【日本麺紀行】北海道民すらほぼ行く事の無い北海道の秘境中の秘境にある想像を絶するデカ盛りラーメン / 枝幸郡・中頓別にある「八番食堂」の馬車追いラーメン

日本人だけでなく世界でも認められているグルメの1つと言えばラーメン。

日本全国には数えきれないほどのラーメン店があり、もちろん知られざる名店がキラ星のごとく存在している。

例えば、西日本でいえば広島市民を魅了し続ける「陽気」岡山市民を魅了し続ける「天神そば」、山口県周南市民が愛するスター系ラーメンの「第三スター」岩国市民に愛され続ける「寿栄広食堂」 などが存在している。

甲信越地方では新潟県長岡市民が足しげく通う「青島食堂」や長野県松本市民が愛するイラン人が作る絶品ラーメン、「ラーメン藤」に、あの田中要次さんも愛すると言う長野県木曽町の「あすなろ」のチャーシューメンなどが挙げられる。

東海地方では、いまや全国区となった名古屋名物の「台湾ラーメン」を初め、一宮市民を魅了しつづける「ベトコンラーメン」に、知られざる岐阜県多治見市の「台南ラーメン」などが挙げられる。

もちろん北の大地・北海道にも、北海道ラーメンランキングで1位を独占し続ける味噌ラーメンのお店「彩未」や、あの北川景子さんを魅了したショウガラーメンの名店「信月」など、数え上げればきりがない。

首都圏でいえば、横浜市民が愛するソウルフード・サンマー麺の名店「玉泉亭」、に平塚市民が愛して止まない独自の平塚タンメン日本で初めてミシュランの星を獲得したラーメンなど、もはや挙げていくことが困難なほど、さまざまな名店がひしめき合っているのだ。

そんな日本中にある美味しいラーメンの中から、今回は地元の北海道民すらほぼ行く事の無い秘境中の秘境「中頓別町(なかとんべつまち)」にある想像を絶するデカ盛りラーメンをご紹介したい。

お店の名前は「八番食堂(はちばんしょくどう)」だ。

・まさに陸の孤島、それが北海道の枝幸郡「中頓別(なかとんべつ)」
おそらく「中頓別(なかとんべつ)」と聞いて、「ああ、あそこね」と言えるような人はほとんどいないだろう。

実際、北海道の宗谷総合振興局が出しているデータ(宗谷管内市町村観光入込客数調査)で見ても、11月から3月の間は北海道以外から訪れる人は0人というデータが出ているほどの場所であり、1年通しても北海道以外から中頓別を訪れる人間は、2016年のデータでたったの3600人しかいない、というまさに秘境中の秘境なのだ。

そんな旅行者不毛の地「中頓別(なかとんべつ)」は、かつては砂金がとれる事で有名であった場所。

また戦後、先物取引でデンプンが扱われていた時代には、生粉(なまこ)と呼ばれる生のデンプンがたくさん作られていた場所として知られており、最盛期には約40か所ものなまこづくりの工場が存在していたエリアであったのだが、現在は当時の繁栄の面影はなく、知られざる秘境中の秘境として存在している。

しかしながら、秘境中の秘境だからこそ、雄大な自然を誰にも邪魔されずにたっぷりと堪能できるというエリアであるため、自然が好きな方には知る人ぞ知る場所となっている、それが「中頓別(なかとんべつ)」なのだ。

・町に存在するデカ盛りラーメンのお店、それが八番食堂
そんな雄大な自然がひろがる中頓別にあるのが、今回ご紹介する八番食堂だ。

一般的なラーメンやうどんなどのメニューの中に、「馬車追い」と名のつくメニューが存在するのだが、これがとんでもないボリューム。

「馬車追い」とは、北海道の言葉で運送屋さんのことを指すとのこと。

かつての北海道では、馬を使って主に農作物や材木を運んでおり、特に冬の厳寒期はソリに荷物を積んで馬に牽かせていたことから、「馬車追い」と呼ばれていたそうだ。

また、そのような運送業を行っている人々は、いつご飯を食べられるか分からないということと、荷下ろしや荷積みなどの重労働の環境から、「馬車追い」イコール大食漢の人ということから、こちらのお店ではデカ盛りラーメンに「馬車追い」という名前を付けているのだそうだ。

ラーメンが運ばれると、まずその大きさに驚く。

超巨大なすり鉢の中に、大きなお玉と菜箸(さいばし)が3膳。

大人が抱えて持ってこなければ運べないほどのラーメンの重さは、丼をふくめておよそ5kgはあろうかというほどの大きさ。

巨大なラーメンは仲間同士で分け合って味わうことが出来る上に、完食するとお店に完食記念のサインを残す事が可能だ。


ボリュームばかりに気を取られてしまうのだが、味わいも素晴らしいラーメン。

スープは濃厚な醤油ダレを創業から60年以上から継ぎ足しているこだわりの醤油ダレが基本となっている。

また旭川ラーメンほどではないものの、絶妙なラードの使い方がラーメン全体のコクをより豊かに感じる形に仕上げているのだ。

シコシコのちぢれ麺は、しっかりとおいしいスープに絡んでおり、中頓別ラーメンと銘打って販売しても愛されるラーメンとなるに違いないほどのウマさだ。

寒い宗谷地方の冬をより堪能できる中頓別名物のアツアツのデカ盛りラーメンは、寒い冬にこそ味わっておきたい逸品かもしれない。

しんしんと雪が降り積もり、余計な物音が聞こえなくなる極寒の秘境を旅してみる、そんな1人旅に出かけてみるのも楽しいかもしれない。

そんな秘境で人の温もりが恋しくなったのなら、その場所でしか味わえない、心も体も心底あたたまる、その町の歴史が詰まったグルメを味わってみてもらいたい。

きっとそこには、その町が紡いできた歴史そのものを味わえる、そんな唯一無二の味わいがあるに違いないのだ。

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お店 八番食堂 (ハチバンショクドウ)
住所 北海道枝幸郡中頓別町中頓別18
営業時間 11:00~19:00
定休日 日曜・年末年始






この記事のお店・スポットの情報

お店・スポット名 : 八番食堂 (ハチバンショクドウ)

住所 : 北海道枝幸郡中頓別町中頓別18