ルソーにユゴー、キュリー夫人など、世界的な偉人たちが眠るパリの神殿「パンテオン」

ギリシア語で「万神殿」を意味するパンテオン。

街中に突如として現れる重厚な建造物は堂々たる存在感を醸し出しています。

その建築様式から、ここがパリであるにもかかわらず、イタリアに行ったことのある人ならローマを思い出してしまうかもしれません。

この神殿は、パリの守護聖女ジュヌヴィエーヴを祀っていた丘の上の古いバジリカ聖堂を、18世紀にルイ15世の病気回復を祝って再建したもの。

新たな大聖堂の建設計画をゆだねられた建築家スフロは、バチカンのサン・ピエトロ大聖堂に匹敵するものにしたいと考え、1790年に完成させました。

ギリシャ建築の純粋さと、ゴシック建築の繊細さを見事に融合させた新古典様式の傑作です。

この大聖堂は1791年に国立のパンテオンに改造されましたが、1885年のヴィクトール・ユゴーの葬儀を機に民間施設として公認されました。

一歩中に入ると、高い天井に形作られたドームの数々と、どっしりとした円柱が印象的。バチカンのサン・ピエトロ大聖堂を意識してつくられたというだけあって、さすがの風格です。

大胆な力強さを感じさせる構造と、モザイク画や彫刻といった精巧な装飾とのコントラストに心を奪われます。

このパンテオンは1851年に物理学者フーコーが地球の自転を証明するための公開実験を行った場でもあり、地球の自転を証明する「フーコーの振り子」が設置されています。現在置かれているのは1995年のもの。

クリプト(地下埋葬所)はフランスに貢献した偉人たちの墓所となっており、70人以上の文化人たちが眠っています。

スイスのジュネーブで生まれ、フランスで活躍した思想家のジャン・ジャック・ルソー。社会契約説を提唱するなど、啓蒙主義時代を代表する哲学者です。

共和派思想を支持し、基本的自由の尊重のために力を尽くした作家ヴィクトール・ユゴー。近年映画化され大ヒットした「レ・ミゼラブル」の著者としても有名です。

ラジウムの研究に生涯を捧げ、ノーベル物理学賞とノーベル化学賞を受賞した、「キュリー夫人」こと、マリー・キュリー。ポーランドのワルシャワに生まれましたが、ソルボンヌ大学での勉学のため、パリに移住しました。

ともにノーベル物理学賞を受けた夫のピエール・キュリーと並んでここに眠っています。

世界に名だたる偉人たちが目の前で眠っているなんて、じつに奇妙であると同時に感激せずにはいられない体験です。ここを訪れればフランスの歴史をたどることができるだけでなく、フランスという国が外国人を含め才能ある人々の活躍の場となってきたことが実感できることでしょう。

建築美を堪能し、フランスの歴史を彩る偉人たちと対面する…きっとパリでの思い出深い経験の一つになるはずです。

Post: GoTrip! https://gotrip.jp/ 旅に行きたくなるメディア