【世界のカフェ】幽霊に出会える!?ロンドンのど真ん中にある、かつて墓地だったカフェ「カフェ・イン・ザ・クリプト」

心霊スポットをめぐるツアーが人気を集めたり、幽霊が出るという噂の物件は値上がりしたりするなど、世界的にも「オカルト好き」として知られるイギリス人。

見えないものの存在を肯定するイギリスの文化は「不思議の国のアリス」や「ハリーポッター」、「指輪物語」など、世界的に有名なファンタジーを生む土壌となってきました。

そんな国民性を反映してか、イギリスには日本では考えられないようなスポットが存在します。

そのひとつが、ロンドンのへそ、トラファルガー広場に面したところにある「カフェ・イン・ザ・クリプト(Cafe in the Crypt)」。

「クリプト(Crypt)」とは、ギリシア語の「kryptos(隠れた場所の意)」が語源で、教会の地下や半地下に設けられた部屋(地下聖堂)を指します。死者を安置するための空間や納骨所として利用されるのが普通で、聖人や聖職者、あるいは一般の人々の棺や遺物が納められています。

ここ「カフェ・イン・ザ・クリプト」は、その名の通り、かつて墓所だった場所を改装したカフェ。

18世紀に建てられたセント・マーティン・イン・ザ・フィールズ教会の地下に位置し、ナショナル・ギャラリーやナショナル・ポートレート・ギャラリーから目と鼻の先という、観光の合間にも立ち寄りやすい絶好の立地のロケーションです。

カフェへは、教会に入らずに専用のガラス張りの入口からアクセスすることが可能。

階段を下りていくと、モダンな入口とは打って変わって、年季を感じさせる石造りの空間が広がります。レンガが露出したほの暗い店内は、ムード満点というべきか、ちょっと不気味というべきか・・・

カフェはセルフサービス形式で、朝はセットの朝食メニューやペストリー、11時半以降は日替わりのメインディッシュが登場し、きちんとした食事も可能。もちろん飲み物やスイーツだけでも利用できます。

日替わりのメインディッシュは9ポンド程度からと、ロンドン中心部としてはリーズナブルな価格。近隣で働くビジネスマンたちにも重宝されているようです。

こうして見ると、ちょっと薄暗いことを除けばまったく普通のカジュアルなカフェのような感じがしますが、床に目をやるとそこかしこに墓碑が残っています。

しかも、「ここには〇歳で亡くなった○○(故人の名前)が眠っています」という情報つき。なかには6歳や35歳といった若さで亡くなった人もいて、墓碑に刻まれた文言を見ていると、若干いたたまれなくなることも。

カフェのテーブルやイスの下にもやはり墓碑が・・・

墓碑の上で談笑したり、お茶や食事をしたりするなんて日本人の感覚では考えられないことですが、イギリス人にとっては特段驚くべきことでもない様子。床にある墓碑に気を留めるそぶりさえ見せず、当たり前のように、普通にカフェとして利用しています。

墓碑を踏みつけにするなんて日本人なら「祟られそう」あるいは「不気味」「不吉」などと思ってしまうところですが、イギリス人はお墓というものにそれほどエモーショナルな感覚を抱いていないのかもしれません。

イギリスでは墓碑の上に座ったり歩いたりしたからといって、祟られる心配をする必要はないようです。

墓所をカフェにしてしまうなんて、日本人にとってはびっくり仰天の発想ですが、ところ変われば文化や価値観も変わるというもの。「カフェ・イン・ザ・クリプト」には、イギリス人のある意味での死者に対する親近感や、良い意味でのドライさが表れているように感じられます。

ロンドンのど真ん中で、日本では考えられないユニークなカフェ体験はいかがでしょうか。

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名前 カフェ・イン・ザ・クリプト(Cafe in the Crypt)
住所 Trafalgar Square, London WC2N 4JJ, England
公式HP http://www.stmartin-in-the-fields.org/cafe-in-the-crypt/