無形文化遺産の伝統ワインとは? ワイン発祥の地、ジョージアの旅

ワインの産地といえば、どの国を思い浮かべるでしょうか。フランスやイタリア、スペイン・・・それとも、チリや南アフリカ?

世界には数々のワイン生産国がありますが、実は「ワイン発祥の地」といわれているのが、コーカサスの小国ジョージア(グルジア)。

ジョージアワインは8000年もの歴史があるといわれており、紀元前6000年ごろのブドウの種や醸造跡が発見されています。

1987年、ワインの第一人者として知られるイギリスのヒュー・ジョンソン氏は、カラミ遺跡の出土品から、ジョージアを「ワイン発祥の地」であると認定。世界に向けて発表しました。

古くは楊貴妃やクレオパトラも愛飲したといわれ、良質なジョージアワインは「クレオパトラの涙」とも称されています。

世界に現存する3000種類のブドウのうち、500種類以上がジョージアの固有種。ブドウ栽培に最適な自然環境のもと、伝統的な製法でのワイン生産が続けられています。

ジョージアには、カヘティ、カルトリ、イメレティ、ラチャ・レチフミ、グリア、サメグレロという6大ワイン産地がありますが、そのうちでも最大のものがカヘティ。

首都トビリシの東側に広がるカヘティ地方は、丘陵が多く、乾燥していて日当たりが良い、ブドウ栽培に適した環境。ジョージア産ワインの8割以上がここで生産されています。日帰りワインツアーを利用すれば、トビリシからも気軽に足を延ばすことができますよ。

ワインの製法には2種類あり、ひとつが広く普及している「ヨーロピアン手法」。もうひとつが、ジョージア伝統の「カヘティアン手法」。カヘティ地方の名を冠したカヘティアン手法は、「クヴェブリ」と呼ばれる素焼きのかめを地中に埋めてワインを醸造するという、ユニークな製法です。

大きいものなら容量が8000リットルに達するクヴェブリの内側に溶かしたミツロウを塗って防水処理を施し、皮や種も含め、収穫されたブドウをざっくりつぶし入れ、発酵させます。

このクヴェブリ手法の利点は、ブドウの抗酸化力が高いため、酸化防止剤をほとんど必要としないことや、ブドウのもつ有効成分が最大限抽出されるとこと。2013年、ジョージアの伝統的なワイン醸造文化は、ユネスコの無形文化遺産にも登録され、世界的にも注目が高まっています。

ジョージアを訪れたら、ヨーロピアン手法のワインとは異なるフルーティーさをもつ、ユニークなワインの数々を味わってみましょう。

旅行会社によって多少の違いがあるものの、トビリシからの日帰りワインツアーは、ワイナリーの見学・試飲や、伝統的なジョージアパンの製法見学など、ジョージアのワインや食文化に関するプログラムのほか、愛の町・シグナギやへの立ち寄りが含まれるものが多数。

ジョージアの伝統グルメを楽しみつつ、観光もできる欲張りなプランとなっています。

シグナギは、「天空の町」「愛の町」の異名をとる城塞都市。

18世紀にエレクレ二世王が建てた城壁で囲まれ、石畳の道に石と赤茶色の瓦屋根の家々が並ぶ町並みは、数百年ものあいだ時をとどめているかのよう。

シグナギの町と平原を見下ろす高台のレストランで、ジョージアワインとジョージア料理を楽しむひとときは最高です。

日本ではまだメジャーとはいえないながらも、確実に人気が高まっているジョージアワイン。8000年の歴史をもつ個性的なワインと素朴な風景に会いに、ジョージアへと出かけませんか。

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