大きさも食感も別格!ドイツのジャガイモ団子「クヌーデル(クロース)」の王様はテューリンゲンにあり
|ドイツは200種類以上ものジャガイモが栽培されている、世界でも有数のジャガイモ大国。ジャガイモはサラダに、スープに、パンに、麺に、肉料理の付け合わせにとさまざまな形で食卓にのぼる身近な存在です。
ドイツのスーパーでは、ジャガイモはキロ売りが普通。2.5キロや5キロなどの袋入りのジャガイモがたくさん売られおり、日本人にとっての米に近いものだといえるでしょう。
そんなドイツには、「クヌーデル(Knödel)」と呼ばれる独特のジャガイモ料理があります。
ドイツのクヌーデルは、いってみれば「ジャガイモ団子」。さまざまなバリエーションがありますが、基本の作り方は、茹でたジャガイモを裏ごしし、小麦粉や塩・こしょう、ナツメグなどを加えて、団子状に丸め、10分ほど茹でれば完成です。
ドイツを初めて訪れた日本人の方がクヌーデルと出会って、「なにこれ!?何でできてるの?どうやったらこんな食感になるの!?」と驚いている様子を目撃したことがあります。
そのくらい、同じようなジャガイモ料理をもたない国からやってきた人にとってはインパクト大の食べ物なのですね。
そんなクヌーデルですが、実はドイツでも地域によってその存在感はまったく異なります。たとえば、筆者が暮らすドイツ南西部では、クヌーデルの存在感はそれほど大きくありません。
スーパーに行けばクヌーデルが簡単にできる粉が売られていますし、すでに出来上がったクヌーデルがお惣菜として売られていることもありますが、レストランで肉料理を注文してクヌーデルが付け合わせとしてでてくることはほとんどありません。
ジャガイモはジャガイモでも、団子ではなく茹でたジャガイモを炒めたものや、日本でいうフライドポテトなどが添えられることが多いのです。
ひるがえって、クヌーデルの存在感が絶大なのが、ドイツ中部に位置するテューリンゲン州。クヌーデルの呼称は地域によって異なり、テューリンゲン州では「クロース」とよばれます。
日本では「クヌーデル」という呼び方で定着しているので、ここまで「クヌーデル」という呼称を使ってきましたが、ドイツでは「クヌーデル」と呼ばれたり「クロース」と呼ばれたりします。
複数形で「テューリンガー・カルトッフェルクレーセ(Thüringer Kartoffelklöße)」と呼ばれるテューリンゲンのクロースは別格の大きさとモチモチ感。
まさに「クヌーデルの王様」とでも呼ぶべき存在で、テューリンゲンの人々は「桁違いの味と大きさ、それはテューリンゲンのカルトッフェルクレーセ」と、地域の味を誇りにしているとか。
筆者自身、初めてテューリンゲンのクロースを見たときはその大きさに驚きました。お皿の上で圧倒的な存在感を放つクロース・・・口に運んでみるとびっくりするほどのモチモチ感!
それまでに筆者が知っていたクヌーデルとは、「ジャガイモ粉とパンを混ぜたようなねっちりした食べ物」というイメージで、正直言ってあまりおいしいものという印象ではありませんでした。
ところが、すりおろした生のジャガイモと、茹でてつぶしたジャガイモを混ぜ、バターで炒めたクルトンを詰めたテューリンゲンのクロースはそれとはまったくの別物だったのです。
「肉料理の付け合わせ」というイメージが強いクヌーデルですが、それ自体がメイン料理として食べられることも。
テューリンゲン州の州都・エアフルトの郷土料理レストラン「Köstritzer – “Zum güldenen Rade” 」のベジタリアンクロースは、たっぷりのほうれんそうが詰まったクロースに、クリーム風味とオニオン風味の2種類のソースがかかった一品。
付け合わせとして出てくるクロースよりもさらに大きく、女性なら一つ食べただけでお腹いっぱいになってしまうかもしれません。
また、「庶民的な家庭料理」と思われがちですが、クロースは一般家庭やカジュアルなレストランでに限ったものではありません。
世界遺産ヴァルトブルク城併設の5つ星ホテル「Romantik Hotel at the Wartburg」では、肉料理の付け合わせとしてクロースが登場。高級レストランで食べるクロースは、味も食感もひときわ洗練されているように感じます。
どこに行ってもクロースのオンパレードといっても過言ではないテューリンゲン。
クロースを見るたびに「また出た!」と思っていたのに、テューリンゲンを離れてクロースが出てこなくなるとなんとなく寂しいような気もする・・・
メインディッシュを食ってしまうほどの存在感を放ち、時に自らメインディッシュになってしまうがテューリンゲンのクロースなのです。
「Köstritzer – “Zum güldenen Rade” 」
http://www.zum-gueldenen-rade.de/
「Romantik Hotel at the Wartburg」
http://wartburghotel.de/en
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