボウ)、平鱸(ヒラスズキ)、月日貝、たいら貝……。四季折々、その時々の一番おいしいものをいただけます。

うおすみは昼のお食事をメインに営業しており、伊良湖御膳ランチ、お刺⾝御膳、煮⿂御膳などのランチメニューをいただけます。米なすの肉味噌がけや、女将手作りの自家製黒蜜をかけて食べる豆乳プリンも人気です。

夕食の予約も受け付けており、要望や予算に応じてたメニューを出してもらえます。内容は季節や仕入状況によって変わりますが、運がよければ新鮮なタコをいただけるかもしれません。

場所がすこしわかりにくいですが、その分、観光客よりも地元の利用者が多い穴場的なお店です。渥美半島でおいしい魚が食べたいなら、足を運んでみてはいかがでしょうか。

店名:うおすみ
所在地:愛知県田原市堀切町新堀西110-1
営業時間:11時~14時、17時〜21時
休業日:毎週火曜日
※完全予約制(当日予約可)
公式サイト:時季の旬魚 うおすみ

お陽様農園(野菜収穫体験といちご狩り)

「お陽様農園」は渥美半島で野菜収穫体験といちご狩りを楽しめる観光・レジャー施設です。12月から5月はいちご狩り、7月中旬~8月中旬はメロン狩り、12月下旬から3月上旬は冬野菜の収穫体験、6月中旬から8月中旬は夏野菜の収穫体験ができます。

1月中旬の取材時には、春キャベツ、かぶ、ブロッコリー、白菜などの野菜収穫を楽しめました。入園料(大人100円/3歳未満無料)を支払うと軍手やバケツ、包丁などを借りられ、収穫した野菜を、お金を払って持ち帰ります。

畑や家庭菜園になじみのない人であれば、「ブロッコリーってこんなふうに生えているんだ!」と新鮮な驚きがあるかもしれません。子どもの食育にもつながりますし、何より収穫したての新鮮な野菜のおいしさは格別です。

メインハウス1,200坪の広々とした温室内では、甘さと酸味のバランスのよい品種「紅ほっぺ」を中心にいちご狩りを楽しめます。全ハウス高設土耕栽培で、しゃがまずにいちご狩りができるので快適です。

いちご狩りの料金は時期により異なります。詳細・予約は下記公式サイトをご確認ください。

名称:お陽様農園
所在地:愛知県田原市中山町論場234
公式サイト:お陽様農園

日本で唯一の電照菊ナイトツアー

年間を通じて温暖な気候で、日照時間と快晴日数が全国トップクラスの田原市は、輪菊(電照菊)の生産も日本一です。電照菊とは、花芽ができる前の時期に電照し、人工的に日照時間を長くすることで開花時期を遅らせる栽培方法です。これにより、菊の需要が最も多い、正月から春のお彼岸の間に出荷できるようになりました。

写真提供:田原市観光課

この電照菊のハウスの灯りがイルミネーションとなり、渥美半島の夜を幻想的に美しく彩ります。渥美半島の秋の風物詩ともいえる夜景は、日本夜景遺産にも選ばれているのだとか。(冬場は断熱のためハウスの上部に黒い覆いをかけるため、灯りは見えません)

ハウス内で栽培されているため、なかなか観光客の目に触れることがない電照菊ですが、花名人である渡会理史(わたらいとしふみ)さんが「もっと田原市の農業や菊の栽培過程を知ってほしい」と考え、日本で唯一の温室見学ナイトツアーである「電照菊ナイトツアー」を実施しています。

電照菊ナイトツアーでは、初めにワークスペースで「田原市の農業や菊の栽培過程」をスライドを見ながら学び、次に菊の栽培温室を見学します。通常では入れない温室の中に入り、定植から出荷直近の開花した菊の様々な栽培過程を分かりやすく丁寧に説明してもらえる、特別な体験です。

名称:電照菊ナイトツアー
所在地:愛知県田原市堀切町南原135
開催時間:19時~(約90分)
公式サイト:【公式】電照菊ナイトツアー

伊良湖オーシャンリゾート

写真提供:伊良湖オーシャンリゾート

田原市周辺で一泊するなら、全室オーシャンビューで、パノラマの海と青空を満喫できるリゾートホテル「伊良湖オーシャンリゾート」がおすすめです。

写真提供:伊良湖オーシャンリゾート

伊良湖岬を望む、海抜100mの絶景露天風呂(インフィニティ風呂)で天然温泉に浸かれば、心と体をゆるめてリラックスできることでしょう。

年中遊べるキッズパークや夏季限定屋外プールなど、ホテル内に楽しめる施設が揃っているほか、ホテルから伊良湖岬灯台、恋路ヶ浜、日出の石門などのスポットまでサイクリングも楽しめるので、田原市の観光拠点にぴったりです。

名称:伊良湖オーシャンリゾート
所在地:愛知県田原市日出町骨山1460-36
公式サイト:【公式】伊良湖オーシャンリゾート

Post: GoTrip! https://gotrip.jp/ 旅に行きたくなるメディア