豪華な王室の迎賓の間にうっとり、デンマーク・コペンハーゲン発祥の地・クリスチャンスボー城

ヨーロッパ最古の王室を擁するデンマーク。それだけに、首都コペンハーゲンやその近郊には数々の城があります。

そのひとつが、デンマークの政治の中心地であり、「コペンハーゲン発祥の地」とも呼ばれるクリスチャンスボー城。

コペンハーゲンにある運河に囲まれた小島、スロッツホルメンにある城で、ここに国会議事堂、最高裁判所、デンマーク首相府の三権が集結しています。

クリスチャンスボー城の基礎が築かれたのは、1167年のこと。それから何世紀にもわたって拡張が行われました。1794年と1884年に、2度の火災に遭い、都度再建されたため、バロック様式、新古典主義様式、ネオ・バロック様式の3つの建築様式が共存しています。

もともとはデンマーク王室の居城でしたが、1794年の火災にともなって王室はアマリエンボー宮殿に移ったため、国政の中心地であることを強調するような重厚な外観となりました。

その一方で、クリスチャンスボー城には王室および政府の迎賓館として使われている「ロイヤル・レセプション・ルームズ」があり、各国からの賓客をもてなす外交の場としても機能しています。

内装の豪華さでいえば、コペンハーゲン市内の城のなかでも随一。華麗なる空間の数々に、ため息をもらさずにはいられません。

ロイヤル・レセプション・ルームズに入って最初に目にする部屋が、アレクサンダーの広間。

アレクサンダー大王のバビロン入城の場面を描いた壁面の彫刻にちなんでその名が付きました。

天井や壁、扉に施された無数の彫刻が醸し出す華やかさと、抑えた色使いが生み出すシックな雰囲気が印象的。ここでは、小規模な晩餐会や授賞式などが開かれています。

クリスチャンスボー城で最も優美な部屋のひとつが、女王の図書室。白とゴールドを基調とした上品な空間にブルーが見事なアクセントの役割を果たしていて、あまりの美しさに息を呑みます。

天井の絵画や漆喰彫刻、壁面の装飾がなんとも優雅。壁に沿って設けられた棚には、ぎっしりと本が詰まっています。この部屋ではしばしば首相が外国からの賓客との会合を設けています。

そして、ロイヤル・レセプション・ルームズで最も広い部屋が大広間。400人を収容できるこの部屋では、女王主催の大規模な晩餐会や祝宴などが催されます。

17世紀の大理石の床や、イタリアのムラーノ・ガラスでできたシャンデリアなどでととのえられた空間は貫録たっぷり。壁にはデンマーク人アーティスト、ビョルン・ノルゴーがデザインした17枚の連作タペストリーが飾られています。

これらはデンマーク千年の歴史を描いたもので、1990年に女王の50歳の誕生日を記念して贈られました。各タペストリーに関する解説シートも用意されており、じっくり読めば1時間くらい経ってしまいそうなほど興味深い作品です。

ほかにも、ロイヤル・レセプション・ルームズでは全部で19の見どころを見学することができます。次々に表れる色とりどりの豪華な空間に、きっと夢心地になってしまうはず。

ロイヤル・レセプション・ルームズと並んで、クリスチャンスボー城でもうひとつ見逃せないのが、コペンハーゲンで最も高い106メートルの塔。2014年に一般公開され、塔の中ほどにある展望台にエレベーターでのぼれるようになりました。

塔への入場料はなんと無料。展望台からは、カラフルかつ重厚なコペンハーゲンの街並みを堪能できます。

ほかに、晩餐会のための食事の支度の様子を再現したロイヤル・キッチンや演劇史博物館、 厩舎などの見どころもあり、王室を中心としたデンマークの歴史と文化にじっくりと触れることができます。

クリスチャンスボー城は、コペンハーゲン発祥の地にふさわしく、見どころ満載の堂々たる城なのです。

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