ブルガリア・ソフィアのシンボルは世界最大級の正教会聖堂、アレクサンドル・ネフスキー大聖堂

ブルガリアの首都・ソフィアのシンボルといえば、なんといってもブルガリア総主教の本拠地でもあるアレクサンドル・ネフスキー大聖堂。5000人を収容するブルガリア最大かつ最も美しいといわれる大聖堂で、正教会の聖堂としては世界最大級の規模を誇ります。

高さ45メートルの中央の金色のドームをはじめ、12のドームをもつネオ・ビザンティン様式の壮麗な建築物は、一度見ると忘れられないインパクト。

大聖堂の建設が始まったのは1882年のこと。ブルガリアがオスマン帝国の支配から独立するきっかけとなった露土戦争で戦死した、およそ20万人のロシア人兵士の慰霊するため、30年の歳月を費やして完成しました。

大聖堂の名前になっているアレクサンドル・ネフスキーとは、13世紀にウラジーミル大公国の大公であった人物で、中世ロシアの英雄とたたえられる聖人です。

建設にはブルガリア人だけでなく、ロシア人やハンガリー人といったヨーロッパの建築家や芸術家が携わり、大理石の部分と照明設備はドイツのミュンヘンで、門の金属部はベルリンで、門はオーストリアのウィーンで造られるなど、国際的な一大プロジェクトに発展しました。

大聖堂の姿が目に入った瞬間、金色に輝くドームと、ドームが重なる幻想的なシルエットに吸い寄せられるような感覚にとらわれます。

正面から見たときと、横から見たときではまったく異なる表情を見せてくれるので、周囲をぐるりと一周して、さまざまな角度からその美しい姿を味わいたくなります。

アレクサンドル・ネフスキー大聖堂が素晴らしいのは、もちろん外観だけではありません。入口の天井には、精巧なモザイク画。

内部に足を踏み入れれば、天井から床まで、壁一面を覆う壁画と巨大なシャンデリアで飾られた荘厳な空間に圧倒されます。

壁画の多くはブルガリアとロシアの聖人が登場する場面を描いたもので、メノウや大理石を贅沢に使った精巧なモザイクが使われています。大理石は、はるばるイタリアやギリシア、ブラジル、エジプトなどから運ばれてきたもの。

世界各地から一級の材料を集めてきたことは、この大聖堂建設がいかに重要な意味をもっていたのかを表しています。

アレクサンドル・ネフスキー大聖堂には3つの祭壇があり、中央の祭壇がロシア、右がブルガリア、左がほかのスラブ諸国に捧げられたものです。

最も大きく豪華なのは、やはりロシアに捧げられた中央の祭壇。精緻な彫刻が施された巨大なイコノスタスは圧巻の迫力です。

中央祭壇の手前には2頭のライオンが守るイスがあり、大理石の彫刻や天蓋のモザイクといった華麗な装飾にはため息もの。

細部まで見れば見るほど、その美しさと豪華さに感動せずにはいられません。

アレクサンドル・ネフスキー大聖堂は、ソフィアきっての観光スポットである以前に、現役の祈りの場。信者がイコンにキスをする正教会独特の神秘的な祈りの姿が見られます。

参拝者が供えたロウソクが燃えるパチパチという音が静かに響く、静謐な空間。

ここに身を置けば、信者でなくても心が洗われるような、身が引き締まるような、新鮮な気持ちになるのです。

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