【知られざる世界の常識】歩きタバコに吸い殻のポイ捨ては当たり前、日本人からすると驚きのドイツ喫煙事情

現在ドイツ南西部に住む筆者がドイツに来て驚いたこと。

それは、ドイツでは歩きタバコとポイ捨てが当たり前で、町に出ればタバコの煙を避けることができないということです。

日本では「ヨーロッパでは禁煙化が進んでいて、日本は禁煙後進国である」という認識があります。その認識はある意味では正しいのですが、単純に「日本もヨーロッパを見習うべきだ」とはいえない現実がそこにはありました。

・歩きタバコ、ポイ捨てが当たり前のドイツ

ドイツでは、歩きタバコとポイ捨ては当たり前。

通りを歩けば、歩きタバコに遭遇しますし、バスやトラムの停留所や駅のホームでもタバコを吸う人が大勢いるので、ドイツで町に出れば必ずどこかからタバコの煙の臭いがしてくるといっても過言ではありません。

特に始末が悪いのは、クリスマスマーケットなどの混雑した場所でも歩きタバコをする人がいるということ。筆者自身火の付いたタバコとぶつかりそうになったのは一度や二度ではありませんし、クリスマスマーケットには子どもも大勢来場するので、歩きタバコはとても危険にもかかわらずです。

しかも、町のいたるところにゴミ箱や灰皿が設置されているにもかかわらず、平気で路上に吸い殻をポイ捨てする人も後を絶ちません。

ドイツの路上や公共交通機関の停留所などはタバコの吸い殻だらけ。石畳のすき間にめり込んで、取れなくなっているものもたくさんあります。

筆者は日本の喫煙マナーも十分悪いと思っていましたが、ドイツの喫煙マナーにはさらに問題があると言わざるをえません。

・ドイツでは閉じた公共の場所は禁煙

ドイツでなぜこうも路上喫煙が多いのかというと、レストランやカフェの店内、ホテルの客室など、閉じた公共の場所ほとんどすべてが禁煙であることと関係しています。

日本ならば、タバコを吸うためにカフェに立ち寄るという人も多いですが、ドイツではカフェの店内はすべて禁煙なのでそれが難しいのです。(ただし屋外のテラス席は喫煙可)

そのため「禁煙でない場所ならどこでもタバコを吸っていい」という認識になっていて、屋外は喫煙天国と化しています。

ちなみにこうした喫煙事情はドイツに限った話ではなく、フランスやイタリアなどでも同様。歩きタバコやポイ捨ては日常茶飯事で、パリではファッショナブルに着飾った若い女性がタバコをポイ捨てするという光景も見られます。

・ドイツでは日本に比べ女性の喫煙率が高い

路上喫煙をする人が多いので、喫煙者の多さが目立つドイツですが、日本と比べて喫煙率自体が特別高いというわけではありません。

2015年のWHOの統計によると、ドイツにおける男性の喫煙率は32.4パーセント、女性の喫煙率は28.3パーセント。一方、日本における男性の喫煙率は33.7パーセントで、女性の喫煙率は10.6パーセントです。

男性の喫煙率は両国ともほぼ同じですが、ドイツでは日本に比べ女性の喫煙率が3倍近いことがわかりますね。(出典:WHO Prevalence of tobacco smoking

これはデータを見るまでもなく町に出ればわかることで、筆者はドイツに来たばかりのころから「タバコを吸う女性が多いなぁ」と感じていました。

・ドイツのタバコは高価なうえ警告文&写真付き

ドイツの喫煙事情にふれると、「ドイツのタバコは安いのではないか」と感じるところですが、ドイツのタバコは日本よりもずっと高価です。

もちろん銘柄によって差はありますが、ドイツのタバコは一箱6~7ユーロ(800~930円)程度。現在日本で喫煙の習慣がある人でも、「日本のタバコの値段がドイツ並みになったら禁煙する」という人は少なくないかもしれません。

しかも、ドイツではタバコのパッケージに「Rauchen kann tödlich sein(喫煙は死を招きます)」などの警告文に加え、喫煙で汚れた肺や喫煙による病気で亡くなった人の遺骸など、ショッキングな写真がデカデカと印刷されています。

値段が高いだけでなく、手に取るこをとためらうような文章と写真がついていてもこれだけ喫煙率が高いわけですから、ドイツのタバコが日本並みに安くなり、パッケージの警告文と写真がなくなれば、ドイツの喫煙率はさらに上がるかもしれません。

非喫煙者である筆者の場合、ドイツのカフェやレストランがすべて禁煙なのは嬉しいですが、テラス席に座れば結局タバコの煙を吸う羽目になりますし、町を歩くだけでもどこからともなくタバコの煙が漂ってくるのは困りものです。

日本の飲食店はまだまだ禁煙化が進んでいないとはいえ、飲食店であれば「禁煙でないお店には行かない」という選択肢があります。

しかし、「外を歩かない」「電車に乗らない」という選択肢はないので、ある意味では日本よりドイツのほうがタバコの煙を避けるのが難しいといえるかもしれません。

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