世界最大の商業都市!?映画「SATC2」のロケ地にもなったモロッコ・マラケシュのスークが楽しい

ベルベル語で「神の国」を意味するモロッコのオアシス都市、マラケシュ。かつてムラービト朝、ムワッヒド朝の都として栄えた歴史を物語るメディナ(旧市街)は、まるごと世界遺産に登録されています。

モロッコを旅する旅行者のほとんどが訪れるといっても過言ではないマラケシュは、モロッコ旅行のハイライトのひとつ。そんなマラケシュの楽しみの一つが、迷路のような路地が張り巡らされたスーク(市場)散策です。

モロッコ各都市のメディナには必ずあるといってもいいスークですが、マラケシュのスークは特別な存在。というのも「世界最大の商業地区」といわれるほどの規模を誇っているからです。

また、アブダビという設定で撮影された映画「セックス・アンド・ザ・シティ2」のロケ地が実はモロッコで、このスークも映画に登場しているのは有名な話。

網の目のように張り巡らされた細い道の両側には、織物、皮革製品、銅製品、陶器、籐製品、木彫品、香辛料、化粧品など、ありとあらゆるものを売るお店がぎっしりと詰まっていて、マラケシュのスークの規模と物量には、誰もが圧倒されずにはいられません。

それはマラケシュが、沿岸部とサハラ砂漠の交易の中継地として重要な役割を果たしてきたことの証。

迷宮のようなスークに足を踏み入れたら最後、豊かな色彩と手ごわいマラケシュ商人たちが生み出す活気の虜になってしまうはず。

色とりどりの品物を眺めながら歩いているだけで、あっという間に一日が過ぎてしまいそうです。

・巨大スークを制するには

ランダムに歩いて偶然の出会いを楽しむのもスークの醍醐味ですが、限られた時間のなかで買い物を済ませたいなら、あらかじめ行くべき場所を把握しておいたほうが効率的。

必ずしも厳密に区分されているわけではないとはいえ、マラケシュのスークは取り扱う商品によってだいたいのエリアが分かれています。どのエリアにどんなスークがあるのかを知っておくと、より確実にお目当ての品物を手に入れることができますよ。

スマリン門から延びるスマリン通りにはさまざまなカテゴリーの商品を扱うお店が並んでいて、ウィンドーショッピングには便利ですが、メインストリートだけあって人通りが多く、売り手も強気に出やすいので、じっくり買い物をするならやはり奥に広がる専門的なスークのほうがおすすめです。

・ほとんどの店が値段交渉制

一部定価販売をしている店もありますが、スークではほとんどの店で値段交渉が必須。相場に多少の上乗せをした程度の値段を言う売り手もいれば、相場の3倍あるいはそれ以上の値段を言う売り手までさまざまで、初めてモロッコを訪れた人にはなかなか物価感覚がつかみにくいかもしれません。

まず相場を知りたければ、スークで買い物をする前にコブ門の近くにある「伝統工芸館」で下調べをしておくのも手です。

・バブーシュのスーク(スーク・スマト・マルガ)

モロッコの革スリッパ「バブーシュ」を探すならここで決まり。色とりどりのバブーシュが所せましと並ぶ光景は壮観です。ベルベルモチーフの刺繍が施されたものや、スパンコールがあしらわれたものなど、デザインもさまざま。

一見似たようなデザインに見えても、店によって色味が違ったり、刺繍の大きさが違ったりするので、納得のいく一足に出会うためには、焦らずじっくりと選んでください。

・染色職人のスーク(スーク・スバッジリーン)

鮮やかに染色された布が吊るされたカラフルなスーク。スカーフがお目当てならここを目指しましょう。キュートなフェルト製のバッグやルームシューズ、ネックレスなども手に入ります。

・革職人のスーク(スーク・チェラティン)

革を加工する職人が集まるスークで、あたりにはなめしたばかりの革独特の臭いが漂っています。扱う品物は革のバッグやジャケット、ベルト、財布など。どちらかといえば男性や男性向きのお土産探しにおすすめのスークですが、可愛らしい模様が型押しされたバッグなど、女性向けの掘り出し物もあります。

・真鍮職人のスーク(スーク・アッタリーン)

ほの暗い路地に無数の真鍮製ランプが並ぶ幻想的な光景は、それだけで一見の価値あり。エキゾチックすぎない真鍮製のランプはどんなインテリアにも合うので、一度見たら欲しくなってしまうかも。大きなサイズのランプが目につきますが、持ち帰りやすいミニサイズもあります。

・鍛冶屋のスーク(スーク・ハッダーディン)

鉄製のランプや鳥かごなどが並ぶスークで、いたるところで金属を打ち鳴らす音が響いています。アラブ風のランプや鏡、壁掛けフックなどさまざまなインテリア雑貨が手に入ります。

・職人技が息づくスーク

マラケシュのスークというと、観光客向けの土産物街というイメージがあるかもしれません。確かにそうした一面があるのも事実ですが、特にメインストリートから外れた細い路地では、伝統の技を受け継いだ職人たちが黙々と制作にあたる光景が見られます。

観光客が通りかかってもほとんど呼び込みもせず、目の前の作業に没頭する彼らの真剣さが生み出す凛とした空気に魅せられることでしょう。

機械による生産が一般的になった現代でも、こうした伝統的な手仕事が生き続けているということが嬉しくなります。こんな風景を見た後では、一つひとつ手をかけて作られたモロッコ雑貨がますます愛おしく感じられますね。

単なる商品の売り買いの場ではなく、技の継承の場でもあるマラケシュのスーク。くるくると変わる色鮮やかなその風景は、まるで万華鏡のように私たちを魅了するのです。

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