【世界の街角】お得にクルーズが楽しめる、デンマークの水の都・コペンハーゲンの「水上バス」に乗ってみた

デンマークの首都・コペンハーゲン。「商人の港」の意味をもつこの街は、多くの運河が張り巡らされた、美しき水の都です。

バスが発達しているコペンハーゲンでは、市バスに乗れば市内のどこにでも行けるといっても過言ではありません。しかも、市バスの路線のうち、991、992、993番は運河を運行する水上バスなのです。

観光客向けのクルーズボートではなく、市民の足として水上バスが活躍しているのは、古くからの港町・コペンハーゲンならでは。水上バスとはいったいどのようなものなのか、実際に体験してみました。

スタート地点は、かの有名な人魚の像からもほど近い、聖アルバニ教会から徒歩すぐの停留所「Nordre Toldbod」。ここから991番と992番の水上バスが出ていて、番号と行き先の下に、次のバスが到着するまでの所要時間が表示されています。

チケットは道路を走る市バスと共通で、24クローネのシングルチケットで、「Nordre Toldbod」(人魚の像付近)~「Det Kongelige Bibliotek」(王立図書館)間に乗車することができます。コペンハーゲンには観光客向けの運河クルーズもありますが、市民の足としての水上バスは料金が圧倒的に安いのが魅力。

主要な観光施設が入場無料、公共交通機関が乗り放題となるコペンハーゲンカードも利用できます。

黄色と紺色に塗られた水上バスが桟橋に到着しました。地元の人のなかには、自転車とともに乗り込む人もいます。さすがは自転車天国・コペンハーゲン。

水上バスの車内の様子。通常のバス同様、クッションのある座席で快適な乗り心地です。

オープンになっている後部のデッキからは、さえぎるもののない運河の風景が楽しめます。クルーズ感覚で乗るなら、断然デッキに立つのがおすすめ。

水上バスは「Nordre Toldbod」を出発し、「Holmen Nord」に停車。この周辺には軍事基地や海軍学校などがあり、市内中心部とは違った雰囲気があります。

続いては「Operaen」。ヨーロッパのオペラハウスというと、重厚な宮殿風の建物を思い浮かべますが、コペンハーゲンのオペラハウスはとってもモダン。ヘニング・ラーセンが手掛けた斬新なデザインに、コペンハーゲンの進取性を感じます。

さて、いよいよコペンハーゲンのアイコン的存在の地区「Nyhavn(ニューハウン)」を通過します。運河に沿って、黄色や赤、青といった色とりどりの建物が並ぶ風景は、おとぎの国・デンマークの象徴。

ニューハウンで降りて、ここでの散策を楽しむのもいいでしょう。

その後水上バスは、クリスチャン・ハウン周辺の「Knippelsbro」に停車し、「Det Kongelige Bibliotek」に向かいます。

水辺に建つ王立図書館は、南アフリカの花こう岩を使った黒いガラス張りの姿から「ブラック・ダイヤモンド」の愛称で親しまれています。

近未来的なデザインを手がけたのは、デンマークのデザイン集団「シュミット、ハンマー&ラッセン」。館内では、現代アートの展示が行われているほか、運河を眺めながらくつろげるカフェもあります。

王立図書館前で降車し、水上バスの旅はこれにて終了。

水上バスに乗ってみてわかるのは、コペンハーゲンは歴史的な街並みを保存しつつも、スタイリッシュな現代建築も取り入れているということです。

古いものと新しいものが見事なバランスで共存しているがゆえの落ち着きと解放感。その類まれなる両立がコペンハーゲンの最大の魅力なのかもしれません。

コペンハーゲンを代表するモダン建築が集中するのは、水上バスが運行する運河周辺。水上バスは、新旧が融合したコペンハーゲンを体感する、絶好のアトラクションなのです。

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