【世界の街角】チェコのメルヘンな「だまし絵の街」チェスキークロムロフのラトラーン通りを歩いて見よう

チェコの南ボヘミア州に位置するチェスキークロムロフは、「世界一美しい」と称される世界遺産の街です。

チェスキークロムロフ城を中心に街の建物の多くに「だまし絵」が描かれており、まるでおとぎ話のような世界が広がっています。

フォトジェニックやメルヘンといった言葉がぴったりな、チェスキークロムロフの中心地「ラトラーン通り」を散策して見ましょう。

プラハからバスで3時間程のチェスキークロムロフは、プラハから日帰り観光ができる観光地として人気を集めています。

ラトラーン通りは、理髪橋(Lazebnický most)からチェスキークロムロフ城門前を通り、ブジェヨヴィツェ門(Budějovická brána)まで続きます。

かつてこのエリアは城で働く人や廷臣が暮らした城下町でした。

ラトラーン通り(Latrán)を歩き始めてまず目に入るのは、カラフルなチェスキークロムロフ城と鮮やかな青色の旧聖ヨシュタ教会。

小さな街の規模からイメージ出来ないほど豪華絢爛なお城は、バロック式城内劇用、5階立ての回廊やバロック様式の庭園などを誇ります。

チェスキークロムロフ城は、クロムロフ家、ローゼンベルグ家、エッゲンベルグ家、シュワルツェンベルグ家らが暮らし、持ち主が変わるたびに幾度も改修をされました。その為ゴシック様式、ルネッサンス様式、バロック様式などの特徴を兼ね備えた城となっています。

チェスキークロムロフ城から見る街並みは、まさに絶景そのもの。お城の敷地内は無料で入場することができます。

ラトラーン通りには、チェコの建築の特徴である色鮮やかな漆喰の壁にだまし絵が描かれた建物が多く見られます。

このだまし絵は「スグラッフィート装飾」という技術が使われており、二色の対照的な色の漆喰を二層に塗り、上の層を落として模様を描く方法です。



チェスキークロムロフ城門周辺は、特に美しい建物が多くラトラーン15番地の建物に注目。ローゼンベルクの紋章のバラの装飾が施されています。

建物の二階部分は、レンガの造りのように見えますが、こちらも見事なだまし絵です。

ラトラーン19番地に残されている壁画も必見です。

レンガブロックのだまし絵が描かれているのは、クロムロフ城と修道院を繋ぐ回廊です。

かつて領主は、市民に行動を知られることなく移動する通路を確保していました。

そんなチェスキークロムロフは世界遺産にも認定され、いまでこそ世界中から観光客が集まる街ですが、実は近年まで廃墟と化していた過去があることをご存知でしょうか?

チェスキークロムロフは、長期に渡りドイツ系住民とチェコ系住民が共存していましたが、19世紀に入り、民族間の対立が始まります。

第二次世界大戦後の1945年に、ドイツ系住民のチェコスロバキアの市民権のはく奪と財産の没収が決定され、事実上の追放とされました。

その結果、街の大半をドイツ系住民が占めていたチェスキークロムロフは、空き家が増え廃墟と化してしまったのです。

しかしがらこの街に転機が訪れます。

それが1989年11月17日にチェコスロバキア社会主義共和国で勃発した、当時の共産党支配を倒した民主化革命です。

この革命は、1か月後のルーマニア革命のように多数の死傷者を出すことがなかったため、静かな革命、またの名をビロード革命と呼ばれています。

そんなビロード革命後、チェコの国内外でチェスキークロムロフの歴史的価値が再認識され、近年になり多くの建物が美しい姿を取り戻しました。

現在、ラトラーン通りの建物の多くはペンションとして利用されており、旧市街の中心の歴史的な建物に宿泊する事ができます。

チェスキークロムロフの街並みは、ライトアップされるとさらに美しく輝きを放つため、一泊するプランもおすすめです。

17世紀始めに建てられたブジェヨビツエ門は、当時9つあった門のうち唯一現存する門です。

「だまし絵の街」の入り口にふさわしいカラフルな外観が、チェスキークロムロフのメルヘンで不思議な世界感を作り出しています。

あなたも世界一美しい街と呼ばれるチェスキークロムロフを訪ねてみませんか?

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