【世界遺産】芸術の都ウィーン歴史地区/シュテファン大聖堂の秘密を辿る

オーストリアの首都ウィーンは音楽や芸術で溢れる街。かつてヨーロッパで強大な権力を誇ったハプスブルク家が暮らした帝都ウィーンは、現在も宮廷文化の名残を感じる優雅な雰囲気です。

ユネスコの世界遺産に登録されているウィーン歴史地区の中心部にあるシュテファン大聖堂は、ひと際高い尖塔を持つ教会でウィーンの象徴的存在。

今回はウィーンの歴史を現在に伝えるシュテファン大聖堂をご紹介します。ウィーン歴史地区はリング(Ringstraße)と呼ばれる環状道路にぐるりと囲まれたエリア。かつての強靭な要塞は近代化と共に取り壊され、同じ場所に道路が建設されました。

この場所にはハプスブルク家の居城ホーフブルク宮殿(Hofburg)やオペラ座、世界一美しいと呼ばれる国立図書館など見どころが多くあります。洗練された通りを歩いていると聞こえてくる馬の足音。カフェ文化発祥の地であるウィーンの街角では老舗のコーヒーハウスが営業おり、のんびりと過ごすのもオススメ。

ヨーロッパ有数の美しさを誇るウィーン街並みは見事なものです。シュテファン大聖堂(Stephansdom)は、ゴシック様式の壮麗な外観と空へまっすぐと伸びる塔が特徴的な建築。

12世紀に建設が始まり何度も改築が繰り返された聖堂は、様々なウィーンの建築様式を見る事ができます。大部分は14~15世紀のゴシック様式のもの。第二次世界大戦時に直接的な被害を免れ、最も古い部分は13世紀に作られた正面ロマネスク様式の門です。ヨーロッパの教会で三番目の高さを誇る南塔は、高さ136メートルに達します。教会正面からは、カメラに納まり切らない程の大きさです。

特に興味深いのは正面入り口の左右対称の二つの塔、それに対して教会の後ろの一番高い南塔と向かい合う北塔はグリーンの小さなドーム型になっています。実は本来は左右対称に建てられる計画でしたが、財政難の為に断念。そして現在の姿になったのです。

2017年現在、シュテファン大聖堂は補修作業中。当時の姿を蘇らせる為に汚れを落とす作業や細かい箇所の補修が行われています。所々で見られる黒ずんだ石材は風格があります。シュテファン大聖堂の屋根は、見る角度によって違った印象を受けることでしょう。
正面から見るとダイヤ柄、側面は緑、黄色、青のカラフルなタイルで彩られており、塔からはオーストリア・ハンガリー帝国、ウィーン市、オーストリアの紋章の柄を見る事ができます。教会内にはカタコンベと呼ばれる地下墓地があり、ハプスブルク家を始めとした歴史的人物や17世紀のウィーンで流したペスト亡くなった約2000名が眠っています。当時、ペストにより15万人の人が命を落としたと言われています。年間約300万人の観光客が訪れるシュテファン大聖堂は、平日でも多くの人で賑わいます。高い天井とバロック様式の祭壇、ステンドガラスはどれも息を飲む美しさ。

特に注目して頂きたいのは、教会内の柱です。
細部まで細かい装飾が施されており、天井近くまで彫刻が飾られています。この礼拝堂では、歴史に登場する「ウィーンの二重婚礼」が1515年に行われました。かつてはスイスの小貴族であったハプスブルク家は、周辺諸国との政略結婚を繰り返し繁栄しました。

16~17世紀のウィーンには、オスマン帝国の脅威が迫っていました。強靭な要塞を作り上げオスマン帝国の襲撃から守られたウィーンの街。

南塔では「第二次ウィーン包囲」の際に、オスマン軍が敗退する時に残した大砲や武器から作られた「プンメリン」と呼ばれる鐘を見る事ができます。

カタコンベやプンメリンの見学は、随時ガイドツアーが行われています。

シュテファン大聖堂はその美しさは勿論ですが、ウィーンに関する歴史を知る事ができる場所。
ぜひウィーンを訪れた際に、立ち寄って見ませんか?

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名前 シュテファン大聖堂(Stephansdom)
住所 Stephansplatz 3, 1010 Wien, Austria
アクセス UバーンStephansplatz駅下車すぐ
営業時間 月曜日~土曜日 6時~22時、日曜日 7時~22時
定休日 無休
公式サイト http://www.stephanskirche.at/
料金 大聖堂入場は無料、カタコンベ5.5ユーロ、南塔4.5ユーロ、北塔5.5ユーロ、ガイドツアー5.5ユーロ