世界遺産の町、中世薫るエストニア・タリンの観光スポット7選

フィンランドのヘルシンキから日帰り旅行ができるとあって、人気上昇中のエストニアの首都・タリン。北ヨーロッパで最もよく保存されているといわれる旧市街は、まるごと世界遺産に登録されています。

1219年、デンマーク人によってトームペアの丘に城が築かれた後、ドイツ人の入植が進み、13世紀半ばにはハンザ同盟に加盟。ロシアとヨーロッパを結ぶ貿易の中継地点として大いに繁栄しました。タリンの旧市街には、今なおかつての繁栄ぶりを物語る歴史遺産が数多く残されています。

中世の息づかいが感じられるメルヘンチックな町、タリンの旧市街で訪れたい7つのスポットをご紹介します。

・ラエコヤ広場

タリン旧市街の中心が、旧市庁舎が建つラエコヤ広場。タリン旧市街の「へそ」のような存在で、旧市街をぶらぶら歩いているといつの間にかここにたどり着いているということがしばしばあります。

広場では季節によってさまざまなイベントやマーケットが開催され、いつも多くの人々でにぎわっています。ここで開催されるクリスマスマーケットは有名。

旧市庁舎は北ヨーロッパに唯一現存するゴシック様式の市庁舎で、14世紀なかばに最初の建物が建てられ、1404年の増築によって今の姿となりました。

65メートルの塔の上からは、タリンのシンボル「トーマスおじいさん」の像が町を見守っています。ただしこれはレプリカで、1503年に作られた初代のトーマスおじいさんは旧市庁舎内に保管されています。

・トームペアの丘

石灰岩の層でできた高さ24メートルの丘で、エストニアの神話では古代の王・カレフが眠る墓陵であるとされています。町を見下ろすこの地は、歴史上、常にタリンにおける権力の中枢となってきました。

現在も国の議会や政府機関の一部が入っているトームペア城や、エストニア最古の教会である大聖堂、ロシア正教会のアレクサンドル・ネフスキー聖堂といったランドマークが並んでいて、にぎやかな下町とはまた違った雰囲気。

丘の上にある展望台からは、塔が並ぶメルヘンチックな下町の風景が見渡せます。下町の喧騒を離れて、のんびりと散策を楽しみましょう。

・聖オレフ(オレヴィステ)教会

タリンの町を一望する最高のビュースポットが、旧市街の中心部にある聖オレフ教会の塔。聖オレフ教会はノルウェーの聖人王を祀った教会で、13世紀なかばにはすでに記録に登場しています。

124メートルの高さをもつ塔はタリンの旧市街で最も高い建物で、15世紀には159メートルもの高さがあったといいます。当時世界一高い塔だという評判もあった塔は、「オレフ」という巨人によって建てられたという伝説が残っています。

高さ60メートルを超える展望台からは、タリンの旧市街はもちろん、港や新市街まで広がるタリンの絶景が楽しめます。

・聖ニコラス(ニグリステ)教会

船乗りの守護聖人・ニコラスに捧げられた教会で、13世紀前半にドイツ商人の居住区の中心だった場所に建てられました。

現在内部は博物館として公開されており、国宝級の貴重な中世美術が展示されています。なかでも、ベルント・ノトケによって描かれた15世紀の絵画「死のダンス」は必見。

法王や皇帝、枢機卿らがいやいやながら「死」とダンスをする様子が描かれていて、もともとは社会のあらゆる階層の人々がともにダンスを繰り広げる光景が描かれた長い作品だったそうです。

・大ギルドの会館(エストニア歴史博物館)

1404年に建てられ、大ギルドの集会や結婚式などのセレモニー、パーティーなどが行われてきた会館で、現在はエストニア歴史博物館として使われています。

有史以前から20世紀末にかけてのエストニアの歴史がテーマで、エストニアの人々の暮らしや文化、戦争、ギルドの歴史やしくみなどに触れることができます。

大国に支配され、翻弄された時代が長かったエストニア。自分たちの国があることを当たり前に感じている日本人には計り知れない、国に対する想いやアイデンティティの強さを感じます。

・聖霊教会

大ギルドの会館のすぐ向かいに位置する教会。市庁舎および聖霊教団救貧院の礼拝堂として建てられたもので、14世紀のはじめにはすでに記録に残っています。

中世の時代から、エストニア人の庶民に親しまれてきた教会だけあって、派手さはありませんが、ベルント・ノトケが手掛けた15世紀の祭壇をはじめ、精緻な装飾が刻まれた木材が醸し出す重厚感が印象的な教会です。

・三人姉妹

タリンで最も有名な中世の住宅。15世紀に建てられた商家の集合体で、エレガントなファサードが女性的な雰囲気を醸し出していることから「三人姉妹」の愛称で親しまれています。

中世の時代、タリンの住宅はすべてドイツのハンザ都市・リューベックの法律に従って、建物の正面部分が道路に面するように建てられていました。建物の上部にクレーンを取り付け、屋根裏の倉庫に物を引き上げられるようになっており、今もその名残が見られます。

ちなみに、ライ通りの38番、40番地にある類似の住宅の集合体は「三人兄弟」と呼ばれています。

・城壁

旧市街をぐるりと取り囲む城壁は、タリンで最も重要な建造物。最初の城壁が造られたのは13世紀前半のことで、その後14世紀から16世紀にかけて、補強や塔の増築が行われました。

かつての城壁の長さは約2.5キロメートルで、そのうち約1.8キロメートルが現存しています。三角屋根の塔が並ぶ城壁のある風景は、まさに中世の世界。

スール・クローストゥリ通りやムーリヴァへ通りの城壁には上ることもでき、城壁からタリンの町を見下ろしながら歩くのも楽しいですよ。

ヨーロッパのなかでも指折りの美しさを誇るタリンの旧市街。「タイムスリップ」という表現がよく似合う、そこかしこから中世の足音が聞こえてきそうな可愛らしい町を歩いてみませんか。

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