地獄の道のりの先に、天国のような絶景!モンテネグロの世界一美しい湾・コトルの城壁にのぼってみた
|バルカン半島の小さな国・モンテネグロ。日本人にとってはなじみの薄い国ですが、ここに「世界一美しい湾」とも称される場所があります。
それが、アドリア海沿岸のボカ・コトルスカと呼ばれる地域に位置し、切り立った山々と入り組んだ湾に囲まれた街、コトル。ダイナミックな自然に抱かれた中世の街並みは、「コトルの自然と文化-歴史地域」として世界遺産に登録されています。
そんなコトルを訪れたら見逃せないのが、山の上に築かれた城壁からの眺め。頂上にある要塞からは、コトルの旧市街やコトル湾を一望する、素晴らしい風景が広がっています。
コトルの城壁が始まったのは、9世紀のこと。15世紀に現在見られるような姿が完成したといわれています。城壁の頂上へは、コトルの旧市街から歩いて行くことが可能。ですが、その道のりは生半可なものではありません。
山頂に築かれた要塞があるのは、こんなところ。
旧市街を囲む城壁の外から見てみると、いかに高いところにあるのかがわかります。しかも、頂上まで直線距離で行けるわけはなく、曲がりくねった道に造られた、不揃いな石の階段をひたすらのぼらなければならないのです。
頂上の位置を事前に把握せずにのぼってしまった筆者ですが、知らぬが仏。もしはじめからその高さを目の当たりにしていたら、チャレンジすることはなかったかもしれません・・・
そういうわけで、コトルの城壁の頂上にたどり着こうと思えば、それなりの覚悟が必要です。
頂上の要塞がある地点は、海抜およそ260メートル。到達するためには1355段もの階段をのぼらなければなりません。頂上までの往復と、頂上や途中のビュースポットで過ごす時間を考えると、体力に自信がある人でも最低1時間は見ておきたいところ。ゆっくり歩けば、2時間以上かかってもおかしくありません。
しかも、歩道はよく整備されているとはいえず、歩きにくく滑りやすいので、歩きやすい靴は必須。夏は水や帽子も用意したほうがいいでしょう。
北門近くの城壁への入口。
生活感が漂う民家の間を通り抜けて、城壁散策という名の登山のはじまりです。
少し階段をのぼっただけで、オレンジ屋根の建物が連なるコトルの旧市街が眼下に。思わず歓声を上げたくなる景色ですが、先にはもっと美しい風景が待っていますよ。
さらに階段をのぼっていくと、15世紀に建てられた救世聖女教会が建つ中腹にたどり着きます。
ここからの風景もじゅうぶん美しいので、「もしかして、山頂に着いた?」と期待してしまうところですが、ここは頂上までの全行程の3分の1。まだまだ先は長いのです。
気が遠くなるほどに長く険しい道のりですが、のぼっているあいだも眼下に広がるコトルの美しい風景が心の支え。のぼるにつれて、どんどんと視界が広がり、見える範囲が広がっていきます。
ほぼ三角形をしたコトルの旧市街の全貌も見えてきました。
道中では、気持ちよさそうに寝ている猫や、城壁を歩いている猫にも遭遇しました。「猫の街」としても知られるコトルらしい出来事です。
修行のようにひたすら階段をのぼり続け、ようやく城塞の入口に到着。
「やっと着いた!」と思ったのもつかの間、まだ先が短くないことが判明。
さらに階段をのぼり、やっとの思いで要塞に到着。頂上にはモンテネグロの国旗がはためいています。
そして眼下には、険しい山々とコトル湾、コトルの街が織り成す絶景が。頑張って頂上までのぼった人だけが見られる、最高のご褒美です。
複雑な海岸線が描き出す曲線は、なんとも芸術的。
間近に迫る、荒々しい山の風景は息を呑むほどの迫力です。
普段山歩きに慣れていない人にとって、山頂までの道のりは苦しいですが、そのぶん、たどり着いたときは達成感と解放感はたまりません。何よりも、「世界一美しい湾」の絶景は、苦労してのぼった甲斐があるというもの。
地獄と天国が同時に味わえるかもしれないコトルの城壁散策、あなたはチャレンジしてみたいですか?
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