【世界の街角】世界遺産の古都トルコ・ブルサは、オスマン朝の伝統が息づく心地よい街

日本人にとって、トルコ旅行といえば、イスタンブールとカッパドキアが定番。しかし、日本の約2倍の国土をもつトルコには、まだまだ知られていない魅力がたくさんあります。

トルコ各地を周遊するのはかなり大変ですが、イスタンブールからアクセスしやすい観光都市が、ブルサ。オスマン帝国最初の都が置かれた古都で、周囲を山に囲まれた自然豊かな環境から、「緑のブルサ」とも呼ばれています。

2014年には、近郊の村ジュマルクズクとともに、世界遺産にも登録されました。

世界遺産にもかかわらず、外国人観光客であふれるイスタンブールとは対照的に、ブルサは地元の人々で賑わう街。観光客も外国人よりトルコ人のほうが多く、トルコの都市本来の雰囲気が感じられます。

イスタンブールからのアクセスで早いのは、高速船を利用する方法。イスタンブールのイェニカプ港から約1時間30分でブルサ近郊のギュゼルヤル港に到着。そこから市内中心部までは、バスとブルサライ(ミニ地下鉄)を乗り継いで一時間弱です。

ブルサのランドマークが、街の中心に建つウル・ジャーミィ。

20個の円天井をもつセルジューク様式のモスクで、40年をかけて1421年に完成しました。あまりにも大きいので、近くからではその全貌を写真に収めることはできません。

ウル・ジャーミィを特徴づけているのは、外観よりもむしろ内観。モスク内部に清めの泉がある珍しい構造で、柱や壁に描かれたカリグラフィー(イスラム書道)にも目を奪われます。

エキゾチックな雰囲気を醸し出すカリグラフィーが彩る、幻想的なウル・ジャーミィ。イスラムの美が詰まった空間は、いつまでも眺めていたくなります。

ウル・ジャーミィ周辺は、古くからの商業エリア。ジャーミィの北には屋根付きのバザールや、「ハン」と呼ばれる昔の隊商宿を利用したショップ&レストランエリアもあります。

トルココーヒーやチャイを楽しみながら、中庭で休憩するのもいいですね。

ウル・ジャーミィ周辺と並ぶ、もうひとつのブルサの観光エリアが、イェシル地区。ここには、ブルサを象徴する緑のタイルが美しいモスク「イェシル・ジャーミィ」があります。

グリーンとブルーのタイルで飾られた内部は、まさに小宇宙。とりわけ、精緻な装飾が施されたミフラーブとドーム天井の美しさには息を呑みます。こぢんまりとしたモスクではありますが、芸術性でいえば、トルコで最も美しいモスクのひとつかもしれません。

イェシル・ジャーミィの向かいには、ターコイズブルーの外壁が印象的な「イェシル・トゥルべ」があり、オスマン帝国第5代皇帝メフメット1世とその家族の棺が安置されています。

やはり小さな空間ですが、ブルーのタイルに金色のカリグラフィーを施した棺や、壁面のタイル装飾の美しさには目を見張るはずです。

時間に余裕があれば、市内バスに乗って、ムラディエ・ジャーミィ周辺にも足を運んでみましょう。

このエリアには、ムラト2世によって造られたモスクと、ムラト2世らが眠る13の廟が建つ庭園があり、各廟の内部では、イェシル・ジャーミィにも負けないイスラム建築の美が堪能できます。

現代トルコの生活に、オスマン朝時代の遺産が溶け込んだ古都、ブルサ。歩いているだけで心地よいこの街には、歴史と伝統が息づいています。

あなたも、大都会イスタンブールを飛び出して、トルコの地方に出会う旅を始めてみませんか。

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