【日本グルメ紀行】昭和5年創業!清流の城下町・郡上八幡で味わう、備長炭の絶品うなぎと珍しい「ひつまぶしホワイト」とは? / 岐阜県郡上市・郡上八幡の「炭火焼うなぎ 魚寅」
夏の土用の丑の日はもちろん、一年を通して日本人に愛され続けている贅沢なごちそう「うなぎ」。
香ばしく焼き上げられた皮、ふっくらとろける身、そして甘辛いタレとご飯が織りなす至福のハーモニー。ひと口頬張れば、思わず頬が緩み、日々の疲れも吹き飛んでしまう。うなぎは、まさに日本の食文化が誇る「元気の源」とも言うべき存在だ。
そんなうなぎを心ゆくまで堪能できる名店は日本各地に存在しているが、中でも「水の都」として知られる岐阜県郡上市・郡上八幡には、清らかな水に育まれた食文化を今に伝える、うなぎの名店がある。
今回ご紹介したいのは、昭和5年(1930〜31年)創業、3代にわたって受け継がれてきた郡上八幡の老舗うなぎ店「炭火焼うなぎ 魚寅(うおとら)」だ。
・「奥美濃の小京都」郡上八幡に佇む、90年以上の老舗
「炭火焼うなぎ 魚寅」があるのは、「奥美濃の小京都」とも称される、風情あふれる城下町・郡上八幡。
清流吉田川が街を流れ、各所に清らかな水路が張り巡らされた美しい町並みは、まさに日本の原風景。夏には日本三大盆踊りの1つ「郡上おどり」で全国から数十万人もの人々が集う、岐阜屈指の観光名所だ。
「郡上八幡は水が綺麗だから、うなぎが美味しい」――地元でそう語り継がれるほど、この街は水に恵まれた土地。その清らかな水と、良質な食材、そして職人の技が出会って生まれる魚寅のうなぎは、わざわざ遠方から食べに訪れる価値のある逸品として、多くの食通たちを魅了し続けている。
創業は昭和5年。90年以上もの長きにわたり、現在は3代目の店主が、日々炭火と格闘しながら、変わらぬ味を守り続けている。

・最高級備長炭で焼き上げる、こだわりの「地焼き」
「炭火焼うなぎ 魚寅」の最大のこだわり、それは最高級の備長炭による直火の「地焼き」である。
関東風のうなぎは、一度蒸してから焼くことでふわりと柔らかく仕上げるのが特徴だが、魚寅のうなぎは、蒸さずに直接炭火で焼き上げる「地焼き」。素材本来の旨味をぎゅっと閉じ込め、皮はサクッと香ばしく、中はジュワッとジューシーな、力強い味わいに焼き上げていく。
使ううなぎは、三河産または九州産のみという厳選ぶり。季節によって身の脂の乗りや皮の硬さが変わる、良質な素材を見極めて仕入れている。
そして、うなぎの美味しさを一層引き立てるのが、創業以来受け継がれてきた秘伝のタレ。中部圏特有の、濃さととろみ、そして甘さが特徴のこのタレは、香ばしく焼き上げたうなぎに絶妙に絡みつき、思わずご飯をかき込みたくなる、罪深いまでの美味しさを生み出している。
さらに、ご飯はすべて地元産のお米を使用。ふっくらと炊きたてのご飯と、焼き立てのうなぎの組み合わせは、まさに至福そのものだ。

・香ばしさに悶絶!絶品の「蒲焼」
味わっておきたいのは名物の「蒲焼」。
注文を受けてから炭火で丁寧に焼き上げられるため、提供までにはしばらく時間がかかる。しかし、その待ち時間こそが、期待感を最高潮まで高めてくれる、贅沢な前奏曲だ。
もちろんその待ち時間には美味しいお酒におつまみを堪能してもいいかもしれない。




しばらくして運ばれてきた蒲焼を一目見て、まず食欲が限界まで刺激される。つやつやと飴色に輝く、肉厚のうなぎ。立ち上る炭火の香ばしい香りが、鼻腔をくすぐる。
一口頬張れば――皮はパリッと香ばしく、中はふっくらととろけるよう。肉厚の身から脂の旨味がジュワッと溢れ出し、そこに秘伝のタレの甘じょっぱさが絶妙に絡みつく。しつこさは微塵もなく、それでいて濃厚。ご飯がどんどん進む、まさに「これぞ地焼きうなぎの真骨頂」と唸ってしまう美味しさである。
もちろん岐阜の美味しい地酒との相性は抜群であるし、添えられているうなぎの肝との相性も素晴らしい。


・さっぱり味わえるここでしか味わえないメニュ「ひつまぶしホワイト」
そしてもう一品、ぜひ味わってほしいのが、魚寅ならではのユニークな逸品「ひつまぶしホワイト」。

その名の通り、通常のタレ焼き(蒲焼)のひつまぶしとは異なり、うなぎの「白焼き」をお櫃に敷き詰めた、白いひつまぶしだ。
食べ方は、通常のひつまぶしと同じ要領。まずはそのまま白焼きの繊細な味わいを堪能し、次に薬味を添えて、そして最後は出汁をかけて――と、一杯で何通りもの味の変化を楽しめる。
添えられる薬味も個性豊か。郡上みそ、山葵、塩昆布、卵黄など、それぞれを少しずつ乗せながら、自分好みの味を探っていく楽しさは格別だ。
中でも特に絶品なのが、白焼きと郡上みその組み合わせ。うなぎ本来の上品な旨味に、郡上みその芳醇なコクと甘みが重なり合い、タレ焼きとはまったく異なる、奥深い味わいの世界が広がっていく。「うなぎにこんな食べ方があったのか」と、新たな発見に思わず感動してしまう。
非常にあっさりと上品に楽しめることから、特に女性のお客様に人気の一品だというのも頷ける。
タレ焼きの蒲焼で王道の美味しさを、そしてひつまぶしホワイトで新しいうなぎの魅力を――この2品を味わえば、魚寅というお店の懐の深さと、うなぎという食材の奥深さを、余すところなく体感できるはずだ。


昭和5年から90年以上にわたって、清流の城下町・郡上八幡でうなぎ一筋に歩み続けてきた、炭火焼うなぎ 魚寅。
最高級備長炭で焼き上げる地焼きの蒲焼、創業以来受け継がれる秘伝のタレ、地元産の炊きたてご飯、そして珍しいひつまぶしホワイト。すべてが、「水の都」郡上八幡ならではの、忘れがたい口福の体験を約束してくれる。
郡上八幡を訪れる予定がある方は、ぜひ一度、この90年続く老舗で、清流の街が育んだ極上のうなぎを堪能してみてほしい。備長炭の香り高い一箱の中に、郡上八幡の水と職人の技が織りなす、至福の物語が詰まっているのだから。
店舗情報
店名 郡上炭火焼 うなぎの魚寅(うおとら)
住所 岐阜県郡上市八幡町島谷
営業時間
月・水・木・金・土・日
11:00 – 14:00
17:00 – 20:30
定休日 火曜日