アジア大洋州各国の「空気」を満喫 『アジアの祭典チャリティーバザー』取材ルポ


毎年4月、都内で『アジアの祭典チャリティーバザー』というイベントが催されます。

これはアジア婦人友好会が主催するもので、アジア・オセアニア各国の大使館が慈善活動を目的とした販売ブースを展開します。「バザー」という名がついているから、どこかの駐車場を借り切ってやるものか……と考えるのは禁物。今年はANAインターコンチネンタルホテル東京で開催され、皇室の宮妃を筆頭とする各界の重鎮がお目見えしました。

また、このイベントでは日本にいながら各国のグルメや特産品に接することができます。

・工芸品が伝える「空気」

アジア大洋州26ヶ国の展示が並ぶチャリティーバザーは、今年で41回目を迎えました。

「そんなに歴史があるの?」と驚く読者の方もいらっしゃるかもしれません。このイベントは前売り券の販売方法がやや特殊で、それ故に意外と巷では知られていないという側面もあるようです。

前売り券を手に入れるには、まずサモア独立国大使館に連絡を入れます。その上でチケット交付と代金の振込を行うという流れになっています。当日券もありますが、すぐに売り切れてしまうとのこと。

若干敷居が高いイベントのように感じますが、実際にはチケットに余りがある限り参加資格等はありません。

各国大使館のブースを彩るのは、その国の伝統料理やハンドメイドの物品など。日本ではどこの雑貨店にも売っていないような珍しいものが勢揃いしています。

とくに工芸品は、その国の地理や歴史を理解するための重要なファクターと言えます。たとえば木綿織物の生産が盛んな国は、温暖で水資源に富んでいます。そうでなければ木綿を栽培できません。

このような観察の仕方で、その国の「空気」を読み取ります。

・矯正品販売も

ただ、やはりこれはチャリティーバザーです。各ブースではアジア大洋州各国の市民の生活向上につながるような「工夫」もなされていました。

たとえば上の写真は、インドネシア大使館ブースの物品。これを作ったのは、刑務所の囚人です。

日本では「矯正品」と呼ばれるものですが、東南アジア諸国の刑務所は「懲罰施設」という色合いが非常に強く、その環境も劣悪です。インドネシアのとある刑務所では先日、200人以上もの服役囚が脱走するという事件が起こりました。どうやら囚人の待遇を巡って、前々から問題があったようです。

日本の刑務所を「教育施設」と位置づけたのは、『鬼平犯科帳』で知られる長谷川平蔵です。史実の鬼平は、犯罪者を社会復帰させる目的の「寄せ場」を作りました。これが日本の刑務所のコンセプトです。しかし海外の刑務所は、犯罪者を社会から隔離させるためにあります。TVドラマ『プリズン・ブレイク』の世界と言えば分かりやすいでしょうか。

とはいっても、最近では「服役囚の社会復帰プログラムを整備しよう」という動きがインドネシアでも起こりつつあります。手に職をつけさせなければ、刑期を終えても社会に馴染めず過ちを繰り返してしまいます。

矯正品販売の機会を提供しているチャリティーバザーは、各国の治安問題改善に一役買っているのです。

・友好あってこそ

この催しには毎年、皇室の方々が公務でご来場されます。今年は常陸宮妃華子殿下がお出ましになり、アジア各国の伝統芸能をご覧になりました。

我が国日本は海洋国家で、世界のあらゆる地域と海路でつながっています。その中でもアジア大洋州は、絶対に縁を切ることのできない地域。ASEAN・オセアニア各国との友好があってこそ、日本が存在し得ると言ってもいいでしょう。

我々日本人は、海の向こうの人々に支えられているのです。

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