【世界の食文化】知られざるノルウェーの国民的食べ物「ルーテフィスク」とは?

ディズニー映画『アナと雪の女王』の舞台ともなった、北欧ノルウェー。

その壮大な景観は映画さながらで、現地を訪れるツアーが多数企画されるなど、日本人にも外国人にも人気がある旅行先の1つです。

そんな人気の旅行先ノルウェーですが、実はノルウェーがもつユニークな食文化については、あまり有名とは言えないのが現状です。

例えば、以前ご紹介したノルウェーの国民的食べ物「ブルノスト」や「フィスクカーケ」などはノルウェーで楽しめるユニークな食文化の1つと言えるでしょう。

実はそんな知られざるノルウェーの食文化の中でも、非常にユニークな「ルーテフィスク」(Lutefisk)という名前の魚をつかった料理をご存知でしょうか?

今回は知られざるノルウェーの食文化の中から「ルーテフィスク」という魚の料理をご紹介したいと思います。

・ルーテフィスクとは

「ルーテフィスク」のルーテとはノルウェー語で「灰」、フィスクとは「魚」のこと。つまり直訳すると「灰魚」ということになります。

ルーテフィスクは古くから干したタラが使われ、その干したタラを何時間もかけて水で戻し、木の灰で作った灰汁を足す事で魚の身がゼリー状になり、風味が良くなることを利用した、ノルウェーの伝統的な料理です。

発酵したような独特の匂いとゼリーのような食感があるため、ノルウェー人の中でも好き・嫌いが別れる、というノルウェーの伝統料理です。

・家庭でのルーテフィスクの作り方と食べ方
まず、乾燥した白身魚をアルカリ性の強い木灰汁に3から5日間ほど浸します。そうすることによって白身魚のたんぱく質が分解され、ゼラチン化されます。その後、さらに流水に3から5日間浸し、アルカリ成分を除去します。

そうして出来上がった白身魚をオーブンで焼いたり、煮たりして味わうのが、ノルウェーの伝統的な料理方法で、かつてはノルウェーのクリスマスの食卓には欠かせないといわれていたほどの料理です。

もちろんノルウェーの国民的食べ物「ブルノスト」との相性はバツグンです。

・最近のルーテフィスクを巡る事情
実は、最近ではピュアな木灰が手に入りにくいため、ルーテフィスクには水酸化ナトリウムを使う事が多いとのこと。

水酸化ナトリウムと言えば、日本では劇薬で購入するのには身分証明が必要なほどの薬品です。

しかし、そんな水酸化ナトリウム、ノルウェーでは一般的なスーパーに売っており、誰でも手に入れる事ができます。

時代の変化とはいえ、劇薬をつかって食べ物を作る、とは、日本ではなかなかお目にかかれない食文化ではないでしょうか?

・ルーテフィスクの評判
そんなルーテフィスクの評判ですが、海外には誤って伝わっている事もあるようです。

スウェーデンのシュールストレミング(世界一臭いと言われる、発酵したニシンの塩漬け)と混同されている情報ページも存在します。

水酸化ナトリウムという劇薬を使っているためなのか、内容が大げさに伝わってしまい、恐ろしい食べ物の様に紹介されている情報ページもよくあります。

でもそんな事は全くありませんので、もしノルウェーを訪れたなら、ぜひあなた自身の感覚でルーテフィスクを試してみてはいかがでしょうか?

きっと奥深いノルウェーの文化を、より身近に感じる事ができるに違いありません。

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