【知られざる世界の常識】イギリス人のジャガイモ愛がすごい…イギリスのスーパーで買える10種のジャガイモ

イギリスの国民食といえばジャガイモ。

お弁当箱にクリスプス(ポテトチップス)を入れてくる小学生も多く、下校途中の中高生はおやつにテイクアウェー(フライドチキンやハンバーガー、ケバブなどが安値で買える街角の持ち帰り専門店)で一番安く買えるチップス(太目のフライドポテト)を食べ歩き、また、ポテトチップスを食パンにはさんだ『クリスプ・サンドイッチ』なる不思議な食べ物も存在するほど大人ももちろんジャガイモが大好き。

イギリス料理の代表格として必ず名前が挙がるフィッシュ・アンド・チップス、子供たちの大好物であるソーセージ・アンド・マッシュにはクリーミィなマッシュポテト、じっくり煮込んだひき肉にマッシュポテトをのせてオーブンで焼いたコテージ・パイや、魚とホワイトソースのフィッシュ・パイ(イギリスでは上にマッシュポテトやパイ生地など何かをかぶせる料理をパイと呼ぶ)の上にもマッシュポテト、『今日の晩御飯は何にしようかしら?』と悩んだときによく作られる大きなジャガイモを丸ごとオーブンで焼きベイクド・ビーンズやチーズをのせたジャケット・ポテト、冬にはジャガイモとリーク(セイヨウネギ)のとろとろスープが好まれ、日曜のランチに伝統的に食べられているチキンやビーフのサンデー・ローストのつけあわせにはもちろんロースト・ポテト…と、とにかくイギリス料理にはジャガイモが欠かせません。

どんな料理とでもジャガイモを食べたいイギリス人が多いのか、中華料理やタイ料理、イタリアンやインド料理レストランでも、サイドメニューにチップスを置く店が多いほど。

スーパーでは様々な形にカットされた冷凍チップスなどがずらりと並ぶジャガイモ関連の冷凍食品コーナー、皮がむかれたジャガイモ、出来合いのマッシュポテト、バターや調味料で味付けされたオーブンで焼くだけのジャガイモなど、手軽に食べられるジャガイモ食品の種類も豊富。

茹でる、揚げる、蒸す、潰す、のせる、添えるなど、多くのイギリス人が調理法や料理によってジャガイモを使い分けているため、種類豊富なイギリスのジャガイモ。当然、スーパーのジャガイモ売り場のスペースの広さは驚愕ものです。

イギリスの一般的なスーパーで購入できる10種のジャガイモをご紹介しましょう。

1. ホワイト・ポテト(White Potatoes)

パッケージには「多目的、パイのトッピングや茹でジャガイモにも」とあり、オールマイティに使えるジャガイモ。『とりあえずジャガイモ買っておこう』という時に購入するジャガイモです。筆者は日本のカレーや味噌汁の具にはこのジャガイモを使用しています。

ホワイトと言っても、その時々で実がずいぶんと黄色い時もあります。

2. マリス・パイパー・ポテト(Maris Piper Potatoes)

フラッフィー(fluffy、ふわふわ)食感の代表格といえるジャガイモで、現在イギリスで最も多く栽培されている人気の品種です。パッケージにはクラシック・オール・ラウンダー(万能)と書かれていますが、同時にお勧めの食べ方として「軽くてフラッフィーなのでチップスに完璧」と紹介されています。

マリス・パイパーを使用した出来合いのマッシュポテトも売られています。

3. キング・エドワード・ポテト(King Edward Potatoes)

いかにもイギリスらしいネーミングのこちらのジャガイモは、1902年にイギリスで誕生し、ちょうどその年にイギリス王エドワード7世の戴冠式が挙行されたことから名づけられたとされています。

クリーム色の皮のところどころにピンク色の斑点があるのが特徴。外はカリカリ、中はフワフワに仕上げたいローストポテトに最適の品種です。
クリスマス・ランチの付け合せにも欠かせません。

皮をむいて一口サイズにカットして茹でてお湯を捨てた後、ジャガイモの入った鍋をゆすってジャガイモに傷をつけてからオーブンで焼くと、カリカリ感が増したロースト・ポテトが出来上がります。

4. ジャケット・ポテト(Jacket Potatoes)

物によっては大人のゲンコツ2個分ほどありそうな大きさのジャガイモは、オーブンで皮がパリパリになるまで焼いて食べるジャケット・ポテト用。『ジャケット』の名前の由来は、しっかりとした皮を上着に見立てたことから。

大きいのでオーブンで焼き上げるのに1時間~1時間半かかりますが、バーベキュー用などの金属の串を刺して焼くと、15分ほど焼き時間が短縮されます。

パリパリの皮を十字に切って、バターや熱々のベイクド・ビーンズ(インゲン豆のトマトソース煮)、チェダーチーズなどをかけて食べるのが一般的。ただし、この料理を食べると食物繊維豊富なイモと豆のダブルパンチで腸が活発になりすぎて後で困ることも…。

5. ベイキング・ポテト(Baking Potatoes)

こちらはばら売りのベイキング・ポテト。袋入りのものはとにかく量が多いので、ひとつずつ買えて便利です。

6. シャーロット・ポテト(Charlotte Potatoes)

1980年代にフランスからイギリスにやってきた、イギリスでの歴史は浅い品種で、細長く日本のメークインに似た、別名『サラダ・ポテト』と呼ばれるジャガイモです。ホクホク系とは反対のネットリ系(waxy、ワックスのような)のジャガイモの代表格。茹でたり蒸したりしてサラダや付け合せに、または皮つきのままローストすることが推奨されています。

7. ベビー・ポテト(Baby Potatoes)

その名のとおりベビーサイズのジャガイモ。バターのような(buttery)深みと甘みのある味わいで、丸ごと茹でたりオーブンで焼いたりして、サラダや付け合せに推奨されています。

8. デザレイ・ポテト(Desiree Potatoes)

赤紫色の皮と黄色い実が特徴で、マッシュポテトに最適の品種。ネットリとしていながら同時にフラッフィーさも合わせ持ち、濃厚でクリーミーなマッシュポテトに仕上がります。

9. レッド・ポテト(Red Potatoes)

旨みのある甘さとバターのような味わいと最高の食感を追求し、開発に10年以上の歳月をかけたという赤いジャガイモ。デザレイ・ポテトよりも赤みが強いのが特徴です。

10. 新ジャガ(New Potatoes)

季節によって様々な種類、地域の新ジャガが店頭に並びます。3月の店頭に並んだのは地中海のキプロス島から輸入された「サイプリオット・ニュー・ポテト(Cypriot New Potatoes)」。南キプロスの肥えた赤土で栽培され、甘く土の風味(earthy)がある品種だそうです。

4月にはイギリスとフランスの間に位置する、ジャージー牛で有名なジャージー島で栽培される人気品種「ジャージー・ロイヤル(Jersey Royal)」の新ジャガが出回ります。

イギリスを訪れたら、イギリス人がこよなく愛するジャガイモ料理を是非味わってみてください。

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