【世界で最もアツイ場所】どこよりもアツい?インド・パキスタン国境のフラッグセレモニー

インド北西部、パキスタンとの国境近くにあるパンジャーブ州最大の都市アムリトサル。中心にはターバン姿でおなじみのスィク教の総本山、ゴールデン・テンプル(黄金寺院)があります。


まるでインド版の金閣寺のような豪華絢爛な外観に加え、真っ白な大理石の建物に囲まれていることもあり、晴天の日に訪れるとまぶしくて目が開けていられません。

そんなゴールデン・テンプルに加えて、アムリトサル周辺で訪れておきたいもうひとつのスポットがインド・パキスタン国境、ヴァガ・ボーダー。

アムリトサルから約30km離れたアターリーという街にあり、インドの自動三輪、オートリキシャでも行くことができます。

今回ご紹介する世界で最もアツイ場所は、この国境のゲート。

実はこの国境ゲートでは、夕方6時の閉門に合わせて毎日行われるフラッグセレモニー(国境閉鎖式)というものがあります。特に週末は非常に多くの人が詰めかけ盛り上がり、文字通り世界で最もアツイ場所へと変貌します。

インドとパキスタンの国境、ヴァガ・ボーダーのインド側の門には日本でも有名なインド建国の父、マハトマ・ガンジーの肖像が掲げられています。ガンジー暗殺の引き金となった、1947年8月のインドとパキスタンの分離独立のタイミングでは、インドでは宗教暴動が多発してしまいます。その際、ガンジーは何度も断食し身を挺してこれを防ごうとしたのですが、ヒンドゥー原理主義者からはムスリムに対して譲歩しすぎるとして、その翌年1948年、凶弾に倒れる事となります。

そんなムスリムとの融和を目指したガンジーと向かい合うようにして、パキスタン側にはパキスタンの初代総督ムハンマド・アリー・ジンナーの肖像が掲げられています。日本ではあまり知られていませんが、パキスタンにおいて、ジンナーは、「カーイデ・アーザム(もっとも偉大な指導者)」として尊敬を集めており、パキスタンの高額な紙幣にはジンナーの肖像画が描かれています。また、ジンナーの名前を採用している道路はイスラム世界に広がっており、トルコ・アンカラ最大の通りやイラン・テヘランで最も新しい高速道路の名前もジンナーの名前にちなんで付けられており、イスラム世界では非常に有名な指導者の1人です。

さて、そんなガンジーとジンナーが鎮座する国境に行くと、外国人専用席がゲートに近い位置に設けられています。またここは国境ですので訪れる際は、必ずパスポートを持参しましょう。

フラッグセレモニー(国境閉鎖式)は午後4時頃に緩やかに始まっていきます。

まずは一般客の女性たちがインド国旗を持って走って目の前を次々と往復していきます。

いつのまにか音楽に合わせて女性たちが歌って踊ってはしゃぎ始めます。男性陣はスタンド席から下に降りることが禁じられているため、大勢の女性が歌って踊って大はしゃぎする、という光景が繰り広げられていきます。

そしてひとりの若い女性が指揮をとり、国家を歌い上げます。

「インド万歳!」外国人の立場からすると少し度が過ぎるようにも見えるアツい愛国心。インドとパキスタンは長い対立の歴史があるためか、どことなく両国間にバチバチと火花のようなものが感じられます……。

日が暮れかかる頃に双方の国境警備隊の兵士たちが隊列を組み、見物客の前で足を高々と上げたり踏み鳴らしたりします。
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その後、両国の旗がゆっくりと降ろされ、インドとパキスタンの両軍が固い握手と敬礼を交わし両国間のゲートは閉じられていきます。

季節によっては直射日光が当たる中で身動きも取れずに長時間じっとしていることになってしまうため、意識を失い運ばれていく人もいるほど……。

いろいろな意味で「アツイ」、フラッグセレモニー(国境閉鎖式)、帽子と水分とパスポートを忘れずに持参して、世界で最もアツイ場所を体験してみてはいかがでしょうか?

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