ドイツの世界遺産の町コブレンツでドイツ統一の象徴「ドイチェス・エック」を訪ねる
|世界遺産に登録されているドイツ、ライン渓谷中流上部。65kmにおよぶ風光明媚な流域のなかで最も下流に位置する町コブレンツは、このライン川と支流であるモーゼル川が合流する象徴的な場所でもあります。
この2つの河川が合流するのは、町の北にある「ドイチェス・エック」と呼ばれる地点。三角形の岬の先の部分でモーゼル川がライン川に合流し、ここから更にドイツとオランダを経て北海に注ぐのです。
この場所が「ドイチェス・エック」と呼ばれるようになったのは13世紀ごろから。当時のトリーア大司教がドイツ騎士団をこの地に呼び寄せ、彼らの拠点が築かれた事を記念して岬が「ドイチェス・エック」と名付けられました。
岬を見据えるようにしてそびえるのは、初代ドイツ皇帝ヴィルヘルム1世の銅像。ヴィルヘルム1世は第5代プロイセン王だったヴィルヘルム3世の息子にあたります。1870年に勃発した普仏戦争で勝利をおさめ、ドイツ統一を成し遂げた人物です。
彼の死後、ドイツ統一という功績をたたえるべく彼の銅像を建設するという案が出されます。これを計画したのは、第3代皇帝だったヴィルヘルム2世。彼指導のもと計画は実行され、1897年に37mもの巨大な銅像がこの場所に設置されました。
巨大な銅像はしかし、第二次大戦の空襲で破壊されてしまいます。コブレンツの町の約90%を焼き尽くした空襲により、像は台座を残して無残な姿になってしまいました。
そして、それからヴィルヘルム1世の銅像が再建されたのは、1993年のことでした。
ちなみにですが、再建された像のパーツは完全なオリジナルではありません。破壊される前の銅像の顔部分は、旧市街にある中部ライン博物館に展示されています。
ヴィルヘルム1世の像を囲むのは、戦後まもなく造られたドイツ再統一のモニュメント。
平和への願いを込めてドイツ各州の紋章が並びます。
像の台座部分にも登ってみれば、三角形の岬とその先を流れる川とが一望できます。天気がいい日にはライン川の遊覧船に乗るのも気持ちが良さそうですね。
ドイツ統一と平和を象徴する場所「ドイチェス・エック」。雄大なライン川を眺めながら、平和とは何なのか今いちど自分なりに考えてみたくなる場所です。
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