トゲトゲになったバウムクーヘン!?知られざるリトアニアの国民的お菓子「シャコティス」
|日本では、老若男女誰もが知っているほど人気のお菓子・バウムクーヘン。「バウムクーヘン=ドイツ」のイメージが強いですが、ヨーロッパにはほかにもバウムクーヘンに似た伝統菓子をもつ国があります。
それが「バルト三国」と総称されるエストニア・ラトビア・リトアニアのうち、最も南に位置するリトアニア。
リトアニアを代表するお菓子が、テレビ番組「世界の果てまでイッテQ!」でも紹介された「シャコティス」です。
シャコティスは、リトアニアとポーランド(ポーランド語では「センカチュ」)の伝統的なケーキで、ポーランド・リトアニア連合の時代からこの地域で広く親しまれてきました。
真偽のほどは定かではないものの、このシャコティスがバウムクーヘンの起源だといわれることも。
リトアニア語で「枝」を意味する「シャカ」にちなんだネーミングで、その名の通りバウムクーヘンから小枝のようなとげとげが無数に伸びているかのような、独特の見た目がインパクト大のお菓子です。
リトアニアでは、結婚式や誕生日、クリスマスといったお祝いごとや行事に欠かせないケーキで、スーパーマーケットや市場、お祭りの露店など、日常生活のなかで頻繁に目にする身近な存在。
その大きさもさまざまで、一人で食べきれそうなミニサイズから、何十人もの参加者が集まるイベントともなれば1メートル級の巨大なものまで登場します。
リトアニアの首都・ヴィリニュスのスーパーではこの通り、さまざまな大きさのシャコティスがずらり。30~50センチの大きめサイズが主流であることに少々驚いてしまいます。
日本でいうコンビニのような小さなショップでもシャコティスを見かけることが少なくなく、リトアニアでこのお菓子がいかに重要な存在であるか、手に取るようにわかります。
筆者も実際に、箱入りのミニサイズのシャコティスを購入してみました。
高さ15センチほどのきれいな箱に入ったシャコティスは、リトアニア土産にもうってつけ。箱を開けたらビニールの袋に包まれたシャコティスが顔を出しました。
トレードマークのとげとげが、お茶目ないたずらっ子のようで可愛いですね。
一度見ると忘れられないこの形は、シャコティスの製法と関係しています。
日本人になじみのあるドイツ式バウムクーヘンは、生地ゆっくりと回転させて生地が垂れないように注意しながら焼きますが、シャコティスはむしろ逆。生地を早く回転させて、あえて垂らすことで生まれる独特のとげとげを造形美にしているのです。
食べるときに飾りつけがされることはあまりなく、そのまま出されたものを枝を折るように手でちぎって食べるのが一般的。
シャコティスの断面を見てみると、バウムクーヘンほどはっきりした層にはなっていないことがわかります。
食感もバウムクーヘンとは違って、とげとげがあるぶんシャコティスのほうがやや乾燥していて、さっくりとした食感。
とげとげの部分は特に硬く、バウムクーヘンとクッキーの中間のような感じがします。味はというと、ドイツ式バウムクーヘンよりも卵の風味が強い優しい味。素朴な味わいに心もほっと安らぎます。
シャコティスの起源ははっきりとしていませんが、イースターの時期に教会に大量の卵が献上され、使い切れなかったためにお菓子にしたという説もあります。材料は玉子とバターに小麦粉、砂糖とシンプルですが、卵をたっぷり使うところにシャコティスの特徴があるのです。
バウムクーヘンに似ているけれど、やはり違う、リトアニアの国民的お菓子・シャコティス。箱入りのミニサイズはお土産にもぴったりなので、リトアニアを旅したらぜひお試しあれ。
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