建築家の恋心が表れた皇女ミフリマー・スルタンのための2つのモスク / ミフリマー・スルタン・モスク(ユスキュダルとエディルネカプ)
|トルコ史上最高の建築家と評され、現在に生きる私たちにも多くの遺産を残してくれたミマール・スィナン。宮廷建築家としてオスマン帝国時代に活躍し、モスクや霊廟、宮殿など合計374もの建築物に従事しました。
そんなスィナンが密かに恋心を抱いたといわれるのが、オスマン帝国を最盛期に導いた皇帝スレイマン1世の娘、ミフリマー・スルタン。
スィナンは皇女ミフリマーのために、イスタンブールにモスクを2つも建設しました。
一つ目は、1548年に完成したイスタンブールのアジア側のユスキュダルという街にあるモスク。
埠頭のすぐ近くにあり、船やバスなどを利用する人たちが毎日目にするため、ユスキュダルのランドマーク的存在になっています。モスク内部は外の喧騒が嘘のように静謐な空間。アーチの淡い色合いや窓の装飾など、ひとつひとつが女性らしく品があるデザインになっています。スィナンから見たミフリマーを表現しているかのようなモスクです。
二つ目のモスクはヨーロッパ側の旧市街のエディルネカプにある1570年に完成したモスク。
イスタンブールにある七つの丘のうちの6つ目にあたる丘のてっぺんに建てられています。「太陽と月」を意味するミフリマーの名前を表現しているかのような、まるで壮大な宇宙空間のような内装です。
ミフリマーが17歳のとき、結婚相手として二人の候補が挙がりました。
宮廷建築家であったスィナンとディヤルバルクの知事を務めていたリュステム・パシャです。しかし父スレイマン大帝は、当時官職に就いていたリュステム・パシャとの結婚を推したため、建築家と皇女が結ばれることはありませんでした。
叶わぬ恋心を抱きながら、現在にまで残る彼女の名を持つモスクを2つも造ったスィナン。ミフリマーを思う彼の気持ちは、2つのモスクという彼の功績という形でこれからも語り継がれていくことでしょう。
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ミフリマー・スルタン・モスク(ユスキュダル)
住所 Sultantepe Mah. Selmanağabostanı Sok. No:18 D:4, Kuzguncuk, Üsküdar Üsküdar İstanbul
ミフリマー・スルタン・モスク(エディルネカプ)
住所 Hasan Halife Mah. Fevzi Paşa Cad. No:5 Fatih İstanbul