インドネシア・ジャカルタが観光客に敬遠される理由

インドネシアの首都ジャカルタ。ここはASEAN有数のメガシティとして君臨しています。

ただ、旅行者から見ればじつは影の薄い都市でもあります。

日本人ビジネスマンも多く住まうジャカルタですが、こと観光インバウンドということになるとバンコクやクアラルンプールなどに何歩も遅れを取っている感が否めません。

インドネシアを語るならジャカルタという都市に足を運んでナンボなのですが、現状この町が一観光地として日本人旅行者の間に知られる機会はあまりありません。

この記事では、「ジャカルタがツーリストに敬遠されてしまう理由」を書きたいと思います。

1. やっぱりバリが強い!
一番大きな理由のひとつは、「バリに押されている」ということでしょう。

旅行者の間では、もはやバリとインドネシアは別の国のようになっています。そもそもバリはインドネシア全体から見れば宗教マイノリティーで、地理的にも列島のごく一部でしかありません。にもかかわらず、インドネシアを訪れる外国人観光客はあまりにもバリに偏りすぎています。これは現政権が問題視している事柄のひとつでもあります。

ジャカルタとバリは距離が離れているため、バリを目指すお客さんをジャカルタに誘致するということがなかなかできません。するとバリへの一極集中はますます進んでしまいます。

2. 交通の便が悪い?
ジャカルタは、クアラルンプールやシンガポールなどと比べたら「公共交通機関が少ない」とよく言われています。

確かに、それは間違いではありません。都市電鉄や路線バスは年々路線を拡大してはいるものの、他のASEANの大都市と比較したら交通インフラが脆弱です。そのため、ジャカルタの渋滞は「世界一深刻」と言われるほど悪化しています。

ですがもちろん、ジャカルタの実業家はこれを見過ごしているというわけではありません。渋滞を回避する一番手っ取り早い手段はバイクタクシーを使うことですが、最近ではスマートフォンでバイクタクシーを手配できるサービスも普及しています。

また、現在日本の企業が中心となってジャカルタ市内に地下鉄を通すプロジェクトも進められています。数年後、この町は今現在よりも遥かに交通の便が良くなっているはずです。

3. そもそもジャカルタに観光スポットがあるの?
「ジャカルタは旅行者から見て影が薄い」と、冒頭で書きました。ですがそれは「ジャカルタに観光スポットがない」という意味ではありません。

じつはジャカルタは、市内にビーチリゾートが存在します。ですがそこは「現地富裕層のシークレットスポット」みたいな位置付けで、ジャカルタ州政府がそこを観光スポットとして大々的に宣伝するということはあまりありませんでした。また、ジャカルタとその周辺都市はゴルフ場も多いのですが、そうしたこともまだまだ一般旅行者には知られていません。

認知度の低さが転じて「ジャカルタには何もない」というイメージにつながっているのです。これほど残念なことはありません。

・「観光格差」の是正を目指す
ですが、現在のインドネシア大統領ジョコ・ウィドド氏は観光政策に対して開明的な人物。全国各地の観光整備が経済力の底上げに直結するということを、よく理解しています。

ジョコ氏が大統領に就任してから、『ワンダフル・インドネシアキャンペーン』というものが始まりました。印象的なロゴマークを作り、インドネシア各地の観光地をアピールする広告を世界各地で公開しています。旧来の「第一にバリ、第二にジョグジャカルタ」という姿勢ではなく、「第一がインドネシア全土」という大々的なPR活動です。

もちろんジャカルタもその例外ではなく、これからますます市内の観光整備がされていくと思われます。

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