タイ・バンコクの三大寺院の1つ!白く生まれ変わったフォトジェニックなワット・アルン

バンコクの定番観光スポットといえば、長きにわたって街の発展を見守ってきた寺院の数々。

なかでも必見なのが、ワット・プラケオ、ワット・ポーと並んで「バンコク三大寺院」と呼ばれるワット・アルンです。

タイ語で「ワット」は「寺」を、「アルン」は「暁」を表し、「ワット・アルン」は「暁の寺」の意味になります。

三島由紀夫の小説「暁の寺」の舞台になったことでも知られるワット・アルンは、黄金色に輝く典型的なタイの仏教寺院とは雰囲気の異なる味わい深いお寺。現在の10バーツ硬貨にもその姿が描かれていて、バンコクを代表する風景のひとつといえるでしょう。

古くからバンコク有数の観光地として人気を集めてきたワット・アルンですが、2013年から大規模な改修工事が始まり、足場が組まれ、バンコクを訪れる観光客にとっては残念な風景になってしまっていました。

数年にわたる工事は2017年の秋にようやく終了。美しい全貌が見られるようになった今、ワット・アルンはフォトジェニックなスポットとして再び注目を浴びています。

改修工事を経たワット・アルンは、まるですべての汚れを洗い流したかのように真っ白に生まれ変わりました。

少々くすんだ色をした以前の姿にも情緒がありましたが、写真映えするのは断然現在の白い姿。青い空とのコントラストが鮮烈で、見ているだけで元気がわいてきます。

ワット・アルンへのアクセスは、ターティアン船着場から渡し舟で。チャオプラヤー川を運行するボートの上から眺める風景もまた風情があります。

ワット・アルンの歴史は古く、そのはじまりは14世紀に開かれたアユタヤ王朝にさかのぼります。

もともとは「ワット・マコーク」という名のごく普通の寺院でしたが、18世紀にトンブリー王朝を開いたタクシン将軍がここを王室寺院とし、名前を「ワット・チェーン」と改めました。

タイを旅行しているとよく耳にする機会のある「チェーン」という言葉は、タイ語で「夜明け」の意味。タイ人にとって、ワット・アルンはやはり、日の出のイメージなのですね。

現在の名称になったのは、トンブリー王朝が滅んだ後、19世紀のラーマ4世時代のことです。

ワット・アルンのアイコンが、トウモロコシのような形をした天高くそびえる5基の仏塔。大仏塔の高さは75メートルで、台座の周囲は234メートルもあります。

タイでよく見かける金ピカの仏教寺院とはずいぶんと趣が異なりますが、それもそのはず。

ワット・アルンはヒンドゥー教色の強いお寺で、中央の大仏塔と、それを取り囲む4つの小塔は、古代インドの世界観における聖なる山、須弥山(しゅみせん)を表しています。

「タイにインド発祥のヒンドゥー教?」と思われるかもしれませんが、タイの仏教寺院ではしばしばヒンドゥー教でおなじみの神様が祀られており、日本でも有名な象の神様ガネーシャなどはタイでも身近な存在です。

塔の周囲には、インドの叙事詩「ラーマヤナ」をもとにしたタイの民族叙事詩「ラーマキエン」に登場するガルーダやハヌマーン、鬼などの像が配置されています。

ワット・アルンの白い仏塔に近づいてみると目を奪われるのが、陶器による色とりどりの装飾。

改修を経て、これらの装飾もより美しく見えるようになりました。陶器を用いたこのような装飾は、中国美術の影響によるもので、19世紀前半のラーマ3世の時代によく見られるものです。

ワット・アルンは、タイ人がインドや中国の文化を取り入れつつ、独自に発展させて生まれた寺院なのです。

遠くから眺めても美しいワット・アルンですが、近くから見てもまた、細やかな陶器の装飾が素晴らしい。

バンコクでは定番の観光地でありながら、一部分を切り取ってみると、「ここはどこ?」と思わせるような新鮮でフォトジェニックな写真が撮れます。

すでに行ったことがある人もない人も、ピュアな白さに生まれ変わったワット・アルンに会いに出かけてみませんか。

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