【日本麺紀行】築150年の古民家で味わう!「うだつの上がる町並み」の名店で堪能する石臼挽き手打ち蕎麦とは? / 岐阜県美濃市の「そば切り まる伍」

日本人のファストフードの1つとして昔から愛されてきたメニューの1つといえば、蕎麦。

かつては粒のまま蕎麦のおかゆにしたり、粉にしたものを練って団子状にしたり、蕎麦粉を水で溶いて焼いて食すなどしていたそうだが、安土桃山時代ごろにいまの蕎麦切りというスタイルの蕎麦の味わい方が生まれたのだという。

現在では日本全国で美味しい蕎麦を味わえる名店が存在しているが、今回は岐阜県美濃市にある「そば切り まる伍(そばきり まるご)」をご紹介したい。

・江戸から続く「うだつの上がる町並み」の中心に佇む名店、それが「そば切り まる伍」
今回ご紹介する「そば切り まる伍」があるのは、岐阜県美濃市の観光名所として名高い「うだつの上がる町並み」の一角。

「うだつ(卯建)」とは、隣家との境界に設けられた小屋根付きの防火壁のこと。装飾性が高く、費用がかかるため、江戸時代には裕福な商家しか設けることができなかった。「うだつが上がらない(=出世できない、生活が向上しない)」という慣用句の語源にもなっている、歴史ある建築様式だ。

美濃市は江戸時代から美濃和紙の生産と流通で栄えた商都であり、財を成した商人たちが競うようにして立派なうだつを設けたのだと言う。戦後、生活様式の変化により和紙の需要が激減したため、急激な和紙産業の衰退したため、現代にまで継続して残っている奇跡のような街並みがここにはあるのだ。

そしてその歴史の積み重ねを今も色濃く残るこの街並みは、国の重要伝統的建造物群保存地区にも指定されており、歩いているだけで江戸から明治にかけての商都の面影を肌で感じられる、まさに時空を超えた景色が広がっている。

そんな風情ある町並みの中に、「そば切り まる伍」は存在しているのだ。
Traditional Japanese storefront with dark wooden panels, tiled roof, and noren curtains at the entrance.

・香り高い絶品の蕎麦を味わう
美濃の蕎麦の良さは水の良さにあるではないだろうか、と筆者は思うのだ。

高級な和紙を漉くためには、非常に綺麗な水が豊富になければならない。先人たちが苦労して積み上げてきた水と和紙の歴史、そしてその和紙の歴史が育んだ水の素晴らしさが、美濃の蕎麦の良さに直結していると言っても過言ではない。そんな豊富で美しい水をたっぷりと使った蕎麦、本当の贅沢とはこう言うものではないだろうか。

こちらのお店では、そんな素晴らしい水を使った蕎麦に関する多くのメニューが並んでいる。実はこちらのお店、すでに非常に人気店であるため、平日でも閉店時間を待つまでに蕎麦がなくなってしまうため、もし訪問するのであれば早めの訪問をオススメする。
Framed restaurant menu outside a building, with Japanese text and small photos of dishes along bottom.

この時は桜えびの小かき揚げと野菜天をオーダーした。
Soba noodles in a wooden box with vegetable tempura, served with wasabi and shredded radish on the side, on a dark table.

まず蕎麦だが、非常に美しく、食べる前から美味しい空気がビンビンと伝わってくる。

かえしの効いた素晴らしいツユにさっとつけて味わうと、素晴らしいコシと食感、そして蕎麦の鮮烈な香り、そしてダシとの素晴らしいマリアージュを口の中いっぱいで感じることができる。その素晴らしさたるや、香りと味わいの爆発といっても良いかもしれない。

そして素晴らしいのは蕎麦だけではない。桜えびの小かき揚げも素晴らしい味わいであるし、野菜天の揚げ方も完璧なのだ。よく揚げ物は蒸し料理であると表現されるが、桜えびは素材のうまさにクリスピーな食感を味わえる、完璧な仕上がりであるし、野菜はそれぞれの野菜の甘みが十分に引き出されるような完璧な揚げの技法がなされている。

美濃市にくるのであればこちらのお店で食事をしたい、否、こちらのお店で蕎麦を食べるために美濃市にくる必要がある、そのように思ってしまうほど、絶品の味わいがここにはあるのだ。
Soba noodles in a wooden box with assorted tempura pieces behind them.

築150年の古民家という夢のような空間で、ご夫婦が丁寧に提供してくれる石臼挽きの手打ち蕎麦。

すべてが、日本の食文化の奥深さを教えてくれる、まさに珠玉の一軒。うだつの上がる町並みの散策と併せて訪れれば、日本の歴史と美食を同時に堪能できる、最高の美濃市の体験となるはずだ。

美濃市を訪れる予定がある方は、ぜひ一度、この歴史ある町並みに佇む古民家蕎麦処へ足を運んでみてほしい。一杯の蕎麦の中に、和紙の街・美濃の歴史と美意識、そして職人の情熱が確かに息づいている、そんな感動を、きっと体感できるに違いないのだ。

<店舗情報>
店名:そば切り まる伍(そばきり まるご)
住所:岐阜県美濃市常盤町2275-1
営業時間:11:50〜14:30 ※そばがなくなり次第終了
定休日:火曜日(臨時休業あり)
座席数:25席(座敷/テーブル席)

Traditional Japanese shopfront with dark wooden exterior, tiled roof, and white fabric noren curtains outside the entrance. Bicycles parked nearby.

Two people stand on a rural train platform beside tracks, with a small blue-and-white train and green hills in the distance under a cloudy sky.

Interior of a cozy cafe with colorful hanging origami decorations and string lights, a wooden staircase and shelves in the background, and a person in white clothing standing near the far wall.

Soba noodles in a wooden box with assorted tempura pieces behind them.